映画「センコロール コネクト」 PR

「センコロール コネクト」特集 宇木敦哉×ryo(supercell)|「いつ観ても“現代っ子”っぽい」10年の沈黙を破り、待望の新作公開

劇場アニメーション「センコロール コネクト」が公開された。監督・脚本・作画という映像制作のほぼすべてを、宇木敦哉が1人で手がけた短編アニメ「センコロール」の続編となる本作は、突如現れた謎の白い巨大生物たちと、それを操る少年少女たちを描く物語だ。

コミックナタリーでは宇木と、本作の音楽を担当したryo (supercell)の対談を企画。2009年に公開された「センコロール」から10年、新作公開に至るまでの経緯や制作の裏話を語り合ってもらった。2人のクリエイターが語る「センコロールらしさ」とは?

取材・文 / 流星さとる

宇木さんは音楽のオーダーの仕方が独特なんです(ryo)

──おふたりは2009年に劇場公開された「センコロール」で初めてお仕事をご一緒されたわけですが、どのように知り合ったのでしょうか?

宇木敦哉 岩上(敦宏。「センコロール」のエグゼクティブプロデューサーで現在はアニプレックス代表取締役)さんの紹介ですね。なのでドラマチックな何かがあったわけではないです(笑)。でも、僕はその前からryoさんのことを知っていたんですよ。当時、ニコニコ動画とかでいろいろな曲を発表されていたので。「メルト」とか。

ryo よく知ってましたよね(笑)。逆に自分はお話をいただくまで宇木さんのことを知らなかったんですけど、1人でアニメを作っているということで、すごいなと思って。最初の映像(劇場作品に先がけて制作されたパイロット版)に乗っていた音楽もカッコよかったですし。

宇木 あの音楽は矢崎(俊輔)さんという方に作っていただいたんです。あの映像をネットにアップした当時は、まだYouTubeもあまり普及していなかったと思いますね。

「センコロール コネクト」より。

──「センコロール」で一緒に作業を行って、お互いクリエイターとしてどのような印象を抱きましたか?

ryo 全然クリエイトの部分とは関係ないんですけど、自分が「宇木さんすげえ!」と思ったのが、当時MacBook Proの17インチを使って作業をされてたんですよ。宇木さんはそれで動画を制作してるんだと思ったので、「ノートパソコンでこんな映像が作れるの?」と(笑)。

宇木 もともとiMacで作業してたんですけど、壊れちゃって。それに東京に出てきたときにも作業ができないとヤバイということで。だから好き好んでノートパソコンで作ってたわけではないんです(笑)。

ryo あ、そうだったんですね(笑)。本題のクリエイトの部分で言うと、宇木さんは音楽のオーダーの仕方が独特なんです。普通は「悲しいシーンの曲」とかの指定に合わせて曲を作るんですけど、宇木さんはまず映像を送ってきて、自分はそれを観ながら音をあてる、海外の劇伴制作に近いやり方なんですよ。しかも「このシーンのココからココに合わせて何か作ってください」みたいな感じなので、自分は何が正しいのかわからないままとりあえず作ってみて、それが宇木さんのイメージに合わないと「違います」と戻ってくるので、また作り直して。なおかつ、自分は音楽というのは最初から通して観たときの印象も大事だと思うので、それも考えながら作ると「センコロール」を何百周も観ることになるんです(笑)。

宇木 僕もいろいろ注文してしまうので、すみません(笑)。でも、ryoさんは僕の言ったことすべてに対して返してくれるんです。いろんな角度からパンチが打てるみたいな。やっぱり音楽の引き出しの多さをすごく感じます。

ryo 宇木さんって「これ絶対違いますね」とか「これダサいんで」ってすごくストレートに言ってくれるので(笑)、あまり模索する必要がなくてわかりやすいんですよね。

宇木 僕は音楽に関しては素人なので、どう伝えればどういうものが返ってくるのかがわからないですし、やっぱり手探り感はあります。

ryo 確かサカナクションが好きっておっしゃってましたよね?

宇木 そうですね、音楽はそれなりには聴くんですけど、やはり作る側ではないので。よくわからないながらも「センコらしさとはなんぞや?」みたいなことを考えながら……まあ実際に作業するのはryoさんなんですけど(笑)。

適当なおしゃれ感と適当なゆるさ感、そのすべてがいきすぎてない

──ryoさんはそのように監督とやり取りする中で「センコらしさ」を掴んだのでしょうか。

ryo 自分のところにはまず、セリフと効果音の入った映像が送られてくるんですけど、声のトーンとか映像の雰囲気、キャラクター同士の掛け合いの馴れ合いすぎない感じから、ツンデレみたいな温度感というか距離感を「センコロール」から感じたんですよ。笑わせないし感動もさせない、でも無機質過ぎでもないギリギリの絶妙なところがあって。ちょっと笑えるし、ちょっと感動もできる、それを汲み取るのが「センコロール」らしさなのかなという。で、最終的には「センコかわいい」に行きつくんですよね(笑)。「センコロール コネクト」を観に行ったとき、映画館にセンコのぬいぐるみが置いてあったんですけど、それを女の子たちが「かわいー」と言いながらバンバン叩いてて(笑)。それを見て「ああ、センコロールらしさはこういうことなんだな」と思いました。

「センコロール コネクト」より。

──かわいいけど、雑に扱っても大丈夫という(笑)。

ryo そうそう!(笑) あと「つり球」(2012年放送のTVアニメ。宇木はキャラクターデザインを担当)も、宇木さんが作られたわけじゃないですけど、あの独特のゆるい雰囲気は宇木さんの一部としてあると思うんですよね。なんかTシャツに印刷してあったら絶対買うなっていう感じ(笑)。

──宇木さんは「積乱雲グラフィティ」など、ryoさんの作品のジャケットも描いていらっしゃいますよね。

ryo 適当なおしゃれ感と適当なゆるさ感、そのすべてが適切でいきすぎてないというか。こんなことを言うのはなんですけど、現代っ子っぽいんですよね。

宇木 僕、40歳ですけどね(笑)。

ryo でも、60歳になっても現代っ子っぽいんだろうなという気がします。今どきっぽい印象をずっと持たせてくれるっていう。