「ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。」|イタかわいい男子たちの“NAKAYOSHI FOREVER”を積み重ねた先に見えたもの

亜樹新インタビュー

“めんどくさい彼女”みたい、そんなところがかわいい

──“中二病”をこじらせた男子高校生・花鳥と、何かと彼に付きまとわれるツッコミ気質のクラスメイト・小雪。「ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。(通称ぼくはか)」は、そんな2人を中心とした学園コメディです。今回のインタビューでは、特にキャラクターの魅力についてお話しいただきたいのですが、そもそも最初に生まれたキャラは誰だったのでしょう?

小雪と花鳥、そして月宮の3人です。ツッコミ役のキャラと、その人にツッコまれる変なキャラ、そこに話を広げる役回りのキャラも入れて……と考えながら作っていたので、ほぼ同時でしたね。

──月宮は、嫌がる小雪に花鳥を絡ませるのが趣味という、恐るべきドSキャラですよね。花鳥がいわゆる中二病キャラというのは、その段階でもう決まっていましたか?

第1話より、花鳥の初登場シーン。

いえ、二転三転しましたね。やはり、彼を作品の推進力になるようなキャラにしなくちゃいけなかったので、けっこう悩みました。不良だったり、怪盗だったり……。

──えっ、怪盗ですか。

"不良で怪盗"というのを考えていたんです(笑)。花鳥が怪盗で、月宮が探偵。小雪は月宮の助手でした。でも、編集さんから「探偵だとキャラ付けが弱いんじゃないか」と言われて考え直すことになり……3人の関係については評価してもらえていたので、それを生かせる形を探した結果、普通の高校生に落ち着きました。花鳥は不良がいいかと思ったんですが、もっとツッコミどころのあるキャラにしようと模索して、中二病キャラにたどり着いたんです。

──眼帯をしていたり、グローブを着けていたりと、花鳥は見た目にも中二病らしさがふんだんに盛り込まれていますよね。

こういうキャラにしようと決めて、真っ先に付けたのが眼帯です(笑)。指輪、リストバンド、大きめのヘッドフォン、ヘアピンなど、中学生くらいの男の子が好きになりそうなものを詰め込んだ感じですね。学ランが短めだったり、赤いTシャツを着ていたりするのは、不良だった時代の名残です。

第18話より、右目がうずく花鳥。

──中二病キャラとなると、毎回“いかにも”なセリフを考えるのは大変じゃないかと思ったのですが。

花鳥のセリフはあまり悩まずに出てきますね。私も読み直したときに「あっ、こういうこと言ってたのか」って思うくらいなので、花鳥本人もその場その場の思いつきでしゃべっているんじゃないかなと思います。

──すっと出てくるということは、先生にも中二病的なところがあるんですか?

どうでしょう……。きっと潜んでいるとは思うんですけど、具体的にこういうことをしたっていう記憶はありませんね。都合よく忘れてしまっているのかもしれませんが(笑)。第1話のガラスを割るエピソードは、中学生時代のクラスメイトをモデルにして描きました。

──花鳥が思わぬ形でガラスを割ってしまい、最初は強がっていたけれど、次第に泣き出してしまう……というくだりですね。

第1話より、ガラスを割ってしまい泣き出す花鳥。

理由までは思い出せないんですが、すごく怒っていて、たぶん威嚇のつもりでバーンと窓を叩いたんです。そうしたら、ガラスが派手に割れてしまって。本人は怒っているから、しばらく平気な顔をしているんですけど、そのうちに泣いてしまった。私はそれを見ていて、「かわいいな」と思った記憶があります(笑)。

──ちょっとかわいそうな感じもしますけど……。

それも含めてかわいいと思ってしまって。花鳥はすぐすねてしまったり、かまってほしくて小動物のようになったりするところとかが好きです。なんだか、“めんどくさい彼女”みたいで(笑)。小雪からすると、自分にファンタジー設定を付けている変な人だし、いきなり相棒扱いされて迷惑千万なんでしょうけど。

「かまってくれる人」のところに変人は集まる

──小雪がツッコミ役というのは、初めからブレていないのでしょうか。

そうですね。ただ、普通にツッコむだけじゃなく、我慢して我慢して最後にドカンとツッコむ、というパターンが作れてから、ようやくキャラと作品の方向性が定まったんだと思います。

──なるほど。お気に入りのツッコミはありますか?

第27話より、マスクを引きちぎって花鳥にツッコむ小雪。

うーん……。どうしても手前味噌に思えてしまうので難しいんですけど、5巻収録の第27話に出てくるシーンでしょうか。この話では、小雪が月宮にマスクを着けられてしゃべれない状態にされてしまい、抑えていた1日分のツッコミが最後の最後で爆発するんです。小雪が何も言っていないのに、流されてどんどん話が進んでいくのも気に入っているところです。

──ツッコミ役ではありますが、小雪はまじめでもないし、どちらかと言うと普通よりポンコツな面もありますよね。

ツッコミ役の主人公をまともな人という位置付けにしちゃうと、どうしても花鳥たちを一方的にバカにするみたいな形になりそうで嫌だったんです。それで小雪にも落としどころをいくつか作って、ツッコんでいるけど必ずしも正しいわけじゃない、という力関係にしました。結果、かわいそうな目に遭うことも多いんですけど……。

──かわいそうだということは、つまり先生にとってかわいいポイントでもある?

第14話より、追い詰められて“試合放棄”してしまった小雪。

うふふ(笑)。小雪の場合かわいいと思うのは、普段は的を射たツッコミをしているけれど、女子が絡んだり追い詰められたりしたときとかに、正気を失ってダメダメになってしまうところでしょうか。小雪はそのダメさが魅力だと感じていますね。

──小雪は花鳥をはじめ、周囲のキャラからとても好かれていると思うのですが、彼が愛されるのはどうしてなんでしょう。

やっぱり、「この人はかまってくれる人だ」と思われてるんじゃないでしょうか。無視を決め込もうとする小雪ですが、毎回完全にスルーはできていないですからね。心の中でツッコんでいる時点で、彼らの存在や設定を受け入れてしまっているんだと思いますし。小雪自身もツッコミどころがあると言うか、そういうスキがあるのもいいんでしょうね。

──スキですか。

服装にしても、尻尾みたいになっているそのベルトなんだよ、みたいな(笑)。小雪は最初、髪の毛もハネてない、制服もちゃんと着てる、もっと普通の少年って感じのデザインだったんですが、いろいろ考えたあげくに猫っぽいフォルムになって。ツッコミどころのあるツッコミ役ってどうなの?と悩んでいた時期もあったんですけど、それも個性なので、結果よかったかな。

──小雪は好物が魚だったり、確かに猫のイメージが強いです。

小雪の猫ほどではないですが、花鳥にも犬が「かまってかまって!」としてくるときのようなイメージを重ねている部分がありますね。月宮はその2人を化かしに来るキツネみたいな関係。月宮が糸目なのはそれでなんですが、彼は中身がぶっ飛んでいるので、服装とかはあえて1番普通の男子っぽくしてあります。

──月宮のエスパーぶりは、話が進むごとにエスカレートしていますよね。

第16話より、月宮が最上の妹・鈴蘭に催眠をかけるシーン。

心を読んだり、教祖になったり、人妻キラーだったり……。描いていくうちにどんどん幅が出たキャラです。彼のチートな部分やひょうひょうとした雰囲気は、読者さんからも好いていただけてるかなと感じてます。「友達になりたい」ともよく言っていただきますね。

──友達にあそこまで心を読まれてしまうのは困る気もしますが、敵には絶対回したくないですよね。

彼は心を読んだうえで、的確に嫌がらせをしてきますからね(笑)。作者からすると、無視を決め込む小雪を無理矢理動かしてくれるので、すごく助かっています。実は一番読者さん視点のキャラなんでしょうね。モノローグも含め、きっと全部が見えてる人なので。

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超ツッコミ気質の高校生・小雪芹は、そんな自分の気質のため、ツッコミ待ちな人間が大嫌い!! そんな彼が目をつけられたのは、外見も言動も空気も存在そのものも、全てがツッコミ待ち要素でできている最強中二高校生・花鳥兜。小雪くんは果たして日々ツッコまずにいれるのでしょうか――。

亜樹新(アキアラタ)
亜樹新
2006年、コミックブレイドMASAMUNE(マッグガーデン)でスタートした「葬送曲ナイトメア」で連載デビュー。主な著作に「宝皇学園MiSORA組」「フェティッシュベリー」など。2013年より月刊コミックジーン(KADOKAWA)で「ぼくのとなりに暗黒破壊神がいます。」を連載中。