奥華子さんの曲でつながったスタッフの気持ち
──アニメーションクリップには、奥華子さんの楽曲「君の笑顔(album ver.)」がイメージソングとして使われています。この曲はどういった経緯でお借りできることになったんですか?
佐藤 実はイメージソングに関してのエピソードで、僕たちがアニメーションクリップを作るのは運命だったんじゃないかなって思ったことがあって。
──そのエピソード、すごく気になります。
佐藤 僕は以前から奥華子さんの曲が好きで、「あさがおと加瀬さん。」のアニメーションで彼女の声が流れたらすごくピッタリくるんじゃないかなって考えてたんですよね。
──奥華子さんの曲には、まっすぐで心に染みるという印象があります。
佐藤 そう、でも周りはもっと元気な感じの雰囲気を「あさがおと加瀬さん。」からイメージしてるんじゃないかなと思っていて。だから奥華子さんの曲は少し想像と違うと言われるかと構えてたんです。
高嶋 そうだったんですね。
佐藤 そんなこともあってなかなか切り出さなかったのですが、こちらが言い出す前にプロデューサーから「僕はこの作品で奥華子さんが浮かびました」と言われたので、とても驚きました。
高嶋 実は私も仕事中に奥華子さんの曲をずっと聴かせていただいていたんです。だからイメージソングのお話を聞いたときはビックリしました。
佐藤 さらに坂井さんも昔からすごく好きだということがわかり……その辺りで「なんだ、みんな気持ちはつながってるじゃん」って安心したのと同時に、これだけ同じ方向を見ている人たちとであればいい作品を作れるという確信と運命も感じましたね。
映像化は半ば趣味?
──そもそも、いきなりアニメーションクリップって珍しい形式ですよね。普通のストーリーアニメにする可能性もあったと思うのですが。
佐藤 とにかく僕はどんな形でもいいからアニメ映像化を実現させたかったんですよ。テレビシリーズでも映画でも、まずは映像化を実現できさえすれば、フォーマットはどれでもよかった。
高嶋 本当に……ありがとうございます。
佐藤 でも、できるだけ丁寧に作りたいっていう思いがあったので、短めの尺で純度を高くする方向性でいこうってプロデューサーと話してました。
高嶋 アニメーションクリップというあまり聞かない形なのもあって、割と最近まで「映像化って本当かな?なぜ作ってくださってるんだろう……?」と不思議で……。編集さんに伺ってもフワっとした答えしか返ってきませんでしたので、「もしや、趣味で作ってらしゃる……? いやまさか」と思ったりもして。
佐藤 ははは(笑)。でもある意味そうですよ。今回はなるべく原作が好きな人たちを募ってチームを組んだんです。
高嶋 えっ、そうなんですか。
佐藤 テレビアニメや劇場アニメだと大勢のスタッフが関わるので、原作をよく知ってる人だけを揃えるのって難しくって。でも原作物をやるなら、なるべく原作が好きなスタッフを集めて映像を作りたいなあと常々考えてたんです。そんなときに今回の企画が決まって、尺の短いアニメーションクリップだったら自分のやりたかった作り方が試せるなと思った次第です。
「よし、がんばってみるか」という活力に
──そんな思いで作られたアニメーションクリップですが、YouTubeのコメント欄やTwitterにはさらなるアニメ化を望む声がたくさん寄せられていますね。
佐藤 僕も正直、これに音を足したくて仕方ないんですよ。声とか効果音を付けて世界観を豊かにしたいなあっていう欲が日に日に高まっていて。
高嶋 今でさえ胸がいっぱいなのですが、確かに声や音が付いたのも観てみたいです。
佐藤 さっきは映像化が実現すればいいって言っちゃいましたけど、やっぱりこれは映画館で観る作品にしたいですね。
高嶋 そこまで言ってくださって、原作者としては本当にありがたく思います。ありがとうございます…。
──今後の展開に期待したいですね。では最後におふたりから原作ファンの方、アニメーションクリップを観た方、これから観る方にメッセージをお願いします。
高嶋 学校とか会社でちょっと疲れたとき、原作や6分40秒のアニメーションクリップを観てキラキラした気持ちを少しでも思い出してくれたらいいな、と思います。そうして次の日、また元気な気持ちでそれぞれの場所へ向かってもらえたらうれしいです。
佐藤 まさに高嶋さんがおっしゃったように、「よし、がんばってみるか」と誰かの活力になれるような作品が作りたかったんですよね。だからアニメーションクリップを観てどうだったか、Twitterでもブログでもいいので皆さんの感想をぜひ聞かせてください!
「加瀬さん」シリーズ最新作
- 高嶋ひろみ「エプロンと加瀬さん。」
- 2017年7月25日発売 / 新書館
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コミック 918円
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特装版 コミック 2376円
- 特装版付属内容
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・Blu-rayディスク
- アニメーションクリップ「キミノヒカリ」
- アニメーションクリップ「キミノヒカリ」ライカリール
・特製36Pアニメブックレット
- キャラクター設定
- 本編美術ボード
- 原画集
- スペシャル対談(高嶋ひろみ×佐藤卓哉×担当編集×プロデューサー)ほか
・高嶋ひろみ描き下ろし小冊子「アントキノ加瀬サン。」
・高嶋ひろみ描き下ろし特製BOX
これまでのシリーズ
- 高嶋ひろみ「あさがおと加瀬さん。」
- 発売中 / 新書館
隣のクラスの加瀬さんは陸上部のエースで美人の女の子。内気な緑化委員の山田は夏休みの少し前、育てているあさがおの前で加瀬さんに声をかけられて仲良くなった。知れば知るほど加瀬さんを大好きになっていく──そんな山田の思いは──!?
- 高嶋ひろみ「おべんとうと加瀬さん。」
- 発売中 / 新書館
- 高嶋ひろみ「ショートケーキと加瀬さん。」
- 発売中 / 新書館
- 高嶋ひろみ(タカシマヒロミ)
- 12月26日生まれの北海道出身。血液型はAB型。主な作品として「未満れんあい」(双葉社)、「はれたら明日! 」(新書館)などがある。また「加瀬さん」シリーズを「ピュア百合アンソロジー ひらり、」にて発表し、同誌の休刊後はウェブマガジンウィングス(いずれも新書館)にて連載中。「あさがおと加瀬さん。」「おべんとうと加瀬さん。」「ショートケーキと加瀬さん。」とシリーズ展開されており、7月25日には最新作「エプロンと加瀬さん。」が発売される。
- 佐藤卓哉(サトウタクヤ)
- 4月生まれのA型で、宮城県栗原市出身。音楽が好き。再放送で観たテレビアニメ「宝島」「母をたずねて三千里」などに衝撃を受け、アニメ界に入る。監督作品に「selector」シリーズのテレビアニメと劇場版のほか、「STEINS;GATE」「苺ましまろ」「好きっていいなよ。」「NieA_7」など。シリーズ構成としてテレビアニメ「Fate/stay night」第1作や「舟を編む」も手がけている。
- イメージソング「君の笑顔(album ver.)」収録
奥華子 アルバム「good-bye」 - 発売中 / ポニーキャニオン
- 奥華子 最新アルバム
「遥か遠くに見えていた今日」 - 発売中 / ポニーキャニオン
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3500円 / PCCA-04535 -
通常盤 [CD]
3000円 / PCCA-04536
2017年8月1日更新