総額300万円分早い者勝ち!WebComicアパンダが贈る型破りな新人賞“熊猫杯”って?編集長に聞いてみた (2/2)

スピード感と手軽さでマンガ賞のイメージを変える

──さて、7月27日からアパンダが主導で新設した新人賞・熊猫杯の作品募集がスタートします。アパンダのオープン1周年を記念して誕生した新人賞ですが、どのような狙いで企画が始まったんでしょうか。

新しい作品を増やしていきたいという狙いはもちろんあるんですが、従来型のマンガ賞が時代的に難しくなってきたと常々感じていたので、この機会にちょっと違う賞が作れないかな、と考えていました。そこでアパンダのオープン1周年を迎える今が、準備が整うタイミングとしてよかったんです。

──そうだったんですか。

これまではマンガ家としてデビューする方法といえば、マンガ賞に応募するか持ち込みをするかの2択でしたよね。でも今は個人でSNSで発表したり、なんなら出版社を通さないで一通りのビジネスとして完成させてしまえるようになったので、マンガ賞がそこまで重要ではない時代になってきたと思うんです。だから何かを変えないといけないなと思ってました。そこで重要になってくるのは、応募する手軽さと作品がオープンになることなのかなという気がしていまして。

──手軽さという点ですと、熊猫杯ではニコニコ漫画とTwitterに投稿することで、エントリーが済んでしまいますよね。

はい。作品をオープンにするという点で言うと、従来のマンガ賞だと、応募したら編集部以外の人の目に触れないで終わってしまうことも多いかと思うんです。でも、もしかしたら編集部の人間に刺さらなくても、読者が読んだら面白かったというような作品もあるかもしれません。そういう取りこぼしをなくすため、熊猫杯は読者もエントリー作品が読めるように、ニコニコ漫画に投稿するという応募方法にしました。ニコニコ漫画にはユーザーのコメントを流す機能があるので、そこで我々も盛り上がっている作品がわかるようになりますし。

「熊猫杯2022」キービジュアル

「熊猫杯2022」キービジュアル

──コメントがたくさん付いている作品は、確かに注目を浴びているんだなと感じます。

もちろん我々も審査しますし、読者の声自体が直接的な審査基準にはならないんですが、評価の参考にできるんじゃないかなと。

──応募の手軽さも従来のマンガ賞と比べて大きく変わるところではありますが、編集部が選んだ作品に賞金を配布していって、賞金200万円分がなくなるまで応募を受け付ける、という点もユニークですよね。

読者もある程度巻き込んだマンガ賞には何が必要なのか、と考えたときに、リアルタイム性なのかなという気がしたんです。今は作品を消費する量もスピードも進んできていて、世間で話題になっている作品に対して、我々編集者もすぐ反応すべきなんじゃないのかなと思うんですよ。「これは面白い!」と話題になっても、例えば受賞作の発表が半年後となると、「今さら?」と思われますよね。PV数が一番増えるタイミングは作品を投稿してすぐだと思うので、読者の人に盛り上がっていただいて、その勢いの中で我々も評価していって、いい作品がすぐに受賞するっていうスピード感を一緒に楽しんでほしいんです。クリエイターも読者も一緒に、マンガ賞自体をエンタメとして楽しんでもらえるのが理想ですね。

──賞金がなくなるまで、という区切りはありますが、明確にいつまで応募を受け付けるか、日程としてははっきり決まっていないので、参加者側からすると「明日終わってしまうかも」という、いい緊張感も生まれそうですね。

その狙いもありますね。これまでは作品が完成したときに、出せそうな賞に応募するということもあったと思うんですけど、今回は応募が早ければ早いほど有利ですし、勢いで出していただいてもいいんです。深く考えて、時間をかけて作り込む作品ももちろん素晴らしいと思うんですけど、一方でそのときの勢いや熱みたいなものに従って、誰よりも早く発表したほうがいいという作品もあると思います。そういう作品だけが欲しいわけではありませんが、ある種レース感があってもいいのかな、というのが今回の形になった経緯ですね。なので、スタート初日に賞金100万円に相当するすごい作品が2本出て、募集はもうおしまいというケースがあっても面白いですよね。実際のところは、ふたを開けてみるまでわかりませんが。

──どんな作品が集まるのか楽しみですね。本日はアパンダ編集部の有村政輝さんと相模悠生さんにもご同席いただいています。おふたりも審査に参加されるとのことで、どのような作品を読んでみたいですか?

有村政輝 コンセプトが面白いもの、でしょうか。編集から作家さんにリクエストを出すと、ある程度トレンドに沿ったものになることが多いので、編集が思い浮かばないような、これまでの枠から外れたものを読んでみたいです。そういう作品はなかなか評価がしづらいかもしれないですけど、逆にこの機会にぜひ応募してみてほしいですね。

相模悠生 ハードルがあまりない、熊猫杯のような自由なマンガ賞ならではの作品に来てほしいなと思います。一方、ニコニコ漫画のユーザー同士がコミュニケーションを取れるのも熊猫杯の特徴なので、「投稿されてすぐバズってるマンガがあるけど、熊猫杯ってなんだろう?」と、新人賞とアパンダに対する注目を集めてくれるような作品が来てくれたらうれしいですね。

「絶対マンガ家になる!」という強い気持ちがなくてもいい

──応募を考えている人の参考にもなると思いますので、アパンダとして今後強くしていきたいジャンルがあったら伺えますでしょうか。

全体で見るとアパンダではコメディが好まれる傾向にあるんですが、とはいえ、Webのマンガが増えている昨今は、読者の目も年々肥えていっていると思うんですよ。その中で、継続して読んでもらえる作品とは、続きが気になるような引きがある作品だと思います。早く続きが読みたいと思わせる謎があったり、強烈な個性を持つキャラだったり。そういう作品が今後は注目されるのではと思いますので、長く読んで楽しめるような作品を増やしていきたいと思っています。

──長寿連載作になり得る内容ということですね。

とはいえ、今回の熊猫杯は必ずしもそういうストーリー重視の作品が欲しいと思ってやっている新人賞ではないんです。今回求めている作品をわかりやすく言うと、ニコニコ漫画のユーザーが盛り上がって、コメントがたくさん流れそうなマンガ、ということになるかなと。熊猫杯でアパンダが求める作品のすべてをカバーしようというつもりはありません。今回求める作品はあくまでもアパンダでやりたい方向性の1つですから、この賞であまり集まらなかったジャンルは、また別な形の新人賞を企画してもいいかもしれませんね。これまでの新人マンガ賞は、絵のうまさやアイデアなど、いろいろな要素の総合力で選んでいたと思います。今回も総合力で評価はしますが、ニコニコ漫画と共同でしてやるので、既存ユーザーに楽しんでもらえることを第一の評価基準として考えたいなと思っています。

編集長の赤坂氏自ら筆を執った応募参考画像。編集部曰く「これぐらい描ければ大丈夫!」とのこと。

編集長の赤坂氏自ら筆を執った応募参考画像。編集部曰く「これぐらい描ければ大丈夫!」とのこと。

──編集部側からはジャンル問わずニコニコ漫画ユーザーに好まれる作品を求めている、ということですね。それでは最後に、応募を考えている読者にメッセージをお願いいたします。

今までの新人賞はマンガ家としてデビューすることを目指す人たちが応募していたと思うんですが、今回は「絶対マンガ家として生活するんだ!」という強い気持ちがなくても出してきてもらいたいんです。実際にデビューするか、連載するかどうかは受賞したあとに我々と話し合って決めたらいい話ですから。今回は思い付いた作品を、誰よりも早く描いて応募してほしいので、難しいことは考えずにぜひエントリーしてみてください。

連載作家陣からもコメントが到着!
WebComicアパンダの魅力は?

「廃バスに住む」イチヒ

連載(掲載)するにあたり、細かい事だったり個人的な要望等にもかなり柔軟な対応をして貰えるところだと思います。実際助かりました。

「シロとくじら」tunral

アパンダ1周年おめでとう!原稿料くれてありがとう(本当に)
アパンダは色んな漫画がたくさん読めちゃうのですが、私が好きなのは先日連載開始した『契約しましょ おつかれさま女子、世話焼き悪魔と暮らす』です!!(7月29日に最新5話更新です)橋本ライドン先生の描く漫画はツイッターでも拝見していたのですが、絵もお話もとってもキュートです。日常にあるちょっとした塩味と優しいが一緒になって素敵な漫画です。読もう!

「見える子ちゃん」泉朝樹

WebComicアパンダ、一周年おめでとうございます!
アパンダ、まずロゴが可愛いですよね。パンダ、ついついクリックしたくなる。
クリックしたら最後、面白漫画の動物園ですよ。もう帰れない。
まるで異世界に飛ばされたよう…。異世界おじさん、
めっちゃ面白いですよね、全部読んでしまった?記憶を消して
もう一度読みたい?いいでしょう、イキュラス・キュオラ!