コミックナタリー Power Push -「ACCA13区監察課」

下野紘×津田健次郎

オノ・ナツメの世界観を繊細に、色鮮やかに描いていく“程よく適当”な2人が語るアニメの空気感

オノ・ナツメ原作によるテレビアニメ「ACCA13区監察課」が、1月よりTOKYO MXほかにてオンエアされている。同作は13区に分かれた王国にある巨大統一組織・ACCAに関わる人々を描いた群像劇で、原作マンガは月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)に掲載されていた。現在は同誌にて番外編「ACCA13区監察課 P.S.(ピーエス)」が連載中だ。

コミックナタリーではアニメの放送を記念し、全3回にわたる特集企画を実施。第1回にはジーン・オータス役の下野紘、ニーノ役の津田健次郎という仲のいい友人同士を演じる2人に登場してもらった。「舞台で芝居をやっている感覚に近い」という収録での様子から、「程よく適当」だというお互いの関係性まで明かす2人。さらにオノからは描き下ろしのイラストが到着。インタビューとあわせて楽しんでほしい。

取材・文 / 熊瀬哲子 撮影 / 佐藤友昭

オノ・ナツメから対談仕様の描き下ろしイラストが到着!
オノ・ナツメ描き下ろしによる対談仕様のイラスト。©Natsume Ono/SQUARE ENIX

キャラクター紹介

主人公・ジーンとその友人・ニーノ

「俺らはどこか似てた。だから気が合ったんだろ」

ジーン・オータス
CV:下野紘
“もらいタバコのジーン”の異名を持つ、ACCA本部監察課の副課長。食パンといちごが好き。
ニーノ
CV:津田健次郎
ジーンの友人であり、フリーの記者。趣味はバイクで、好物はチョコレート。

ACCAトップの役職・5長官

グロッシュラー
CV:諏訪部順一
ACCAトップ・5長官の1人。ロックス区出身。
リーリウム
CV:遊佐浩二
フラワウ区出身。グロッシュラーとはたびたび衝突する。
スペード
CV:大川透
ヤッカラ区出身。さまざまなことを取り決める5長官会議では、議長役になることもしばしば。
パスティス
CV:緑川光
スイツ区出身。スペードと行動をともにすることが多い。
パイン
CV:安元洋貴
ジュモーク区出身。リーリウムとよくお茶をする。

下野紘×津田健次郎 インタビュー

「ジーンが語らないからって音楽が語るの!?」(下野)

──おふたりはオノ・ナツメさんの原作を読まれて、どんな感想を持たれましたか?

津田健次郎 アーティスティックで、とてもおしゃれな世界観の作品だなという印象がまずありました。キャラクターの個性も強いですし、特に後半になっていくにしたがってその魅力も増していって、物語の伏線も続々と回収されていく。お話がどんどん深く広がっていくところは一読者として面白いなと感じました。

下野紘 そうそう。読んでいけば読んでいくほど「あれ? ちょっと待って。これって前の巻でさ……」ってもう一度前の巻を読みたくなるような、気になる展開が続いていくんですよね。濃いキャラクターやオノ先生の独特な絵柄ももちろんですが、何度も読み返したくなるストーリー展開が魅力の作品だと思います。

──アニメは第2話までオンエアされたところですが、アニメーションとしての「ACCA」をご覧になってみていかがでしょう。

下野 ACCAって制服も黒ですし、ストーリーも“陰謀”や“クーデター”っていう言葉を中心に動いていくので、僕の中で勝手に暗めな印象を抱いていたんです。それがアニメになるとものすごく色鮮やかに表現されていて。きっと原作も同じように描かれていたと思うんですけど、アニメになってさらに色彩豊かになったと感じました。その彩りが「ACCA」の独特な世界観を広げていってるんだろうなあと。

左から下野紘、津田健次郎。

──街の風景や背景はもちろん、みんなで食べるおやつもカラフルに彩られていて、画面が華やかでしたね。

下野 そうなんですよ。色がついて、曲が流れて、キャラクターがしゃべりだして、表情豊かに動いて。こんなに華やかになるんだなあと、第1話を観たときはびっくりしましたね。

津田 僕もアニメを観て、明るい色がパッと目に入ってきたなと思いました。だけどその分、明るいだけの作品ではないんだなと。陽が射している部分をしっかり描くことによって、影の部分もくっきりと出てくるんだなと気付かされましたね。

「ACCA13区監察課」2巻より、パン屋・ムギマキでモーヴに会うジーン。ポーカーフェイスなジーンの、その心に潜む思いとは……。©Natsume Ono/SQUARE ENIX

下野 確かに。シーンによって色と音楽でその明暗をはっきりさせますよね。僕はアニメを観て衝撃を受けましたよ。第2話の最後、ジーンがモーヴさんとパン屋で会うシーンで、あんなにかわいらしい曲が流れるんだって。「ちょっと待って! ジーンが語らないからって音楽が語るの!?」っていう(笑)。

津田 ははは、そうだね(笑)。

──確かに原作の同じシーンでは、ジーンの感情まではわからなかったです。

津田 もう少しさらっと描かれていましたよね。

下野 そう。だからあのシーンを観て「おお、こいつ……!」ってびっくりしました(笑)。

舞台で芝居をやっている感覚に近い(下野)

──「ACCA」はキャラクターたちのセリフにも、オノさん独特のセンスを感じます。実際にアフレコをしてみて、感触はいかがですか?

下野 マイク前でしゃべってみて改めて感じたんですけど、家でリハーサルビデオを観ながら演じるときと、アフレコでほかのキャストの方と掛け合ってみたときとではまったく違うものが出てくるんですよ。「ACCA」はセリフの言い回しも独特ですし、特にジーンは言葉数が少ないキャラクターなので、1人でしゃべっていてもジーンというキャラクターのことがわからないときがあるんです。

──ジーンは言葉にも顔にも感情を出さないキャラクターですもんね。

左から下野紘、津田健次郎。

下野 そうなんです。なので例えばニーノとの会話のシーンは、実際に津田さんと掛け合ってみたときに「ニーノがこうくるってことは、ジーンはこう返すだろう」と、ジーンの心の動きを感じ取ることができる。そうやって演じているうちに演技も変わっていくんです。そういう意味では舞台で芝居をやっているような感覚に近いかもしれません。

津田 僕としては、ニーノというキャラクターを演じるのは非常に神経を使うなと思っていて。ジーンもそうだと思うんですけど、どこまで何を出していくのかが難しいんです。

下野 そうなんですよ。

津田 ここでこの感情を出していいものか、匂わせるにしてもどこまで匂わせていいものか……っていう。ニーノにしてもジーンにしても、感情の波は当然あるんですけど、それが表に出てこない。

下野 だからさじ加減が難しいですよね。

津田 そう。すごく繊細に作られていますし、言葉にも物語にも省略の美学みたいなものがある作品なので、多くは語られない。それだけに言葉の比重が上がるので、ひと言発するにもプレッシャーがかかってくるんです。僕らのテンションで乗り切れるわけでもないですし。

下野 ノリでいけるものじゃないですからね。

ドーワー王国の王位継承権を持つ、唯一の王子であるシュヴァーン(CV:宮野真守)。ACCAが気に入らない様子を見せる。

津田 宮野(真守)くんのシュヴァーンはいいなあと思いますよ。

下野 そう! 本当に!

津田 ノリノリでやってて、楽しそうだなあって(笑)。

──ああ、まだアニメには出てきていないですが、宮野さんが楽しそうにシュヴァーンを演じられている姿はなんとなく想像ができます(笑)。

津田 横で見ていて「いいなあ」って思いましたよ(笑)。

ACCA13区監察課

テレビアニメ「ACCA13区監察課」

あらすじ

13の自治区に分かれた王国にある、巨大統一組織“ACCA(アッカ)”。かつてクーデターの危機により結成されたACCAは、国民の平和を守り続け100年が経とうとしていた。ACCA本部の監察課副課長 ジーン・オータスは、「もらいタバコのジーン」の異名をもつ、組織きっての食えない男。飄々とタバコを燻らせながら、13区を廻り不正がないか視察を行っている。そんなジーンを見つめる視線、不穏な噂と──おやつの時間。ジーンの平和な日常は、ゆっくりと世界の陰謀に巻き込まれていく!

放送情報
  • TOKYO MX:毎週火曜23:00~
  • サンテレビ:毎週火曜24:00~
  • KBS京都:毎週火曜24:30~
  • テレビせとうち:毎週火曜26:10~
  • BS11:毎週水曜24:30~
配信情報

見放題配信 アニメ放題 / バンダイチャンネル / ビデオパス / Hulu / プレミアムGYAO! / dアニメストア / dTV / U-NEXT
毎週木曜12:00~

AbemaTV
毎週土曜24:00~

都度課金 バンダイチャンネル ほか
毎週木曜12:00~

無料ライブ配信 AbemaTV
毎週土曜23:30~

スタッフ
  • 原作:オノ・ナツメ(掲載 月刊「ビッグガンガン」スクウェア・エニックス刊)
  • 監督:夏目真悟
  • シリーズ構成:鈴木智尋
  • キャラクターデザイン:久貝典史
  • 総作画監督:小田剛生、吉田奏子
  • 衣装設定:榎戸駿
  • 小物設定:五十嵐海
  • 美術監督:吉岡誠子
  • 色彩設計:橋本賢
  • 撮影監督:伏原あかね
  • 3D監督:籔田修平
  • 編集:木村佳史子
  • 音響監督:はたしょう二
  • 音楽:高橋諒
  • アニメーション制作:マッドハウス
キャスト
  • ジーン・オータス:下野紘
  • ニーノ:津田健次郎
  • ロッタ:悠木碧
  • グロッシュラー:諏訪部順一
  • リーリウム:遊佐浩二
  • スペード:大川透
  • パスティス:緑川光
  • パイン:安元洋貴
  • モーヴ:田中敦子
  • ポチャード:後藤ヒロキ
  • オウル:上田燿司
  • ノット:前野智昭
  • レイル:八代拓
  • シュヴァーン:宮野真守
  • マギー:上村祐翔
  • ファルケ2世:中尾隆聖
  • クヴァルム:石塚運昇

©オノ・ナツメ/SQUARE ENIX・ACCA製作委員会

「ACCA13区監察課 1」 / 2017年4月21日発売 / バンダイビジュアル
Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1225
Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1225
DVD BOX / 11880円 / BCBA-4830
「ACCA13区監察課 2」 / 2017年6月23日発売 / バンダイビジュアル
Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1226
DVD BOX / 11880円 / BCBA-4831
「ACCA13区監察課 3」 / 2017年8月29日発売 / バンダイビジュアル
Blu-ray BOX / 14040円 / BCXA-1227
DVD BOX / 11880円 / BCBA-4832
下野紘(シモノヒロ)

東京都出身、4月21日生まれ。声優。2016年3月16日に発売されたシングル「リアル -REAL-」よりアーティスト活動も行っている。主な出演作は「うたの☆プリンスさまっ♪」シリーズ(来栖翔役)、「ベルセルク」(イシドロ役)、「弱虫ペダル NEW GENERATION」(鏑木一差役)など。

津田健次郎(ツダケンジロウ)

大阪府出身、6月11日生まれ。俳優、声優。主なアニメの出演作は「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」(海馬瀬人役)、「GANGSTA.」(ニコラス・ブラウン役)、「将国のアルタイル」(ルイ役)、吹き替えでは「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(パーシバル・グレイブス役)など。


2017年4月7日更新