米津玄師「BOOTLEG」PR

米津玄師|オリジナルってなんだ? “海賊盤”に詰め込んだ美と本質

米津玄師が11月1日にアルバム「BOOTLEG」をリリースする。

彼がアルバムを発表するのは約2年ぶり。今作は、アニメや映画の主題歌となった数々の楽曲を含む1枚だ。ハチ名義で発表した「砂の惑星」やDAOKO×米津玄師名義で発表した「打上花火」のセルフカバーも収録し、収録曲の「灰色と青」には菅田将暉、「fogbound」には池田エライザが参加している。

なぜニューアルバムで彼はさまざまなコラボレーションを繰り広げたのか。そして、なぜその作品に「海賊盤」という意味を持つ「BOOTLEG」というタイトルを冠したのか。音楽ナタリーでは、約1万字にわたるインタビューを掲載。彼の考えをじっくりと聞いた。

取材・文 / 柴那典

また1つ自由になれたのかな

──「BOOTLEG」、時代を代表するような1枚だと思いました。

ありがとうございます。

──収録曲のうち、最初にできたのはどの曲でしたか?

「ナンバーナイン」です。

──昨年の9月にリリースされた「ルーヴルNo.9」のイメージソングですね。その時点で、次のアルバムをどういうものにしようというイメージはありましたか?

いや、まったくなかったです。「ナンバーナイン」から始まって、そこからいろんなタイアップがあったし、人や作品との関係性でずっと曲を作ってきたので。「3月のライオン」の「orion」、「僕のヒーローアカデミア」の「ピースサイン」、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の「打上花火」、「マジカルミライ」の「砂の惑星」と、そのときそのときでモードが全然違う曲を1曲ずつ作っていった。それぞれのアプローチが全然違うから、どんなアルバムになるのか自分でもよくわからないまま作っていった感じでした。あちこちに点があって、その点を結んでいった中間地点で自分が浮き彫りになるようなアルバムになるのではないかと思っていました。

──この2年間、いろんなコラボレーションやタイアップを展開してきたというのは、どういう理由だったんでしょう。

同じことを繰り返していても面白くないじゃないですか。それまでずっと1人でやってきたことに対してほとほと飽きがきていたところから、自分の米津玄師としてのキャリアがスタートしていると思うんですね。それが極端に出たのかもしれないです。

──これまでのキャリアを振り返ると、デビューしてから「Bremen」(2015年)というアルバムまでの3枚で、1つの到達点にたどり着いた感覚があったんじゃないかと思うんです。だから新しい刺激を求めたのではないか、と。

そうかもしれないですね。「diorama」「YANKEE」「Bremen」という3枚のアルバムは、作品ごとに「前はこういう感じだったから次はこういうアルバムにしよう」という明確なビジョンがあった気がする。でも、今回はそれがない。「BOOTLEG」というタイトルも土壇場になって決めたので、そういう意味でまた1つ自由になれたのかなという気がしています。

他者との対比によって、浮き出てくる自分

──誰かと共同作業をするというのは、決して楽ではないですが、得ることもすごく大きいのではないかと思います。そのあたりはどうでしょう? 振り返って、どんなものを得たと思いますか?

いろいろありますね。そもそも自分の曲の作り方、メロディの構築の仕方も新しくなった。自分が歌って気持ちいいメロディがほかの人にも100%当てはまるわけでもないので、そういった経験を経て新しいメロディや言葉を考えたということが大きいです。今回のアルバムは関係性のアルバムだと思うんです。いろんな関係性、いろんなオマージュが至る所に散りばめられている。「3月のライオン」と自分、「僕のヒーローアカデミア」と自分、初音ミクと自分という。そのほかにも、池田エライザや菅田将暉、本当にいろんな人がいる。「爱丽丝」をレコーディングしてくれた飲み仲間もそうだし。そうやって、いろんな人の力を借りたり、自分以外の人間と一緒にやることによって、自分がどういう人間なのかがよりわかりやすく浮き彫りになった感じもあります。他者との対比によって、より自分自身が浮き出ているという。

──池田エライザさん、菅田将暉さんが参加していることもこのアルバムのポイントだと思います。まず「fogbound」に池田エライザさんが参加したきっかけは?

エライザは、そもそも知り合いではあったんですよ。Twitterでやりとりをしたり、会ったこともあって。で、この曲の発端になったのは彼女のInstagramに投稿されていた動画を観たこと。真っ暗なままの画面で、環境音とかゴソゴソいう音も聴こえるような、たぶん歩きながら撮ってたような動画なんですけど、そこで彼女が歩きながら歌ってる、その歌声が本当に素晴らしくて。呟くように、儚い感じで歌っている。それを聴いて、その儚さとどこか虚無感みたいなものを感じる歌声が、この「fogbound」という曲に120%マッチするだろうなっていうことを思った。そこからは早かったです。

──この曲は「打上花火」よりあとにできたんですか?

そうですね。直後です。

──「打上花火」はもともとDAOKOさんが歌う前提で作って、結果としてデュエットになったんですよね。やはりあの曲でつかんだ手応えは大きかったですか?

それはありますね。最初はデュエットという発想自体がまったく自分の中になかったので。「大丈夫だろうか?」と思っていたけれど、実際にやってみたら対照的な声が重なって、足りないレンジを補い合うようなバランスで成り立つ曲になった。「ああ、これはこれでいいな」と思ったんですよね。そこで、自分の曲の中に違う人間の声が乗るのも面白いと思ったんです。しかもエライザと菅田くんは俳優で、つまり音楽畑じゃないところから参加してもらった。全然違う文脈が自分の中に入ってくることによって、また自分が新しくなっていくし、自分自身の姿形っていうのがより明確に見えてくる感じがあって。すごく楽しかったですね。

米津玄師「BOOTLEG」
2017年11月1日発売 / Sony Music Records
米津玄師「BOOTLEG」初回限定ブート盤

初回限定ブート盤
[CD+12inchアナログ盤ジャケット+アートイラスト+ポスター+ダミーレコード]
4860円 / SRCL-9567~8

Amazon.co.jp

米津玄師「BOOTLEG」初回限定映像盤

初回限定映像盤 [CD+DVD]
3996円 / SRCL-9569~70

Amazon.co.jp

米津玄師「BOOTLEG」通常盤

通常盤 [CD]
3240円 / SRCL-9571

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. 飛燕
  2. LOSER
  3. ピースサイン
  4. 砂の惑星( +初音ミク )
  5. orion
  6. かいじゅうのマーチ
  7. Moonlight
  8. 春雷
  9. fogbound( +池田エライザ )
  10. ナンバーナイン
  11. 爱丽丝
  12. Nighthawks
  13. 打上花火
  14. 灰色と青( +菅田将暉 )
初回限定映像盤DVD収録内容
  • LOSER Music Video
  • orion Music Video
  • ピースサイン Music Video
  • ゆめくいしょうじょ Music Video

ツアー情報

米津玄師 2017 TOUR / Fogbound
  • 2017年11月1日(水)大阪府 フェスティバルホール
  • 2017年11月2日(木)大阪府 フェスティバルホール
  • 2017年11月4日(土)兵庫県 神戸国際会館こくさいホール
  • 2017年11月5日(日)兵庫県 神戸国際会館こくさいホール
  • 2017年11月8日(水)埼玉県 大宮ソニックシティ
  • 2017年11月9日(木)埼玉県 大宮ソニックシティ
  • 2017年11月18日(土)徳島県 鳴門市文化会館
  • 2017年11月19日(日)愛媛県 松山市民会館
  • 2017年11月23日(木・祝)福岡県 福岡サンパレス
  • 2017年11月24日(金)福岡県 福岡サンパレス
  • 2017年11月26日(日)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第1ホール
  • 2017年11月29日(水)新潟県 新潟県民会館
  • 2017年12月1日(金)北海道 ニトリ文化ホール
  • 2017年12月7日(木)宮城県 仙台サンプラザホール
  • 2017年12月9日(土)福島県 郡山市民文化センター 大ホール
  • 2017年12月14日(木)神奈川県 パシフィコ横浜 国立大ホール
  • 2017年12月16日(土)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2017年12月17日(日)愛知県 名古屋国際会議場センチュリーホール
  • 2017年12月23日(土・祝)岡山県 岡山市民会館
  • 2017年12月24日(日)広島県 上野学園ホール
米津玄師 2018 LIVE / Fogbound
  • 2018年1月9日(火)東京都 日本武道館
  • 2018年1月10日(水)東京都 日本武道館
米津玄師(ヨネヅケンシ)
男性シンガーソングライター。2009年より「ハチ」という名義でニコニコ動画にVocaloid楽曲を投稿し、総合2位の「マトリョシカ」をはじめ数々のヒット曲を連作。2012年5月に本名の米津玄師として初のアルバム「diorama」を発表した。全楽曲の作詞、作曲、編曲、ミックスを1人で手がけているほか、アルバムジャケットやブックレット掲載のイラスト、アニメーションでできたビデオクリップも自身の手によるもの。マルチな才能を有するクリエイターとして注目を集めている。2013年5月、シングル「サンタマリア」でメジャーデビュー。2014年4月に米津玄師名義としては2枚目のアルバム「YANKEE」を発表し、6月には初ライブのワンマン公演を東京・UNITで開催した。2015年8月には「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2015」で野外フェス初出演を果たす。2016年にはルーヴル美術館特別展「ルーヴルNo.9 ~漫画、9番目の芸術~」の公式イメージソングとして、新曲「ナンバーナイン」を書き下ろし、同年9月に両A面シングルとして「LOSER / ナンバーナイン」をリリース。10月には中田ヤスタカとタッグを組み、映画「何者」の主題歌「NANIMONO (feat. 米津玄師)」を発表、12月には初の単行本「かいじゅうずかん」を発売した。2017年2月にテレビアニメ「3月のライオン」のエンディングテーマを表題曲とする「orion」をリリース。6月にはテレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」のオープニングテーマ「ピースサイン」をリリース。8月には、初音ミク「マジカルミライ2017」のテーマソング「砂の惑星」をハチ名義として、映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」の主題歌をDAOKO×米津玄師名義としてプロデュースした。11月に4枚目のオリジナルアルバム「BOOTLEG」を発表する。