ナタリー PowerPush - やなぎなぎ

ハイクオリティな渋谷系ポップを歌う快楽

やなぎなぎが現在放送中のテレビアニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のオープニングテーマにして5thシングル「ユキトキ」を4月17日にリリースする。

これまでI'veの中沢伴行&尾崎武士、中川翔子「空色デイズ」などで知られる齋藤真也ら、名だたるクリエイター陣と共作してきたやなぎが、今回タッグを組んだのはROUND TABLEの北川勝利。その北川が作編曲を手がけた表題曲は、スムーズでありながら弾けるようなポップさと明るさをたたえる上質なポップチューンとなっている。

今回のインタビューでは楽曲制作にまつわるエピソード、新たなパートナーとともに目指したもの、バラエティに富んだ楽曲を歌いこなすボーカリストの思う「歌うことの快楽」について詳しく聞いた。

取材・文 / 成松哲

 
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やなぎなぎ、「俺ガイル」「ちょびっツ」を語る

──「もうやなぎなぎの新曲情報を聞いてもビックリすまい」と思ってたんですけど「やなぎなぎ meets 渋谷系」の組み合わせはやっぱり意外でした(笑)。なぜ北川さんと組もうと?

最初に北川さんのことを知ったのは「ちょびっツ」っていうアニメのオープニングテーマだったROUND TABLE featuring Nino「Let Me Be With You」で。深夜なんとなく付けていたテレビから流れてきたんですけど「今のアニメってこういうオシャレな曲をやるんだ」って衝撃を受けまして。

──言ってしまえば、なんでボロアパート暮らしの浪人生が女の子型のパソコンを拾う話のオープニングテーマがフィリーソウル風なんだよ、と(笑)。

そうですね(笑)。そのコンピュータの女の子と主人公の恋愛なのか恋愛じゃないのか、よくわからない関係を描いている話のオープニングにあの曲が流れてくる感じがすごくよくて。なので今回の「ユキトキ」では、あのとき私が感じたオシャレな衝撃を皆さんにも感じていただきたかったというか。「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」(俺ガイル)はコメディなのに「ユキトキ」がオシャレでスタイリッシュだったら「あれっ!?」ってなって面白いんじゃないかなって(笑)。

──だいたい「俺ガイル」は“渋谷系”じゃないどころか千葉が舞台。しかも千葉=地方都市であることにけっこう意味のあるお話だし。

そのギャップが面白いかなって。ただ「ユキトキ」の制作に入る前にアニメ本編のシナリオを見せていただいたとき「北川さんの曲がオープニングで流れてもギャップしか感じない、違和感しか残らないみたいなことにはならないな」とも感じていて。原作のライトノベルは会話のスピード感で魅せていく感じだったんですけど、アニメはその原作の会話の面白さと映像のテンポのよさをスタイリッシュに融合してアウトプットしている印象を受けたので、ギャップがありつつも北川さんの曲が似合う気はしてました。

やなぎなぎ、渋谷系をクールに歌う

──そして実際にできあがってきたのがあの曲ですもんね。大胆にグリッサンドしながら明るくストリングスが重なっていって、「これからカマすぞ」って予告するかのようなブレイクでタメを作っておいてホントにヌケのいいサビに突入する“The 北川トラック”。しかもDメロ終わりにはけっこうハードなギターソロまで入るオマケ付きという。

あのギターソロは熱いですね(笑)。イントロやAメロの8小節は抑えめだったりするぶん、そのギターソロやサビがすごく派手で明るく聞こえるんだけど、でもスッキリもしていたりして。「たぶん北川さんって感性そのものがオシャレにできてるんだろうなあ」って感じの曲ですよね。

──その北川トラックは歌いやすかったですか?

レコーディング前、キーを決めるのにはちょっと悩んだんですけど、すごい歌いやすかったですね。最初、今のキーのプラス2度で歌ってみたらなんか別の人の曲みたいになっちゃって。「ちょっと私っぽくない」ということで北川さんやスタッフさんと何度かやり取りした結果、今のキーに落ち着いたんですけど、それからはスムーズというか。メインボーカルを録ってるときは北川さんも「あっ、もうそのまんまで」って感じでしたし、コーラスも息の抜き方とかにこだわりつつ、一緒に作ることができましたし。これまでのシングルを聴いてくださっている皆さんが思っているだろうやなぎなぎらしさを出しつつも、新しいことをプラスできた気はしています。

──プラスした新しいことって?

トラックのもつ明るさや北川さんらしい曲の展開の魅力を最大限に引き出したら楽しいだろうなっていうことで、ちょっと渋谷系寄りにというか……。なんて言えばいいんですかね。ちょっと力が抜けて涼しげな感じをさせつつ、でも自分の世界に寄せていけるようにけっこう慎重に歌っていて。そのへんは新しい挑戦かなって思ってます。

ニューシングル「ユキトキ」/ 2013年4月17日発売 / 1260円 /ジェネオン・ユニバーサル / GNCA-0269
ニューシングル「ユキトキ」
収録曲
  1. ユキトキ
  2. 音のない夢
  3. Surrealisme
  4. ユキトキ(instrumental)
  5. 音のない夢(instrumental)
  6. Surrealisme(instrumental)

※「Surrealisme」の「r」と「a」の間の「e」にはアキュートアクセント「'」が付く。

やなぎなぎ

関西出身の女性シンガーソングライター。2006年からライブハウスやインターネット上で音楽活動を開始する。動画投稿サイトに数多くのカバー楽曲を公開して注目を集め、「君の知らない物語」をはじめとするsupercellの楽曲にnagi名義でゲスト参加したことでも話題となった。繊細かつ透明感あふれる歌声と、印象的な楽曲の世界観が幅広い層から支持される。2012年2月、テレビアニメ「あの夏で待ってる」のエンディングテーマ「ビードロ模様」でメジャーソロデビュー。同曲はオリコンCDシングル週間ランキング11位にランクインした。以来、テレビアニメ「ヨルムンガンド」のエンディングテーマ「Ambivalentidea」、「ヨルムンガンド PERFECT ORDER」のエンディング曲「ラテラリティ」、「AMNESIA」のオープニングテーマ「Zoetrope」を発表。そして2013年4月、アニメ「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のオープニングテーマを含む5thシングル「ユキトキ」をリリースする。