ナタリー PowerPush - T-Palette Records#3 - Negicco

結成10年 最高の追い風

「青い鳥探したら 林檎のシンフォニー聞こえる」

──そうやって過去の出来事や自身の発言、別の誰かの作品などを伏線として回収しながら曲にする手法は、もはやconnieさんの、そしてNegiccoの特徴にもなってますよね。いつも何かがつながっている。次の9曲目「ルートセヴンの記憶」もまさにそれで、これまでにもいくつかある新潟の風景を取り入れた歌詞、リスペクトという名の引用(笑)、「あのときの発言はこれか」とあとで思わせるTwitterのつぶやき。connieイズムの塊みたいな楽曲で。

Kaede 「アイス倉庫」はびっくりしました。最初は「アイス工場」だったんですよ。実際は倉庫だったんですよね。

connie ルートセヴン……7号線の脇にあるんです。ずっと工場だと思ってたんですけど、確認したら倉庫だった。電話で確認したんですけど(笑)。「ここ工場ですよね?」って。レコーディングのギリギリ直前に判明して、じゃあ倉庫にするしかないなと。

──そこらへんはリアリティを重視するんですね。あくまで物語として、架空の「アイス工場」でもいいと思うんですけど。

connie 言葉の響きなら絶対に「アイス工場」なんですけどね、元ネタ的にも(笑)。でも工場も倉庫も音は近いし、本当のことのほうがより新潟の人にはいいかなと思ったんで。

Nao☆ 歌はテクニック的にすごく難しいんですけど「こういう曲を待ってました!」って感じで。今までになかった曲調で音楽の幅も広がったし、これからもずっと歌っていける曲だと思います。

Megu 「力を抜いて歌う」ってことが初めてだったんですよ。自分でもどうなるんだろうと思ってたけど、できあがってみたらすごく心地よくて、こういう歌い方も全然ありだなって。

Nao☆ かえぽ(Kaede)は前からボサノバが好きでカラオケでもよく歌ってるんですけど、間奏のあとの歌い方とかそういう感じになってる気がする。

Kaede

Kaede Negiccoにはボサノバは絶対合わないと思ってたんですよ(笑)。ある程度アップテンポな楽曲をずっとやってったほうがいいんじゃないかなって。でもこの曲をもらったときは、自分でもいつか歌ってみたかった曲調だし「絶対いいものにしたい!」って思いました。

connie あ、あと歌詞についてはもう1つ重要なことがあって。そのCメロパートでKaedeが歌ってる「青い鳥探したら 林檎のシンフォニー聞こえる、ね?」はさっき挙げた花澤さんの「claire」と竹達さんの「apple symphony」を意識したものなんです。今回のアルバムに参加していただいた長谷さんと吉田哲人さんが手がけられた曲から。

──あー、なるほど。得意のオマージュですね(笑)。

connie 急に新潟関係なくなっちゃいますけど(笑)、僕の中ではここ超重要なんです。のちのちこの2枚のアルバムに続く「2013年渋谷系の3枚目」として数えてもらえたらいいなって。

Negiccoから初めてのダメ出し

──そして次の「ネガティヴ・ガールズ!」ですが、これはNegiccoのよさ、Negiccoらしさのよく出た、新たな代表曲になりうる1曲になりましたね。3人が歌詞を書いていますが、これはなぜ自分たちで書こうと思ったんですか?

Nao☆ 初のオリジナルアルバムだから記念に3人で書きたい、というのは最初から考えてたんですよ。で、connieさんにアドバイスをもらいながら書いても成長できないから、3人だけで考えようって。でもどうしたらいいんだろうなあって考えてたときに、SCANDALのRINAちゃんとHARUNAちゃんのユニット、Almond Crashの「恋の始まりはダイエット」を思い出したんです。あの曲はサウンドもおしゃれだし、歌詞も2人のキャラが引き立ってて。こういう歌が歌いたいって思ったんですよ。それで「この曲誰が作ってるんだろう」って調べたら、今回のアルバムに参加してくださってるRAM RIDERさんで「うわ、つながってる!」みたいな(笑)。

──(笑)。それで3人で話し合いながら。

Nao☆ はい。でも、ただ単に恋愛の話を持ち寄っても平凡な長持ちしない歌になってしまうと思って。

Megu 私たちはどんな性格だろう?って改めて考えて、最近気になることを3人で出し合ったんですよ。私は「自分がかわいくないこと」。Nao☆ちゃんは「人見知り」で、かえぽも「人との関わり方がよくわからない」。

Kaede 結局ネガティブなことしか出なくて(笑)。

Nao☆

Nao☆ そこで思い浮かんだのが吉田豪さん。私たちはずっと豪さんに見てもらってて、落ち込んだときとかもいつも連絡をくれるんですけど、落ち込んで周りから「ネガティブなこと言っちゃダメだ」って言われてるようなときも、豪さんだけは「ネガティブだっていいんだよ」って言ってくれるんです。無理にポジティブになることもないし、これも私たちの個性だって。「ネガティヴ・ガールズ!」ってタイトルなら、見る人が見れば「これNegiccoのことじゃん!」ってすぐわかると思うんですよ。歌詞もそれぞれ自分が書いたところを歌っていて。セリフを入れたのは、より私たちのことが伝わりやすいように、歌じゃない声質も伝えたいと思ったんです。でもそのあと、connieさんから曲をもらったら……。

Megu ちょっとスローテンポな、下がっちゃう系の曲だったんですよ。それだとネガティブ感がモロに出ちゃうので(笑)、これマズいんじゃないかなって。

Nao☆ 「ネガティヴ・ガールズ!」って言いながらも、聴いてて「何これ楽しいじゃん!」って思えるものにしたかったんですよ。それで時間もギリギリなのに「connieさん、申し訳ないですけど……作り直してください」って。

──まさかのダメ出しが(笑)。

Nao☆ それに「“繰り返し法”が頭に入る、それがヒットの秘訣だ」という話を聞いて。きゃりーぱみゅぱみゅさんだったら「つけまつける」とか、Perfumeさんなら「ポリリズム」とか、繰り返して連呼するような曲にしたいというのもダメ出しと一緒にお願いしました。「『ネガティヴ・ガールズ!』だけひたすら繰り返してください」ってお願いしてできたのがこの曲で。もう最高っ!って思いましたね。

──思い切って本音をぶつけた結果は、大正解でしたね。

Nao☆ でもホントに言っていいものかどうか迷ったんですよ。すごくがんばって作ってくれてるし、時間がないのはわかってるし……。

connie 作り直せって言われたときは凹みましたけど(笑)、正直この曲って自分だけでは絶対作れなかったと思うんですよ。そういう注文があったからこそ作れた。今までの自分になかったものを3人が引き出してくれました。「ああ、今までのconnie曲になかったものはこれか」と。吉田(哲人)さんには簡単なコードだけを渡して、ある曲を例に挙げて「こんな感じで」ってお願いして。聴けばわかる人にはすぐわかると思うんですけど(笑)、予想をはるかに超える素晴らしいアレンジに仕上げてくださいました。

Negiccoから“君”へ

──そしてオリジナル曲としてはアルバムラストとなるRAM RIDERさんの曲ですが……すごいタイトルですよね(笑)。「Negiccoから君へ」。これはRAM RIDERさん自身が?

写真左からKaede、Nao☆、Megu、connie。

connie ええ、すべてお任せです。

Nao☆ RAMさんが裏で内密に、「connieさんへの普段思っている気持ちを送ってほしい」っていう連絡があったんですよ、3人にだけ。connieさんが私たちのことを思って書いてる歌詞はいっぱいあるけど、逆に私たちからconnieさんへ、というのはなかったので。それをRAMさんから積極的に形にしてくれたことに感動しました。愛があるなあって。

Kaede connieさんの印象とか日頃思っていることとか、いくつか質問事項があって。私のconnieさんの印象は、いつもコーラを持ってる人(笑)。

connie その通りです(笑)。

──なんか、初めからアルバム本編を締めくくることをイメージして書かれたような曲ですよね。ライブでも最後に歌うところが想像できるというか。

Nao☆ RAMさんもレコーディングのときにおっしゃってました。この曲は最後に歌ってほしい、お別れの曲みたいな感じにしたいって。最近振り付けが決まったんですけど、曲の最後に星を眺めるようなポーズを取るんですよ。つながってるなと思いましたね、宇宙と(笑)。

connie 歌詞を読むと完全に僕のことですけど、ファンの皆さんに対してのお礼としても受け取れる内容だと思うんですよ。これもやはり僕には作れないものなので、すごくいいなって思いましたね。確か最初の打ち合わせでRAMさんに言われたと思うんですけど、「いやあ、依頼がくるのはうれしいけど困ったなあ。connieさんのネギへの思い入れがハンパないから」って(笑)。ほかの作家さんにも同じようなことを言われましたけど、RAMさんはそれをそのまま表現してくれたんだろうなと。

──新しく楽曲提供で参加された方の楽曲は、どれもNegicco愛にあふれてますよね。全員がNegiccoにエールを込めて曲をプレゼントしているような印象があります。

connie レコーディングに立ち会っているときも、皆さんそれぞれ愛情を持って接してくれているのが伝わってきました。彼女たちの人柄もあるんだろうけど、そこはホントに恵まれてますね。

ニューアルバム「Melody Palette」 T-Palette Records
[CD] 2013年7月17日発売 / 3000円 / TPRC-0047
[アナログ2枚組] 2013年8月14日発売 / 4500円 / TPRV-0003
収録曲
  1. 愛のタワー・オブ・ラヴ
  2. あなたとPop With You!
  3. アイドルばかり聴かないで
  4. イミシン☆かもだけど
  5. 相思相愛
  6. 恋のEXPRESS TRAIN
  7. GET IT ON!
  8. ナターシア
  9. ルートセヴンの記憶
  10. ネガティヴ・ガールズ!
  11. Negiccoから君へ
  12. スウィート・ソウル・ネギィー(grooveman's Jack Bounce Mix)
  13. ニュートリノ・ラヴ(banvox remix)
BACK NUMBER
#1 アップアップガールズ(仮)
#2 lyrical school
#3 Negicco
#4 所属アイドル座談会
T-Palette Records

タワーレコードが発信するアイドル専門レーベルとして2011年6月に設立。以降、立ち上げ時からのメンバーであるバニラビーンズ、Negiccoをはじめ、LinQ(2013年4月にメジャー移籍)、しず風&絆~KIZUNA~、lyrical school、ライムベリー、アップアップガールズ(仮)といった楽曲に定評のあるアーティストが数多く参加し、タワーレコードならではの“音”にこだわった作品が続々とリリースされている。またレーベル主催イベントの開催や、全国各地のアイドルグループを紹介するコンピレーションCDの販売など、アイドル文化の活性化に大きく貢献している。

Negicco(ねぎっこ)

新潟の名産品「やわ肌ネギ」のキャンペーンユニットとして2003年7月に結成。キャンペーンソング「恋するねぎっ娘」でCDデビューを果たす。キャンペーン終了後も地元新潟を拠点に活動を続け、2010年にはローカルアイドルの音楽フェスティバル「U.M.U AWARD 2010 ~全国アイドルお取り寄せ展~」で優勝。2011年にはバニラビーンズとともに、タワーレコードが設立したアイドル専門レーベル「T-Palette Records」の第1弾アーティストとなった。同年11月にシングル「恋のEXPRESS TRAIN」を発表した。2012年2月にはベストアルバム「Negicco 2003~2012 -BEST-」をリリース。このアルバムに収録された代表曲「圧倒的なスタイル」は同年1月よりフジテレビ系人気バラエティ「めちゃ×2イケてるッ!」のエンディングテーマとして1年にわたってオンエアされた。結成10周年を迎えた2013年7月には、小西康陽、西寺郷太(NONA REEVES)ほか豪華クリエイターを作家陣に迎えた1stオリジナルアルバム「Melody Palette」をリリース。