ナタリー PowerPush -T.M.Revolution
ファンを決して裏切らない! 6年ぶり新作アルバムが伝える西川貴教の生き様
T.M.Revolutionは自分の生き様そのもの
──もう少し具体的に伺いたいんですけど、西川さんにとっての「T.M.Revolutionらしさ」というのはどんなものなんですか? 例えばさっきおっしゃってた特徴的なスネアの音とか、そういう要素の集合なんでしょうか?
そうだなあ。すごく言い方が難しいですけど、僕にとっては総合芸術なんですよね。だから音だけでもダメだし、どこかのパーツだけ取ってもダメなんです。なんていうか、この齢不惑の年齢に達する男がですよ、あの妙ちきりんな衣装でこの90年代のサウンドで、堂々と立ってる姿。ある種生き様ととらえてもらっていいんですけど、僕はその全体こそがT.M.Revolutionだと思ってるんです。
──生き様ですか。
例えばいわゆる大御所と言われるような人が「30代半ばぐらいまでは自分のことを冗談でアイドルなんつってたけどさ」みたいなことを言うけど、今の僕はもうその年齢を超えて余りありますが、全然親指を立てて人前でビシッと言えるんですよ。
──「自分はアイドルです」って?
はい。僕はそういうつもりでやってるし、そこに関して何のてらいも一切の曇りもない(笑)。それってもう生き様と呼ぶしかないですよね。
──潔いですね。
ロックスターとはこうあるべきだって思ってるんです。一時は商業音楽とかいろんなことを言われたこともありましたけど。
──音も存在も非常にキャッチーですからね。
当時だったらね、20代前半とかだとそういう話に真っ向から反発してたと思うんだけど、この歳になるとやっぱりもっといろんなことが見えてきて。みんなロックだとかジャズだとかフュージョンだとかヒップホップだとかいろんなこと言ってるけど、要は小さなタライの中にいるわけですよ。水は混ざってるし、非常にあいまい。そんな区分けがいかにくだらないかが見えた瞬間に、じゃあここで俺がすべきことってなんだろうと思って。そこで自分の中にずっと変わらない基準があることに気付いたんですよね。
──その基準というのは?
クスッと笑えるかどうかなんです。大笑いじゃなくて、クスッていう感じ。曲を選ぶときも詞を入れるときも、アートワークをやるときも、その感覚がいつも基準になってます。そういうものをずっと提供し続けたいんですよね。
──それがまさにT.M.Revolution流のエンタテインメントなんですね。
はい。T.M.RevolutionではT.M.Revolutionでしかできないことをやってると思うし、それは数値とかテクニック的な問題じゃなくて、もっとマインドの部分なんだって僕は思ってます。
手相占いによると最大のブレイクは60歳
──西川さんの活動はT.M.Revolutionもありabingdon boys schoolもあり、ドラマや舞台もありつつ、旅番組で突然モロッコに行ってみたりと、非常に多岐にわたっていて、しかもその全部に対して100%の力を注いでいるように見えます。端から見ていると「どうしてそこまでやるのか?」というのが不思議なんですが。
うーん、そうですよね……。なんかね、「なんのためにやってるか」ってことで言えば、いろんなタイプのミュージシャンがいると思うんです。いい曲が書けたときに達成感を感じる奴もいれば、自分の曲に酔って泣けるって奴もいると思う。で、僕の場合、本当にやっててよかった、これ最高って思えるのは、やっぱりお客さんが喜んでるときなんですよね。ライブでお客さんが泣いてるときに、それを観て「うわ、最高!」って思う。
──なるほど。
だから自分だけで何かを達成してうれしい!っていうことはあんまりなくて。常に誰か相手がいての話なんです。
──それはもうサービス業ですよね。
うん、ホントにそうだと思います。それが僕に、ここまでいろんなものをやらせてる理由なんですよね。最初は1枚のシングル、1本のツアーで満足できてたものが、やっぱり脳もどんどん麻痺してきて(笑)、普通に人が喜んでくれてるだけでは満足できなくなってきて、どんどんアウトプットを増やしていく。そうするとまた全然違う自分が生まれて、そこでまた刺激をもらえるっていう。もう中毒みたいなもんなんです。だからこれが切れたときが怖いですよね(笑)。
──怖いですね(笑)。
あと自分がこれから年齢を重ねていって、今みたいに無理が効かなくなるときが来たら、って思うとそれもすごく怖いんですよね。あ、でもこの前、企画で手相を見てもらったら、なんかね、ブレイク線っていうのがあって、まあいくつもあるらしいんですけど、その中で最大級のやつが60歳に来るって(笑)。
──あはは(笑)。
もうね、それぐらいの年齢だったら、さすがに自分はハワイで隠居みたいな。「みんなハッピーにやってる? たまに遊びに来てね」ぐらいのテンションだと思ってたら、60歳でまだ全然働いてるんだ!? っていう。自分の人生はどうやらまだまだ跳ねていくらしいです(笑)。
初回限定盤A、通常盤収録曲
- CLOUD NINE -instrumental-
- Pearl in the shell
- Naked arms
- 水に映る月
- Wasteland Lost
- Thousands Morning Refrain
- SWORD SUMMIT
- Ø9 (nine) Lives
- Fate and Faith
- Reload
- Fortune Maker
- Save The One, Save The All
初回限定盤B収録曲
- CLOUD NINE -instrumental-
- Pearl in the shell
- Naked arms
- resonance
- Imaginary Ark
- 水に映る月
- Wasteland Lost
- Thousands Morning Refrain
- SWORD SUMMIT
- crosswise
- Ø9 (nine) Lives
- Fate and Faith
- Reload
- Fortune Maker
- soul's crossing
- Lakers
- Save The One, Save The All
- vestige-ヴェスティージ-
DVD収録曲(※初回限定盤Aのみ)
<ミュージックビデオ&TV SPOT>
- Naked arms [Music Video]
- Save The One, Save The All [Music Video]
- Naked arms [TV SPOT]
- Save The One, Save The All [TV SPOT]
<ミュージックビデオ メイキング>
- Naked arms
- Save The One, Save The All
<イナズマロックフェス2010>
2010.09.19滋賀県草津市烏丸半島芝生広場
- Naked arms
- 蒼い霹靂
- WHITE BREATH
- Imaginary Ark
- Pearl in the shell
- SWORD SUMMIT
- crosswise
- Zips
- 魔弾~Der Freischütz~
- LOVE SAVER
T.M.Revolution(てぃーえむれぼりゅーしょん)
1970年滋賀県生まれの西川貴教によるソロプロジェクト。1996年5月にシングル「独裁-monopolize-」でメジャーデビュー。キャッチーな楽曲や完成度の高いステージ、圧倒的なライブパフォーマンスで人気を集め「HIGH PRESSURE」「HOT LIMIT」「WHITE BREATH」「INVOKE」「vestige」などのヒット曲を連発する。近年では、故郷・滋賀県から初代「滋賀県ふるさと観光大使」に任命され、2009年9月に滋賀県初となる大型野外ロックフェス「イナズマロック フェス 2009」を主催。同フェスは翌年も開催され、2年連続で大成功を収めた。2011年4月には約6年ぶりとなるオリジナルアルバム「CLOUD NINE」を発表し、38会場44公演におよぶ全国ホールツアーも実施。さらに5月13日にはサンリオピューロランドとのコラボイベントも実施するなど、T.M.Revolutionとしてのデビュー15年目プロジェクトを進行させている。