ナタリー PowerPush - THE COLLECTORS

ベテラン“ローカルバンド”の胸の内

THE COLLECTORSの20枚目のオリジナルアルバム「鳴り止まないラブソング」が完成した。結成28周年を迎えた今もライブの動員数がじわじわと増え続け、NHK Eテレ「おじゃる丸」のエンディングテーマや実写映画「キカイダー REBOOT」の主題歌を担当するなど勢いづいている彼らだが、背景では長年コレクターズサウンドの土台を支えてきたベーシスト・小里誠の脱退という転機を迎えていた。

今回ナタリーでは加藤ひさし(Vo)と古市コータロー(G)の2人にインタビューを行い、バンドの現状から今考えていること、ロックバンドとアイドルの関係性まで話を聞いた。

取材・文 / 伊藤実菜子 インタビュー撮影 / 福本和洋

ベーシストの脱退を受けて

左から古市コータロー(G)、加藤ひさし(Vo)。

──「青春ミラー(キミを想う長い午後)」「地球の歩き方」「99匹目のサル」という3部作を経て、今作はどういったアルバムにしようと考えていましたか?

加藤ひさし(Vo) 「青春ミラー」の頃は、事務所が変わったのでリフレッシュした気分でアルバムを作ろうとしてたんですよ。ホップ・ステップ・ジャンプではないですけど、1年半に1作くらいの勢いで、3枚は休まずいきたいなと。プロデューサーの吉田仁さんともその3枚はレコーディングの方法も音色も基本的には変えないっていう方向で進めてたから、次回は違うものを作ろうねっていう話はしてたんですよね。ところが違うものも何もベーシストが突然脱退したり、個人的にもうちの親父が去年死んだりとかで、プライベートでもなかなか時間を取られちゃって。方法はいろいろあったと思うんですけど、そういうことを決める余裕がないままレコーディング突入っていう感じでした。

──小里さんの脱退はアルバムを作っている最中に決まったんですか?

加藤 いや、作る前です。でも直前です。普通だったら「じゃあリリースを何カ月か延ばそうか」って話になると思うんですけど、今回は「おじゃる丸」のエンディングテーマの「Da!Da!!Da!!!」を先行して世間に出してましたし、それを含んだアルバムがあんまり空きすぎるのも問題だって話にも……まあそこが一番なんですけどね。やっぱり「おじゃる丸」がオンエアしている間にCDで聴けるような状態になっていなきゃいけない。となると、逆算すると最初のプランは変えられないっていう。

──体制を立て直すためにバンド活動自体をストップさせるということにはならなかったんですね。

加藤 休んでるとメシ食えなくなるんですよ、これが。俺たち契約社員なんで。契約ってつらいですよねえ(笑)。ねえコータローくん。

古市コータロー(G) そうだねえ。

──今作で一番大きいのはベーシストが変わったことですよね。それによって音にも変化が表れたと思うのですが。

加藤ひさし(Vo)

加藤 もちろん変わりますよ。やっぱりギター、ベース、ドラムが要になってるバンドですから。23年一緒にやってきたからクセみたいなものも見抜いてるし、どうしたってマイナス面はありますけど、もちろんよくなる面もありますよ。マンネリした部分がなくなるから楽曲が生まれ変わる場合もあるし。それに今回ベースを弾いてる元シャムロックの山森JEFFくんは、小里くんと違ってピックで弾く人なんですよね。8ビートの速い歌だとドライブ感が出るピックのほうがいい、でもしっとりとしたミディアムスローな曲は指で弾くベースのほうが僕は好き。それはもう両方ですね。

──古市さんはJEFFさんが入ったことで変化はありましたか?

古市 気分的にリフレッシュできてよかったです。楽しかったですよ、なんか職場の部署が変わったみたいな感じ。

加藤 職業が変わったわけじゃなくて、総務部から管理部に行ったみたいな?

古市 うん。だからエンジョイできましたね。

──確かに職場が変わると新鮮な気持ちになりますよね。でも手こずる部分はなかったですか?

古市 ないですね。まあ我々みたいなキャリアでそんなこと言ってちゃダメですよ。

──「飛び込む男」は小里さんが脱退したバンドの状況を歌った曲とのことですが、この曲を作ろうと思った理由は?

加藤 曲ができるきっかけって、自分を取り巻く日常の変化が一番大きいんですよ。やっぱり23年っていうすごく長い年月を一緒にいたメンバーが辞めるっていうのは、前のメンバーチェンジのときよりはいろいろ考えるところがありましてね。寂しくないって言ったらウソになりますし、でもコレクターズをそこで辞めるわけにはいかないし。そんなときにふと、男は“立ち尽くす男”と“飛び込む男”に振り分けられて、僕はどんな状況でも飛び込んでいかなきゃいけない男なんだっていうことを歌いたくなったんですよね。だから小里くんの脱退がきっかけで作りましたけど、全部が全部小里くんのことを歌ってるわけではないです。

ニューアルバム「鳴り止まないラブソング」/ 2014年7月23日発売 / 日本コロムビア
初回限定盤 [CD+DVD] 4320円 / COZP-935~6
通常盤 [CD] 3000円 / COCP-38591
CD収録曲
  1. Da!Da!!Da!!!
  2. ミノホドシラズ
  3. 鳴り止まないラブソング
  4. 青春ロック
  5. 勘違い転じて恋となす
  6. 飛び込む男
  7. スルー
  8. カラカラベイビー
  9. 君が思うより
  10. 踊る運命線
  11. 夜明けのフェリー
  12. ボクらの未来を信じる理由
初回限定盤DVD収録内容
  1. RECORDING SESSION 1
  2. MILLION CROSSROADS ROCK(LIVE1)
  3. RECORDING SESSION 2
  4. ごめんよリサ(LIVE2)
  5. RECORDING SESSION 3
  6. TOO MUCH ROMANTIC!(LIVE3)
  7. RECORDING SESSION 4
  8. NICK! NICK! NICK!(LIVE4)
  9. RECORDING SESSION 5
  10. Da!Da!!Da!!!(LIVE5)
  11. プロポーズソング(LIVE6)
  12. 春鳥の羽ばたく空(LIVE7)
  13. GROOVE GLOBE(LIVE8)
  14. SONG FOR FATHER (DEMO TRACK)
  15. スルー(エンドロール)
  16. Da!Da!!Da!!!(MUSIC VIDEO)
THE COLLECTORS TOUR 2014 "DA! DA!! DA!!!"
  • 2014年7月21日(月・祝)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
  • 2014年7月27日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
  • 2014年8月2日(土)京都府 KYOTO MUSE
  • 2014年8月3日(日)兵庫県 神戸VARIT.
  • 2014年8月9日(土)鹿児島県 SR HALL
  • 2014年8月10日(日)熊本県 DRUM Be-9 V2
  • 2014年8月23日(土)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
  • 2014年8月30日(土)福島県 club SONIC iwaki
  • 2014年8月31日(日)岩手県 Club Change WAVE
  • 2014年9月5日(金)石川県 vanvan V4
  • 2014年9月13日(土)香川県 高松MONSTER
  • 2014年9月15日(月・祝)鳥取県 米子 AZTiC laughs
  • 2014年9月20日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2014年9月21日(日)広島県 ナミキジャンクション
  • 2014年9月23日(火・祝)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
  • 2014年9月27日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
  • 2014年10月11日(土)群馬県 高崎club FLEEZ
  • 2014年10月13日(月・祝)静岡県 Shizuoka UMBER
  • 2014年10月19日(日)北海道 cube garden
  • 2014年10月26日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2014年11月1日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2014年11月3日(月・祝)長野県 LIVE HOUSE J
  • 2014年11月8日(土)大阪府 BIGCAT
  • 2014年11月9日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2014年11月15日(土)沖縄県 桜坂セントラル
  • 2014年11月22日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
THE COLLECTOR(コレクターズ)

1986年に加藤ひさし(Vo)を中心に結成。1987年に「僕はコレクター」でデビューすると同時に、ブリティッシュロック、サイケデリック等のエッセンスを取り入れたサウンドが話題を集め、日本のモッズシーンを代表するバンドとして認知される。2014年3月に小里誠(B)が脱退し、加藤、古市コータロー(G)、阿部耕作(Dr)にサポートベーシストの山森 JEFF 正之を加えた体制となる。同年7月に20枚目のオリジナルアルバム「鳴り止まないラブソング」をリリース。ポップなメロディと洗練されたアレンジ、激しいライブパフォーマンスはモッズの枠を超えて多くのロックファンの支持を集め、結成から28年経つ今もシーンの第一線で活躍し続けている。