ナタリー PowerPush - THE COLLECTORS
ベテラン“ローカルバンド”の胸の内
CD不況で大道芸人に戻った
──コレクターズは今年で結成28周年ですが、これまでに攻めの姿勢を忘れかけてしまうことはあったんでしょうか。
加藤 うーん……。攻めの姿勢はむしろ今のほうがあるな。というのは、CDが売れてた頃の音楽業界ってレコードやCDの売上がメインなんですね。この業界に入って教わったのは「ライブはレコードやCDを売るためのプロモーションの場」っていうことで。ところがCDが売れない時代に突入して、またアマチュアリズムを取り戻したっていうか、基本姿勢に戻ったんです。CDも売れなきゃいけないけど、ライブでもメシを食わなきゃいけないっていうのがやっぱり本来の姿だと。大道芸人に戻ったわけですよ。
古市 俺らは基本的に大道芸人だからね。
──ライブの捉え方がアマチュア時代に立ち返ったんですね。
加藤 あの頃はね、ほんとに新宿JAMっていうライブハウスに100人近く入れたときの喜びっていったらねえ。ギャラでわかるんですよ。コータローくんがギャラを割ってくれると、札が2枚多いわけですよ。そのときのガッツポーズったらないからね。でもそこが一番大事、基本だよね。
──曲作りに関してはどうですか? 加藤さんが曲を作り続けるモチベーションになっているものはなんなのでしょうか。
加藤 まあ締め切りだろうね。契約社員だから破ったらもう契約更新がないの。
──ああ、生活のためだと。
加藤 そう、みんなと一緒。
古市 地方のライブハウスは昔よりもブッキングが難しいから、リリースよりも先にツアースケジュール決めるからね。そこに合わせてCD出さないとバンド終わりだから。
──でも創作意欲はずっと保ち続けてるということですよね。極端に言えば音楽家をやめて働くことだってできたと思うんです。
加藤 いやー、音楽やめたら働けないな、たぶん。仕事ないよ。だってコータローくんがもう新聞の求人欄見なくなったもん(笑)。
──前は見てたんですか?
古市 そうですね、参考までに。
加藤 地方のキャンペーンとか行くと帰りの新幹線の中で絶対求人欄見てた。
──それは転職先を探していたということですか?
古市 うーん、っていうか世の中はどういうニーズなのかなって。例えば雇用条件の「40歳まで」って数字見てさ、ああ俺らはもう世間に用無しだなっていうことを確認したりさ(笑)。そういうことをリアルに感じるために見たりもするし。
加藤 でもね、40でダメって言われたって、人生は平気であと30年40年続くわけだからさあ。世の中って厳しいよなあって思いながら、これはもうロックンロールしかねえじゃん、って(笑)。
俺たちの生き様がほかのバンドの生きる筋道に
──近年はライブの動員数が増えているそうですが、そういった状況をどう受け止めていますか?
加藤 俄然やる気になりますよ。例えばソールドアウトしたライブの日はもう朝からやる気満々。それはやっぱりデカいですね、たかだか100人の小屋でもソールドアウトしてるって聞くとウオーッてなりますよ。でも300人の小屋に280人だと「またかよ!」みたいなね。どうにか売りきりてえなあって。
──280人から300人にするために何をしたらいいと思います?
加藤 ねー、それがわかってればね、すぐ伸びるんだよ。ほんっとに。
古市 でも280から300にっていう目指し方はあんまりしないほうがいい気がしててさ。280の次はやっぱ400だと思うんだよね。それは、残念だけど「おじゃる丸」みたいなタイアップがあったりとか、なんかない限りは難しい。飛躍的にはいかないと思うけど、やっぱいいライブ続けていくしかないんじゃないの。
加藤 いつでも思うのは、今回のツアーは前回のツアーよりも各会場でお客さんが増えている、CDも前回のCDより多く売れる。この2つしかない。僕ら鳴り物入りでデビューしたバンドじゃないんで、毎回レコード会社のプロモーターが必死になってプロモーションしてくれてるんですけど、何億円も使ってテレビ番組を買い取ったりとか、ものすごい事務所の圧力で番組出させてくれたりとか(笑)、そういうことをされた試しがないんですよ。僕はそんな不遇なバンドを愛情込めて“ローカルバンド”って呼んでるんですけど。最初は鳴り物入りのバンドがうらやましいなと思ったんですよね。でも途中から、俺たちみたいな境遇のロックバンドのほうが多いわけだから、俺たちの生き様がひとつほかのバンドの生きる筋道みたいなものになるんじゃないのと思って。だから楽しみなんですよね、自分たちがいったい何年できるのか、どこまでいくのか、どこでどうなっちゃうのか……ここまでくると。もちろん永遠って言われるくらい長くやりたいですけど、それが可能なのか。来年になったらお客さんが半分になってんのか倍になってんのか、それも全部含めてね。CDが売れないのは悔しいけど、僕はこの“ロックンロールローカルバンド”を楽しんでますよ。
Da!Da!!Da!!! / ザ・コレクターズ
- ニューアルバム「鳴り止まないラブソング」/ 2014年7月23日発売 / 日本コロムビア
- 初回限定盤 [CD+DVD] 4320円 / COZP-935~6
- 通常盤 [CD] 3000円 / COCP-38591
CD収録曲
- Da!Da!!Da!!!
- ミノホドシラズ
- 鳴り止まないラブソング
- 青春ロック
- 勘違い転じて恋となす
- 飛び込む男
- スルー
- カラカラベイビー
- 君が思うより
- 踊る運命線
- 夜明けのフェリー
- ボクらの未来を信じる理由
初回限定盤DVD収録内容
- RECORDING SESSION 1
- MILLION CROSSROADS ROCK(LIVE1)
- RECORDING SESSION 2
- ごめんよリサ(LIVE2)
- RECORDING SESSION 3
- TOO MUCH ROMANTIC!(LIVE3)
- RECORDING SESSION 4
- NICK! NICK! NICK!(LIVE4)
- RECORDING SESSION 5
- Da!Da!!Da!!!(LIVE5)
- プロポーズソング(LIVE6)
- 春鳥の羽ばたく空(LIVE7)
- GROOVE GLOBE(LIVE8)
- SONG FOR FATHER (DEMO TRACK)
- スルー(エンドロール)
- Da!Da!!Da!!!(MUSIC VIDEO)
THE COLLECTORS TOUR 2014 "DA! DA!! DA!!!"
- 2014年7月21日(月・祝)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
- 2014年7月27日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 2014年8月2日(土)京都府 KYOTO MUSE
- 2014年8月3日(日)兵庫県 神戸VARIT.
- 2014年8月9日(土)鹿児島県 SR HALL
- 2014年8月10日(日)熊本県 DRUM Be-9 V2
- 2014年8月23日(土)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 2014年8月30日(土)福島県 club SONIC iwaki
- 2014年8月31日(日)岩手県 Club Change WAVE
- 2014年9月5日(金)石川県 vanvan V4
- 2014年9月13日(土)香川県 高松MONSTER
- 2014年9月15日(月・祝)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2014年9月20日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2014年9月21日(日)広島県 ナミキジャンクション
- 2014年9月23日(火・祝)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
- 2014年9月27日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2014年10月11日(土)群馬県 高崎club FLEEZ
- 2014年10月13日(月・祝)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2014年10月19日(日)北海道 cube garden
- 2014年10月26日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2014年11月1日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2014年11月3日(月・祝)長野県 LIVE HOUSE J
- 2014年11月8日(土)大阪府 BIGCAT
- 2014年11月9日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2014年11月15日(土)沖縄県 桜坂セントラル
- 2014年11月22日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
THE COLLECTOR(コレクターズ)
1986年に加藤ひさし(Vo)を中心に結成。1987年に「僕はコレクター」でデビューすると同時に、ブリティッシュロック、サイケデリック等のエッセンスを取り入れたサウンドが話題を集め、日本のモッズシーンを代表するバンドとして認知される。2014年3月に小里誠(B)が脱退し、加藤、古市コータロー(G)、阿部耕作(Dr)にサポートベーシストの山森 JEFF 正之を加えた体制となる。同年7月に20枚目のオリジナルアルバム「鳴り止まないラブソング」をリリース。ポップなメロディと洗練されたアレンジ、激しいライブパフォーマンスはモッズの枠を超えて多くのロックファンの支持を集め、結成から28年経つ今もシーンの第一線で活躍し続けている。