ナタリー PowerPush - THE COLLECTORS
ベテラン“ローカルバンド”の胸の内
「渋くならない」「毎回1stアルバム」
──細かいことを決める間もなくレコーディングに突入したとのことですが、制作中に見えてきたアルバムの全体像はどんなものでしたか?
加藤 まっっったく想像つかなかった。曲をみんなに聴いてもらって、コータローくんが「この曲はいい」「あの曲はイマイチ」って言って、いいって言われた曲は生かそうみたいな(笑)、そんな感じなんで。
──例えば前作の「99匹目のサル」の制作中も、アルバムの全体像はわからないままだった?
加藤 わからない。あのね、1年半に1枚アルバム作るってなると、今のコレクターズでいくとレコーディングだけでも3カ月くらいかかるわけですよ。その前に曲を書いたりなんだりっていう準備でも、短くても半年はかかる。その間にもずっとライブやってて、アルバムの曲やっと覚えたと思ったら次のアルバムの準備しなきゃいけないから。
──そうなんですね。テーマやコンセプトを設けてから制作を始めているのかと思ってました。
古市 そんな人あんまりいないでしょうねえ。みんな後付けだろうから。
加藤 1曲ほんとにいい曲があったら、あとはもうなんでもいいから入れるみたいな感じで売ってく奴が多いわけですよ。そこにテーマも何もないんじゃないかな。でも俺たちは1曲1曲の中で言いたい、歌いたいことをちゃんと歌いきってる曲を毎回12曲集めてるっていうだけであって。例えば「青春ミラー」って曲は中学時代の憧れの女の人に何年後かに会ったけど全然変わってなくてっていう歌だけど、アルバムを通して青春を歌ってるのかって言ったら全然違う。「エコロジー」って歌が入ってたりね。毎回そういう感じですよ。今回も例えば「Da!Da!!Da!!!」は「おじゃる丸」を観る子供が学校帰りに「♪だだだだだだだ」って歌えるようなイメージで、その中にコレクターズ節を練り込んだ曲だし。そういうのが1曲1曲集まってアルバムになってるんです。
──なるほど。
加藤 アルバム全体としてのコンセプトっていうのは、あるとするならばそれは毎回一緒で。「渋くならない」「毎回1stアルバム」っていうのがコンセプトです。海外のバンドだと歳を重ねるにしたがってどんどん渋くなって、円熟してくる。それはそれですごく憧れるしカッコいいことなんですけど、案外僕は渋くなるのが苦手で。だからその真逆をやるバンドがいてもいいのかなって思ってますね。
ジャッジし合う関係
──古市さんは加藤さんが書く曲の良し悪しをどういう基準でジャッジしているんですか?
古市 バンドの中で僕が一番一般の耳を持ってると思ってるから、まずそういう視点が1。それから自分の好みが1。あと演奏してどうなるかっていう化け方。その3点ですね。
──一般の耳からの視点というのは、一般層に届きやすいかどうかの判断?
古市 まあ今じゃ加藤くんもアイドル聴くようになったけど、いろんな音楽情報は僕が一番多いと思ってるから、どう機能するかっていうのはアルバム出す以上考えますよね。例えば加藤くんが嵐の曲聴いても、いいとは絶対思わないと思うんだ。逆に俺はすごくクールにどういうところがどうって分析するほうだから。洋楽にしてもそれは思うし、嵐がどうこうじゃないんだけど。
加藤 僕はロックしか聴かない、しかもディープなロックが大好き。コータローくんもそういうマニアックなところはあるんだけど、昔から普通に歌謡とかアイドルとか、ヒットしてる曲をすごくよく聴いてきた。だから「これは歌謡曲っぽいからこっちのほうがウケるんじゃないの」って作者とは違う視点でジャッジしてくれるわけです。僕がいいと思ってるものをメンバー全員がいいと思うかっていうとそうでもないんですね。
古市 特にソングライターはさ、思い入れが入っちゃうぶんそのへんの判断はしにくいよね。「これは今までの自分にないメロディだ」って思えばそれを推すだろうし。
加藤 でもそれを周りが聴くと、別にそんなに言うほどすごいもんじゃないんじゃないのっていうこともあるしね。
古市 そう。だからわかるのよ、「この曲たいしたことないと思ってんな」っていうのが。でもそれが意外とよかったりするから、そういうときに「この曲意外といいから歌詞がんばってね」って言ったりさ。
──加藤さんはその意見をすっと受け入れられるんですか?
加藤 そうですね。まあ若いときは全然ダメでした。やっぱり自分が作ったもんだから、自分の思ってることが一番みたいな。
古市 それはもうギターもそうだよ、若い頃はね。
加藤 そう、逆にコータローくんのギターソロをジャッジするのは僕ですよ。
──それを受け入れられるようになったきっかけは?
加藤 やっぱりプロデューサーとの仕事が一番大きいですね。プロデューサーと仕事すると全然違うアイデアが出てきて、そこで驚かされることも多いんですよ。自分が思ってたものよりさらによくなっちゃって、客観的にものを見る人の意見はすごく大事だなって。腑に落ちない点は何度もディスカッションしますけど、最終的には僕はプロデューサーの意見に従うようにしてますね。
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- ニューアルバム「鳴り止まないラブソング」/ 2014年7月23日発売 / 日本コロムビア
- 初回限定盤 [CD+DVD] 4320円 / COZP-935~6
- 通常盤 [CD] 3000円 / COCP-38591
CD収録曲
- Da!Da!!Da!!!
- ミノホドシラズ
- 鳴り止まないラブソング
- 青春ロック
- 勘違い転じて恋となす
- 飛び込む男
- スルー
- カラカラベイビー
- 君が思うより
- 踊る運命線
- 夜明けのフェリー
- ボクらの未来を信じる理由
初回限定盤DVD収録内容
- RECORDING SESSION 1
- MILLION CROSSROADS ROCK(LIVE1)
- RECORDING SESSION 2
- ごめんよリサ(LIVE2)
- RECORDING SESSION 3
- TOO MUCH ROMANTIC!(LIVE3)
- RECORDING SESSION 4
- NICK! NICK! NICK!(LIVE4)
- RECORDING SESSION 5
- Da!Da!!Da!!!(LIVE5)
- プロポーズソング(LIVE6)
- 春鳥の羽ばたく空(LIVE7)
- GROOVE GLOBE(LIVE8)
- SONG FOR FATHER (DEMO TRACK)
- スルー(エンドロール)
- Da!Da!!Da!!!(MUSIC VIDEO)
THE COLLECTORS TOUR 2014 "DA! DA!! DA!!!"
- 2014年7月21日(月・祝)埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
- 2014年7月27日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 2014年8月2日(土)京都府 KYOTO MUSE
- 2014年8月3日(日)兵庫県 神戸VARIT.
- 2014年8月9日(土)鹿児島県 SR HALL
- 2014年8月10日(日)熊本県 DRUM Be-9 V2
- 2014年8月23日(土)新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
- 2014年8月30日(土)福島県 club SONIC iwaki
- 2014年8月31日(日)岩手県 Club Change WAVE
- 2014年9月5日(金)石川県 vanvan V4
- 2014年9月13日(土)香川県 高松MONSTER
- 2014年9月15日(月・祝)鳥取県 米子 AZTiC laughs
- 2014年9月20日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2014年9月21日(日)広島県 ナミキジャンクション
- 2014年9月23日(火・祝)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
- 2014年9月27日(土)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2014年10月11日(土)群馬県 高崎club FLEEZ
- 2014年10月13日(月・祝)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2014年10月19日(日)北海道 cube garden
- 2014年10月26日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2014年11月1日(土)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
- 2014年11月3日(月・祝)長野県 LIVE HOUSE J
- 2014年11月8日(土)大阪府 BIGCAT
- 2014年11月9日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2014年11月15日(土)沖縄県 桜坂セントラル
- 2014年11月22日(土)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
THE COLLECTOR(コレクターズ)
1986年に加藤ひさし(Vo)を中心に結成。1987年に「僕はコレクター」でデビューすると同時に、ブリティッシュロック、サイケデリック等のエッセンスを取り入れたサウンドが話題を集め、日本のモッズシーンを代表するバンドとして認知される。2014年3月に小里誠(B)が脱退し、加藤、古市コータロー(G)、阿部耕作(Dr)にサポートベーシストの山森 JEFF 正之を加えた体制となる。同年7月に20枚目のオリジナルアルバム「鳴り止まないラブソング」をリリース。ポップなメロディと洗練されたアレンジ、激しいライブパフォーマンスはモッズの枠を超えて多くのロックファンの支持を集め、結成から28年経つ今もシーンの第一線で活躍し続けている。