ナタリー PowerPush - SCOOBIE DO

何度も恋する夏が来た!ポップ全開最新作 スタジオ潜入&インタビューで魅力に迫る

バンドマンとしての幸せ

──この後の夏フェスや対バンライブで初めてスクービーのライブを体験する人のリアクションも、これまで以上に大きくなりそうな気がします。アウェー戦と言えるような場面もあるかと思いますが、どう向かっていきますか?

マツキ 我々としてはむしろ初見のお客さんが大好物みたいなところもあるんで。特にロックフェスというのは率先して盛り上がりたい! って思ってる人たちが来るから、フェスはすごくやりやすいですよ。基本的には「どこで誰とやったとしてもアウェーだ」という考えですけど、「いつかホームにしてやるぞ」っていう夢も抱きつつ「アウェー上等!」という気持ちでやってます。

──フロントマンのコヤマさんは、一番手前で“アウェーの洗礼”を浴びる立場ですよね。それを受け止める自分なりの戦術みたいなものを持ってますか? コヤマさんって、今の音楽シーンの中でダントツにアウェー戦の戦い方がうまいフォワードだと思うんですけど。

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コヤマ ややこしいことしなきゃいけないんだったら大変だろうけど、俺らはロックンロールを演奏すればいいだけだから。出てってバーンとやる。バンドでバーッと演奏するってことだけをマキシマムにやれば、そういう場所に集まるのはみんな少なからず音楽を楽しもうとしている人たちだから、アウェーだなっつうのは感じないですよ。

──非常にショーマンシップに秀でたバンドだと思うし、客席との関係性も「FUNKY 4 PLUS ONE MORE」というあまりに的確でキャッチーなコール&レスポンスによってグッと近くなる。あの空気はほかのバンドにはないですね。たぶん「ライブが好き!」って人は誰だってすぐに入り込めるんじゃないかと。

マツキ コール&レスポンスは昔からやってたんですけど、ちゃんと焦点が合ってきたのはやっぱりCHAMP RECORDSになってからですね。当初は本当にコンスタントにリリースができるんだろうかとか、メジャーほどの流通ができるか、セールスがあるのか……不安だったところもあったし、そうなってくると一番力を入れてできるのは、まずはライブしかないっていうところに1回立ち帰ったんですよ。そこで数をこなしていくうちにつかみ取ってきた感覚があって、それはもう一朝一夕にはできない、本当に経験でしか得られないものですね。

──本当にずーっとコンスタントにライブをやってますけど、しばらく止めたいという気持ちになったことはない?

マツキ でも毎年2カ月ぐらいはお休みを作ってるんですよ。そうしないとレコーディングもできないし。だから実質ライブをやるのは10カ月とかそのぐらい。で、2カ月休んで制作して、っていうサイクル。体がしんどかったりすることもあるっちゃあるんですけど、それが俺らの仕事だし、じゃあそれをやめたら何やるんだっていうことになるんですよ。突き詰めたらね。ほかの仕事をするったってまともにできないでしょ? っていう(笑)。「これが一番適職なんだよ」って自分に言い聞かせながら。

──プロ野球みたいですよね。シーズンがあって、一応のオフがあって。

MOBY レコーディングはキャンプみたいなもんだ(笑)。

──結果、年に1枚アルバムが出て長いツアーがあって、そのほか短い単発のライブやフェスがあって……本当に“バンド稼業”のサイクルができてるわけですね。

マツキ バンドがやることって結局、曲作ってCD作ってライブをやる、この3つしかないでしょ? この3つだけで食えるってことが、バンドマンとして実は一番幸せなことだと思うし、そう思うと俺らは非常に幸せですよ。で、それ以外のことに気を揉むこともないし、この3つの軸を滞りなく動かすことを、どうやったら続けられるか。それを考えてやっていくだけですね。

ロックバンドは何物にも捉われず自由に

──「何度も恋をする」は、SCOOBIE DOならではのサウンドを確立したうえで、さらに一歩先に押し進めたアルバムだと思うのですが、バンドの基本姿勢としてはこれからも大きく変わることはない?

マツキ まあそうですね。打ち込みやりたいとかハウスをやりたいとか(笑)、仮に思ったとしてもこのバンドでやることはないかな。あくまでバンドサウンドありきで。でもひとつ思うのは……バンドは世の中を映す鏡じゃいけないっていうか。ロックバンドというのは何物にもとらわれず常に自由でなければいけないし、聴いた人があっと驚いたり、びっくりして笑っちゃうような、「でもこの人たちは信用できるな」っていうアイデアを出し続けることが、俺にとって理想のロックバンドなんですよ。常にスクービーの周りでは何か起こってる、何かの磁場が働いてんなっていう、そういうことをやりたいなって。そういうことも考えながら、どういう曲がまた次にできてくるのかなって、自分でも楽しみではあります。

──ファンからのリアクションも楽しみなアルバムですよね。ずっとスクービーを聴き続けているファンにとっては、きっとそんなに大きくはない、自然な変化に感じると思うんですよ。ただ、これまで以上に突き抜けた内容だし、これまで以上に広く受け入れられるアルバムだと思うので、もっとドカッと広がってほしいですね。

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マツキ どうしたらいいんですかねえ。もっと広げるには。

コヤマ でもね、こないだスペースシャワーTVで「バンドワゴン~」のPVを観たんですよ。そしたらまぁ、ほかのアーティストの曲と音域が違う違う(笑)。なんでこんなモコモコしてんだっていう。

──でもそれはPEACE MUSICとの共犯で、自分たちが狙って作ってる音なわけですよね。……うーん、誰か有名で優秀なスポークスマンに立ってもらうとか?

コヤマ これをキムタクがホメるっていうね。「ちょっと待てよ」って。わかんねえけど(笑)。

──「ちょっと待てよ。SCOOBIE DO聴けよ」ってキムタクが言えば間違いない(笑)。じゃあですね、「このアルバムの魅力を一言で」というお決まりの質問にはどう答えますか?

コヤマ えー……(しばし黙考)古着の、高級ビンテージジーンズみたいなもんだと思います。

全員 ……。

──……どうでしょう。

MOBY ハハハハハ!

ジョー 大丈夫だよ、ジーンズなら草なぎくんが褒めてくれるからね。

──でもまあこのアルバムは、タイトル見りゃあわかるって感じがしますけどね。今のスクービーが何をやろうとしてこのアルバムを作ったのかっていうのは、音を聴いて歌詞を読んでジャケット眺めればイヤでも伝わると思います。

コヤマ タイトルを付けて「来たな!」っていう感じはあったね。「何度も恋をする」。あー今年の邦楽1位決まっちゃったなみたいな。

全員 アハハハハハハ。

マツキ 「ミュージック・マガジン」の岡村詩野さんにはね、クロスレビューでぜひ10点か0点にしてほしい。

ジョー ハンパに7点、8点あたり付けないでほしい。

コヤマ 6、7なんて付けられたねぇ。

マツキ だったらもう3点以下にしてほしい。

コヤマ 中村宗一郎に甘いからね。中村宗一郎で7点分あるから(笑)。

──実際問題、バンドとして“トップ”を目指していますか? わかりやすい尺度で言えば「チャート1位」とか。

マツキ 順位や点数はさておき、俺はやっぱりミュージシャンは夢を持ってなきゃいけないと思うんですよ。いい曲作れば絶対売れると思ってやってるし、いい曲作りたいなと思ってやってるし。いいものイコール10点なのか100万枚売れるものなのかわからないけれども、「今までよりはいいものを」っていうのを常に考えてますね。

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ニューアルバム「何度も恋をする」 / 2010年7月7日発売 / 2625円(税込) / CHAMP RECORDS / HICC-3008

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CD収録曲
  1. 太陽と女の子
  2. きれいなお姉さん
  3. ロールオーバー14歳
  4. バンドワゴン・ア・ゴーゴー
  5. 秘密の果実
  6. セツナ
  7. 恋をした男子
  8. ブランニュー俺
  9. 恋のウイルス
  10. ガールフレンド
  11. イキガイ
SCOOBIE DO(すくーびーどぅー)

アーティスト写真

1995年にマツキタイジロウ(G)とコヤマシュウ(Vo)を中心に結成。1996年に現ドラマーのオカモト“MOBY”タクヤ(Dr)が加入し、自主制作カセットなどを販売する。1999年にK.O.G.A. RECORDSから初のシングル「夕焼けのメロディー」をリリース。続いて発表された1stアルバム「Doin’ OurScoobie」で圧倒的な存在感を放つロックバンドとしてその人気を確かなものとする。2001年にナガイケジョー(B)が加入し、現在の編成で活動開始。2007年には自主レーベル「CHAMP RECORDS」を立ち上げ、ライブのブッキングからCD制作、プロモーションまですべてメンバー自ら行っている。2010年7月7日、CHAMP RECORDS通算4枚目のオリジナルアルバム「何度も恋をする」をリリース。