ナタリー PowerPush - パスピエ

新進気鋭ポップス急進化中 メジャーデビュー作「ONOMIMONO」

全くの無名、バンドの詳細も不明、ほぼノンプロモーションながら、数多くの音楽ファンの心を捉えたデビュー作「わたし開花したわ」から約8カ月。パスピエから早くも2ndアルバム「ONOMIMONO」が届けられた。印象派を中心としたクラシックのエッセンスと80年代ニューウェイブを想起させるポップ感覚がひとつになった音楽性、そして、大胡田なつき(Vo)の立体的な歌の世界。リスナーの想像力を刺激しまくるパスピエの音楽は、本作によってさらに広く浸透することになりそうだ。

取材・文 / 森朋之 イラスト / 大胡田なつき

「相対性理論×YUKI」に「あ、そういう受け取り方をされるんだ」

──まず、1stアルバム「わたし開花したわ」の手応えについて教えてもらえますか? かなり大きな反響があったと思うのですが。

インタビュー写真

成田ハネダ(Key) そうですね。「80年代のニューウェイブっぽい」という感じの感想が多かったんですが、それは僕としてもすごくうれしくて。僕自身、80年代のニューウェイブにはかなり影響を受けてますからね。あと、ネットとかには「相対性理論×YUKI」という書き込みも結構ありました。それに関しては「あ、そういう受け取り方をされるんだ」という感じですね。もちろん、イヤというわけではないんですよ。僕としては、生活の一部として曲を書いて、それを作品として出させてもらっているので、捉え方はホントに自由でいいと思っていて。その上でパスピエを好きになってくれたら、一番良いですけどね。

──個性的なボーカルも大きな話題になりましたが、大胡田さんはどうですか?

大胡田なつき(Vo) 割と良いことばかりを言ってもらってる気がします。自分の声についても、ちょっと意外なほど(評価が高い)というか。悪く言われるかもしれないと思ってたわけではないんですけど、ライブハウスの人にも「特殊な声だよね」って言われることが多かったのでうれしいです。

──「わたし開花したわ」は比較的新しい楽曲で構成したということですが、それはどうしてだったんですか?

成田 1年半くらい前にドラマーが変わったんですけど、なるべく今のメンバーになってから作った曲を入れたかったんです。多分、このメンバーで最初にやった曲が「電波ジャック」(「わたし開花したわ」のリード曲)なんですけど、リズムの軸が変わったわけですから、当然ノリも変わってくるし、アレンジや大胡田の歌い方にも影響があって。

大胡田 特に意識はしてないんですけど、周りの音が変化すると、歌も変わってきますね。

成田 その変化が面白いんですよね。それがバンドを組んだ理由でもあるし、僕自身、同じところに留まりたくないっていう気持ちも強いので。

組んだときからメジャーデビューしたいと思っていた

──では、ニューアルバム「ONOMIMONO」について。メジャーレーベルからのリリースになりますが、そのことは意識してましたか?

成田 そうですね。バンドを組んだときから、ずっとメジャーデビューしたいと思っていたので。自分に対する自信だけはずっと持ってたんですよ。パスピエで大きなことをやりたいと思っていたし、そのためにはやはりメジャーレーベルがいいな、と。なるべくたくさんの人と関わって、いろんな企画が生まれて、そこから次の作品につながっていく。そういうことがやりたかったんですよね。

大胡田 それはずっと言ってましたね。「趣味で続ける気はない。とにかくメジャーデビューするんだ」って。

インタビュー写真

成田 まあ、思うようにいかない時期もかなりあったんですけどね。その間は、自分に対する自信と(メジャーレーベルから)声がかからないという焦りとの戦いですよ(笑)。だからこそ、メジャーデビュー作品には、「これまでに培ってきたものをぶつけたい」という気持ちがあって。「トロイメライ」「最終電車」もそうなんですけど、だいぶ前に書いた曲も入ってるんですよね、今回は。

──「トロイメライ」は1曲目に収録されていますが、パスピエの音楽性がストレートに表現された曲だと思います。曲を書いたのはいつ頃なんですか?

成田 10代のときですね。18歳の終わりくらいかな?

──東京藝大でクラシックを学んでいた成田さんが、ロックフェスを体験したことをきっかけにして、バンドをやろうと決意した時期ですね。当時から、現在のパスピエにつながる構想はあったんですか?

成田 今のバンドの形をイメージできていたわけではないですね。ただ、この曲に関して言えば、作ったときから「大事にしていきたい」と思ってました。自分の好きなピアノのフレーズだったり、ニューウェイブのサウンド感も表現できてるんじゃないかなって。

ニューウェイブを知ったきっかけはYMO

──ちなみにニューウェイブに興味を持ったのは、何がきっかけだったんですか?

成田 高校のときに、YMOのCDを人から借りたんですよ。YMOの音楽は、機械で作ってるんだけど東洋っぽさ、日本っぽさも感じられて、そこにすごく惹かれたんですよね。その後、矢野顕子さんを聴いて、そこから80年代前半のテクノ、ニューウェイブも聴き始めて。

──大胡田さんもニューウェイブは聴いてました?

大胡田 えーと、私は幼い頃に耳にしていた音楽が好きなんです。昔の歌謡曲だったり、“不思議日本”みたいな雰囲気というか……。

──ん? “不思議日本”って……?

大胡田 わかりづらいですよねえ(笑)。なんて言うんだろう? 外から何かが入ってきた感じだったり、海外から見た日本だったり。

成田 (笑)。普段、大胡田とはあんまり音楽の話はしないんですよ。

──なんの話をしてるんですか?

成田 なんだろ? 日常生活におけるグチとか(笑)。ただ、僕が話すとただのグチなんですけど、大胡田が話すとちょっと面白いんですよね。今の“不思議日本”もそうですけど、大胡田ならではの表現があって。

大胡田 意味が伝わらないと、流されちゃいますけど(笑)。

ニューアルバム「ONOMIMONO」/ 2012年6月27日発売 / 1800円 / unBORDE / WPCL-11100

CD収録曲
  1. トロイメライ
  2. デモクラシークレット
  3. プラスティックガール
  4. 脳内戦争
  5. 気象予報士の憂鬱
  6. トリップ
  7. 最終電車
  8. ただいま

作詞:大胡田なつき 作曲:成田ハネダ 編曲:パスピエ

LIVE INFORMATION
  • 購入者対象インストアライブ
    2012年6月30日(土)
    東京都 タワーレコード渋谷店 B1 STAGE ONE
  • 見放題2012
    2012年7月7日(土)
    大阪府 FAN J TWICE
  • LIVE DRAGON vol.8
    2012年7月20日(金)
    東京都 下北沢GARDEN
  • Get Your Music!
    2012年7月21日(土)
    大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • Beat Happening
    2012年7月22日(日)
    東京都 渋谷LUSH
  • and more

詳しくはオフィシャルサイトにて

パスピエ(ぱすぴえ)

プロフィール写真

2009年に成田ハネダを中心に結成。メンバーは大胡田なつき(Vo)、成田ハネダ(Key)、ミサワマサヒロ(G)、露崎義邦(B)、やおたくや(Dr)の5名。都内を中心にライブを行い、2010年3月に自主制作盤「ブンシンノジュツ」をライブ会場限定でリリース。2011年11月、初の全国流通作品となる1stアルバム「わたし開花したわ」を発表し、音楽ファンの話題をさらう。続く2ndアルバム「ONOMIMONO」は、2012年6月にワーナーミュージック・ジャパン内レーベルのunBORDEからリリースされた。