音楽ナタリー Power Push - PassCode×プロデューサー平地孝次

“らしさ”を武器にメジャーへ

PassCodeがユニバーサルミュージックよりメジャーデビューシングル「MISS UNLIMITED」を10月26日に発売した。昨年秋より南菜生、今田夢菜、高嶋楓、大上陽奈子の4人体制となり初の全国ツアーや東京・Zepp DiverCity TOKYOでの単独公演成功を経て、満を持してメジャーへステップアップを果たした彼女たち。音楽ナタリーではグループを立ち上げ、楽曲制作を行ってきたサウンドプロデューサーの平地孝次とメンバーに集まってもらい、メジャーデビューに対する心境や、ここまで語られることのなかったPassCodeの楽曲制作のこだわりについて話を聞いた。

取材・文 / 古川朋久 撮影 / 塚原孝顕

バンドをやってたけどまったく売れなかった

──平地さんとメンバーが一緒にインタビューを受けるのは初めてということで。

平地孝次 そうなんです。僕はメディアに出ることもそんなになくて、ちゃんとインタビューしてもらうのも初めてです。

PassCodeと平地孝次。

南菜生 今日の平地さんの服、一張羅ですよ。

平地 髪型もちょっとおめかししてみました(笑)。

──平地さんはもともとミュージシャンとして活動していたと聞きました。

平地 ピアノをずっとやっていたこともあって高校のときに軽音楽部に入って、ノリでバンドを始めました。そんなに気合いの入った感じでもなかったんですけどね。

──ということはプロとしての活動ではなかったと。そこからPassCodeを立ち上げて楽曲制作していくまでにはどんな経緯があったんでしょうか。

平地 19、20歳くらいのときに今の事務所の代表をやってる法橋昂広と一緒にバンドをやっていて僕が曲を作っていたんですけど、まったく売れる気配がなくて。5、6回もライブしないうちに「これ、俺らやっててもあかんな」ってなっちゃったんです。

──わりと早々にあきらめちゃったんですね。

平地 そうなんですよ。まあ僕がそのときボーカルもやってたんですけど、とにかく緊張しいで。人前に出るのがダメだったんです。

──バンドマンとしてはまったく合わないですね……。

平地 ライブの度に「今日台風にならへんかな」とか思ってあまり楽しめなかったんですよ。だからもう、これは俺らがやっていくのは違うなと。それでバンドは自然消滅しちゃった感じです。

──ただ平地さんとしては音楽に携わっていきたいという思いがあったと。

平地 はい。バンドを辞めて音楽の専門学校に通っていて、そのまま曲作りの勉強をしてました。ちょうどAKB48さんが流行り始めた時期だったので学校でも「アイドル楽曲を作ったほうが仕事になる」みたいな話もあって。

──そういう時代ですね。

平地 それでアイドル曲っぽいものを作っていくうちに、だんだんと自分でアイドルを一から作ったほうがいいんじゃないかと思い始めたんです。そこから法橋やそのバンドでギターを担当していたメンバーがデザイナーとして入ってきたり。元メンバーが続々と集まってきて一緒に事務所を立ち上げた感じです。当時ベースを担当していたメンバーが今PassCodeの楽曲の仮歌を歌ったりしてますよ(笑)。

──バンドではうまくいかなかったですけど、皆さん裏方としてまた一緒にお仕事されてるんですね。

平地 今はみんな楽器じゃなくてパソコンでカタカタと作業してます(笑)。

「Club Kids Never Die」は僕が歌ってました

──アイドルシーンが盛り上がってる中、自分たちでアイドルを作って楽曲も歌ってもらえばいいんじゃないかとシフトチェンジしたわけですね。

平地 そういうことです。

南菜生

 平地さんたちがバンドで歌っていた曲、実はPassCodeが歌ってるんですよ。

平地 そうそう。当時5、6回しかライブでやらなかった曲をね(笑)。

 それが「Club Kids Never Die」なんです。

──めちゃめちゃ代表曲じゃないですか!

平地 もともと僕が歌ってたんですよ。

 「この曲、全然売れへん」って思ってたんですよね?

平地 イントロ部分で僕が「歌えー!」とか叫んでもお客さん誰も歌わない、みたいな。まあ俺がまったく歌えてなかったというのもあるけど(笑)。

大上陽奈子 でもこの曲を1人で歌うのキツくないですか?

平地 正直しんどい。

 精神的にもな(笑)。

──その当時、この曲がオーディエンスに受け入れられるとは思ってなかった?

平地 まったく思いませんでした。その曲が今PassCodeの代表曲になってるっていうのは面白いですよね。

まんまPassCodeの楽曲みたいな人

──メンバーから見た平地さんってどんな人ですか?

高嶋楓 変わってます、めっちゃ。

今田夢菜

今田夢菜 エピソードも何も、人自体が変わってるよな?

 人としておかしいからPassCodeの楽曲が作れるんやろなっていう(笑)。

──めちゃくちゃ言われてますよ。

平地 はい(笑)。

 PassCodeの楽曲って転調が多いんですけど、あんな変なところに転調入れようとは普通は思わないんじゃないかなと。それは平地さんじゃないと作れないと思う。あ、PassCodeの曲自体が平地さんみたいです。ホンマによくわかんない。

──捉えどころがない感じ?

 そうですね。まんまPassCodeの楽曲みたいな人。

──メンバーからしたら平地さんが生みの親みたいなものじゃないですか。

 もう付き合いが長いから慣れましたけど、最初に誘われたときは怪しい人たちだと思ってましたからね。

平地 まあそうだろうね(笑)。

高嶋楓

高嶋 平地さん、初めて会ったときにヒョウ柄の短パンを履いてて、絶対にめっちゃ怖い人だなって思ってた(笑)。

 あの当時の平地さんの一張羅ね。

平地 よく覚えてるなー!

高嶋 なんかオラオラしてましたね。

 パナさん(法橋)なんかもっと危ない感じだったし(笑)。なんで当時信用したのかわかんないんですけど、信じて付いてきてよかったです。

メジャーデビューシングル「MISS UNLIMITED」2016年10月26日発売 / USM JAPAN
初回限定盤 [CD+DVD] 3000円 / UICZ-9073
通常盤 [CD] 1000円 / UICZ-5084
初回限定盤CD収録曲
  1. MISS UNLIMITED
  2. TRACE
通常盤CD収録曲
  1. MISS UNLIMITED
  2. Cry Out
初回限定盤DVD収録内容

PassCode VIRTUAL TOUR 2016 in Zepp DiverCity Tokyo

  1. AXIS
  2. Never Sleep Again
  3. 激動プログレッシブ
  4. SIGNAL
  5. ドリームメーカー
  6. XYZ
  7. MOON PHASE
  8. Club Kids Never Die
  9. Nextage
  10. Kissの花束
  11. NINJA BOMBER
  12. アスタリスク
  13. Toxic
  14. オレンジ
  15. Seize the day!!
  16. Selfish Girl
  17. overthere
  18. Link
PassCode Tour 2016
  • 2016年11月3日(木・祝)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
  • 2016年11月4日(金)愛知県 ElectricLadyLand
  • 2016年11月23日(水・祝)北海道 CLUB DUCE
  • 2016年11月25日(金)福岡県 DRUM Be-1
  • 2016年11月27日(日)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2016年12月3日(土)宮城県 darwin
  • 2016年12月4日(日)新潟県 NEXS Niigata
  • 2016年12月10日(土)京都府 KYOTO MUSE
  • 2016年12月16日(金)大阪府 BIGCAT
  • 2016年12月18日(日)香川県 DIME
  • 2016年12月28日(水)東京都 新木場STUDIO COAST
PassCode(パスコード)
PassCode

南菜生、高嶋楓、今田夢菜、大上陽奈子の4人からなるアーティスト。2013年の結成当初はアイドルらしい楽曲を歌うグループだったが、2014年2月に高嶋、今田が加入したのを機にラウドロックやEDMなどを複合した楽曲コンセプトに変更する。曲中では今田のシャウトが特徴的で、アイドルファンのみならずロックバンドファンなど幅広い層からの支持を集める。2014年6月に1stアルバム「ALL is VANITY」を発表。同年10月には大阪と東京で1stワンマンライブを開催する。2015年8月に大上が加入し「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」に初出場。同年10月から2016年1月にかけて初の全国ツアーを実施。2016年5月に2ndアルバム「VIRTUAL」を発表し、アルバムを引っ提げた全国ツアーを7月よりスタートさせる。ツアーファイナルは8月に東京・Zepp DiverCity TOKYOにて全編バンドセットで行われた。同年10月には「MISS UNLIMITED」でユニバーサルミュージックよりメジャーデビュー。11月より全国11カ所を巡る「PassCode MISS UNLIMITED Tour 2016」を開催する。