音楽ナタリー Power Push - PassCode
「VIRTUAL」でリスタートする4人のPassCode
PassCodeが2ndアルバム「VIRTUAL」を完成させた。本作には1stアルバム「ALL is VANITY」とリンクした楽曲が多数収録されており、過去と現在のPassCodeをつなぐ1枚と言えそうな内容となっている。このアルバムを引っ提げて彼女たちは2度目の全国ツアー「PassCode VIRTUAL TOUR 2016」を7月2日にスタートさせ、8月8日に東京・Zepp DiverCity TOKYOでツアーファイナルを迎える。
音楽ナタリーではアルバムの発売を記念してメンバー4人にインタビューを実施。結成から現在に至るまでにグループに起こった出来事や、メンバーの突然の脱退、そのときの心境などを赤裸々に語ってもらった。新体制になって初のアルバムの魅力や全国ツアーに賭けるそれぞれの思いにも注目してもらいたい。
取材・文 / 古川朋久 撮影 / 塚原孝顕
最初の頃はメンバーみんなが辞めたかった
──PassCodeが結成されて3年が経ちました。そもそも結成当初は今のようなラウドロックをベースとした楽曲コンセプトではなく、アイドルっぽいかわいらしい曲ばかりやってましたね。
南菜生 そうなんですよ。いわゆるどこにでもいるような普通のアイドルグループをやってました。
──最近ファンになった人たちは、ちょっと想像できないですよね(笑)。
南 イメージはまったく違うと思います。
──南さんは途中からグループに加入した感じですか?
南 はい。グループとしての活動が始まって2カ月くらい経ってから加入しました。
──ということは、その頃のPassCodeがやっていたような、いわゆるアイドルらしい活動をやってみたいと思って?
南 いや、実はアイドルとかやりたくはなかったんですよ。なんかキャピキャピした感じのことは向かないから(笑)。どちらかというとバンドを観に行くことのほうが多かったし、アイドルも観る分にはいいけどやるとなるとどうしたらいいかまったくわからなくて。運営の方に誘われててずっと断ってたんですけど、人数が足りないって理由を聞いてなんか助けてあげたくなっちゃって……。それで入ってしまったという経緯ですね。
──助っ人みたいな感じで?
南 最初はそんな感じでした。自分にはできないって思ってたけど、このままじゃグループがなくなっちゃうって感じだったので、どうにかしてあげたいなって。気付いたら入ってました。
──でも結局初期メンバーはどんどん辞めていったんですよね?
南 そうなんですよ。でもメンバーが抜けていっても別になんとも思わなかったです。「おいおい、マジかよ」ってくらいで(笑)。私も辞めたいって思ってたけど辞めるって言ったらファンの人がかわいそうっていうか、応援してくれてるのに申し訳ないし。そのときはもっと上に行きたいとかそんな願望もなかったし、とりあえず活動を続けていかないとっていう思いだけだったので、あまり前向きな感じでもなかったのかなって。
──自分のためっていうよりはファンの人のために続けていたんですね。
南 その当時はそうでした。応援してくれている人の気持ちをアダで返すようなことはしたくなかったんですよ。ただそんな思いはあっても残ったメンバーはみんなが辞めたいって気持ちはあったと思うし、お互い誰が先に辞めるって言い出すか探り合ってた状況がしばらく続きました。だからグループとしてそんなにいい状態ではなかったです。
アイドルってけっこういいやん
──結局南さんと黒原優梨さんだけが残って、しばらくは2人でライブを続けていくことになります。そして2014年になってから高嶋さんと今田さんが加入。このタイミングでグループのコンセプトも変えて現在のPassCodeの形になりました。
南 楽曲とかビジュアルイメージを含めて全部変わりましたね。2人が入るってことで今までやってたアイドルっぽい曲も最初に振り入れしてたんですけど、新曲として「アスタリスク」ができてきて。「あれ? なんやこの曲?」と思ってたら、楽曲プロデューサーの平地孝次さんから「今後はこういう曲をやっていく」って説明されて。そのとき(今田)夢菜ちゃんと(高嶋)楓ちゃんはかわいいアイドルっぽい曲をやれると思って入ってきてるのに、大丈夫かなって思いました(笑)。
今田夢菜 うん、めっちゃそのつもりだった(笑)。私、高校生のときにかわいい系のアイドル活動をやっていたんですよ。それで「自分、めっちゃアイドルに向いてるわ」って思って。だから今後もやりたいって思ってたんですけど、PassCodeのお話をいただいたときに、そのときにやってた活動があまりうまくいってなくて「かわいいアイドルをやれるならいいか」って感じで入ることを決めました。でもいざPassCodeのレッスンに入ったら平地さんから「夢菜ちゃん、シャウトやってもらえる?」って言われて。なんとなく想像はできたけど無理やったら無理って言えばいいから最初は「はーい」くらいのノリで引き受けたんですけどね。
──やりたい方向性と180°違いますね。
今田 もうね、その当時は「辞めてやるぞー!」って感じやった(笑)。
南 いつ辞めるかヒヤヒヤしてました。
今田 だって思ってたのと違い過ぎて。
南 「もっとキャピキャピしたい!」ってな。「みんなの妹ー!」的な(笑)。
今田 まさかこうなるとは思ってなかったです。
──高嶋さんはどういった経緯でPassCodeに?
高嶋楓 私はアイドルが大好きでいろいろ観てたんですけど、そんなときにアイドルをやりたい子を探してるって話を聞いて。そのときはまだ学生だったんですけど授業もあんまり行かなくなって家でゴロゴロしてたんですよ。で、アイドルの話をもらったときに、めっちゃ軽い気持ちでやってみようって思って。全然先のこととか何も考えてなかったです。もう暇だからやる、みたいな。
──何か熱中できるものが欲しかったと?
高嶋 そうですね。みんな学校に行ってるし、遊んでくれへんし(笑)。
南 当時、平地さんが楓ちゃんのことを「あの子、ホンマにやりたいんかわからへん」って言ってました(笑)。
高嶋 何を言われても全部「いけますいけますー」とか「はーい」しか言わんかったし。
──でもここまでちゃんと活動してきてますもんね。
高嶋 私、今まで何も続かない人だったんですよ。学校も趣味も何も続かなかったし、PassCodeも飽きたら辞めようって思ってたくらいで(笑)。
南 危ない危ない!
高嶋 私と夢菜ちゃんは「いつ辞めようか」って話ばかりしてたよね(笑)。
今田 帰りの電車で「辞めたいわー」ってね。
高嶋 練習が増えてしんどくなってきたし。運動とか苦手なんで。
──根本的に向いてないですね(笑)。
高嶋 しんどかったです。
南 4人体制になって最初のライブの前は毎日練習して、合宿までやって。事務所に泊まって朝から晩までずっと踊ってました。
高嶋 でもその合宿でみんなで1日中練習して、つらかったけどそれがなんかよくて。「アイドルってけっこういいやん」みたいな。まあでも、そのあとも練習がつらくて辞めようって思ったりしてたけど(笑)。
南 これ、読んでるファンからしたら恐ろしい話よな(笑)。
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収録曲
- MOON PHASE
- AXIS
- Never Sleep Again
- ドリームメーカー
- NINJA BOMBER
- from here
- SIGNAL
- Now I Know
- Selfish Girl
- Nextage
- Don't leave me alone
- You made my day
- PassCode VIRTUAL TOUR 2016
- 2016年7月2日(土)
宮城県 darwin - 2016年7月3日(日)
大阪府 FANJ twice - 2016年7月6日(水)
愛知県 ell.FITS ALL - 2016年7月8日(金)
福岡県 INSA - 2016年8月8日(月)
東京都 Zepp DiverCity TOKYO
PassCode(パスコード)
南菜生、高嶋楓、今田夢菜、大上陽奈子の4人からなるアイドルグループ。2013年の結成当初はアイドルらしい楽曲を歌うグループだったが、2014年2月に高嶋、今田が加入したのを機に楽曲プロデューサーの平地孝次が手がけるラウドロックやEDMなどを複合した楽曲にコンセプトを変える。曲中では今田のシャウトが特徴的で、アイドルファンのみならずロックバンドファンなど幅広い層からの支持を集める。2014年6月に1stアルバム「ALL is VANITY」を発表。同年10月には大阪と東京で1stワンマンライブを開催する。2015年8月に大上陽奈子が加入し「TOKYO IDOL FESTIVAL 2015」に初出場。同年10月から2016年1月にかけて初の全国ツアーを実施。2016年5月25日に2ndアルバム「VIRTUAL」を発表し、アルバムを引っ提げた全国ツアーを7月2日よりスタートさせる。ツアーファイナルは8月8日に東京・Zepp DiverCity TOKYOにて全編バンドセットで行われる。