音楽ナタリー Power Push - 奥華子

メジャーデビュー10周年で振り返る原点

奥華子の純粋さを象徴した「花火」

──奥さんにとっての大切な曲「花火」も今回はカップリングに収録されています。こちらもインディーズ時代の曲で、メジャーでは初音源化となります。

インディーズ時代、初めてお店に並ぶCDとしてリリースしたのがこの「花火」で。実はこの曲がメジャーデビューのきっかけにもなったんですよ。当時、千葉の柏駅で路上ライブをしているときに、この「花火」を近くのCD屋さんの方が聴いてくれていて。その方がポニーキャニオンの営業の人に薦めてくれたんです。「千葉の路上で有名な子がいるんだよ」って。で、それが当時のディレクターに渡り、気に入ってもらえたことでデビューできることになったっていう。

──インディーズでリリースされたのは2004年でしたよね。曲が生まれたのもそれくらいの時期だったんですか?

奥華子

曲ができたのは2003年かな。路上ライブを始める前に、自分をちょっと変えなきゃなと思って曲作り期間を作ったんですよ。そのときにできた曲だったと思います。これは実際にあった失恋を元に書いた「楔 ‐くさび‐」とは作り方がまったく違っていて。映像が浮かぶような曲にしようと思って作ったんですよね。夏の終わりの切なさをイメージしながら。

──確かに情景がものすごくリアルに浮かぶ曲になっていますもんね。

うん。当時、自分の中ではメロディやコード感に新鮮な感じがありました。ファンの方も気に入ってくださっていたので、初めてのCDは絶対「花火」だねって、みんなで決めました。そういう思い出も含め、この曲は奥華子にとっての純粋さを象徴している感じがするんですよ。曲の内容自体もすごく純粋だし。

──曲の世界観をより色濃くするストリングスアレンジもすごく素敵でした。

ストリングスアレンジはバイオリニストの伊藤彩ちゃんにお願いしたんですよ。イントロからもう、いいんですよねえ。「楔 ‐くさび‐」同様、この曲もデビューしてからの活動の中で出会った方々への信頼感あってこその仕上がりになったのがうれしかったです。特別な曲がより特別になりました。

──「楔 ‐くさび‐」も「花火」も夏の終わりを描いているので、これからの季節にマッチしそうですしね。

ああ、確かにそうですね。たくさん聴いてもらいたいな。

みんなの笑顔を見れば大丈夫

──メジャーデビュー10周年を記念した弾き語りツアーもすでにスタートしています。内容としてはやはり節目を感じさせるものになっていますか?

そうですね。10年間のいろいろを、まんべんなく聴いてもらおうかなと。選曲がかなり難しいんですけどね。自分にとっては全部が大切な曲でもあるので、選びきれないというか。普段はあまり過去を振り返ることはないんですけど、曲を選ぶ作業の中ではいろんなことを思い出すこともできました。お客さんにも「この曲のときはこんなことがあったなー」みたいに、この10年を振り返ってもらえるライブになればいいなって思います。

──ツアーの最終公演のあと、12月23日にはスペシャルなコンサートも用意されているんですよね。

はい。ツアー前に1本大阪でやったんですけど、ストリングスカルテットとバンドと一緒にやるライブがあります。弾き語りとはライブの雰囲気が全然違うので、選曲も違ったものにしようと思っています。

──年末までライブ三昧の日々が続くわけですけど、体力的な心配はないですか?

去年は48本ライブをしていて「バンドマンみたいに本数が多いよね」って言われるんですけど、自分ではそんなにめっちゃ多いとは思ってないんですよ。今回はスペシャルライブ合わせて39本だから、むしろ減ったなみたいな(笑)。基本的に体力はあるんですよ、タフだなって自分でも思うし。この10年間で「もうムリ!こんなんムリ!」みたいな、いろんなピンチもありましたけど、それを全部乗り越えてきたので、そこで自信が付いたというか。とにかく今回のツアーは、「10年間ありがとう、これからもよろしく」っていうことを伝えに行くのが一番の目的なので、その意識を持ったまま年末まで走っていけると思います。みんなの笑顔を見れば大丈夫。

──ツアー中に曲作りすることもありそうですか?

したいですよね。またアルバムも作りたいですし。今まではCDになってからライブで歌うっていう流れが多かったですけど、今回のツアーでは新曲ができたらすぐにライブで歌い、そこでもらった反応を見ながらまた作るっていうことをしてみたいなとも思っていて。新曲を初めて聴いてもらうときの感覚が好きなので、それをたくさん味わえたらいいですよね。

──ツアーが終了したとき、どんな気持ちになっているでしょうね?

気持ち的には改めてリセットできるんじゃないかなって思いますね。10周年が終わって、また新しくがんばろうって。考えてみると、メジャーに来てから奥華子に関わってくれる方がほんとに増えましたけど、恩返しできていないままなんです。なので、それがいつかできるように、とにかく曲を書き続けていくしかないなって思うんですよね。この先もまた絶対に迷うこともあるだろうけど、続けていればきっといいことはあるはずだって、そんなふうにちょっとだけ思えるようになってきたので。

ライブ情報

10周年記念シングル「楔 -くさび-」発売記念リリースイベント

  • 2015年7月25日(土)千葉県 津田沼公園
    ※当日開催されているイベント「いきいき津田沼夏まつり」内のスペシャルステージに登場

奥華子「10th Anniversary Concert Tour 2015」(※終了分は割愛)

  • 2015年7月26日(日)新潟県 新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)
  • 2015年7月30日(木)静岡県 静岡しずぎんホール ユーフォニア
  • 2015年8月1日(土)宮城県 イズミティ21 小ホール
  • 2015年8月2日(日)秋田県 秋田市文化会館 小ホール
  • 2015年8月8日(土)福島県 福島テルサ FTホール
  • 2015年8月9日(日)山形県 山形テルサ アプローズ
  • 2015年8月11日(火)岩手県 盛岡劇場
  • 2015年8月15日(土)千葉県 千葉市民会館
  • 2015年8月16日(日)栃木県 宇都宮市文化会館
  • 2015年8月19日(水)北海道 札幌市教育文化会館 小ホール
  • 2015年8月22日(土)群馬県 前橋市民文化会館
  • 2015年8月23日(日)埼玉県 パストラルかぞ 小ホール
  • 2015年8月25日(火)茨城県 茨城県立県民文化センター 小ホール
  • 2015年8月29日(土)神奈川県 横浜関内ホール
  • 2015年9月6日(日)埼玉県 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
  • 2015年9月12日(土)福岡県 福岡国際会議場
  • 2015年9月13日(日)山口県 スターピアくだまつ
  • 2015年9月18日(金)東京都 町田市民ホール
  • 2015年9月20日(日)岡山県 三木記念ホール
  • 2015年9月21日(月・祝)愛媛県 松山市民会館
  • 2015年9月23日(水・祝)宮崎県 宮崎市民プラザ オルブライトホール
  • 2015年9月26日(土)京都府 京都府立府民ホールALTI
  • 2015年9月27日(日)兵庫県 新神戸オリエンタル劇場
  • 2015年10月1日(木)愛知県 芸術創造センター
  • 2015年10月10日(土)広島県 広島市南区民文化センター
  • 2015年10月12日(月・祝)島根県 島根県民会館
  • 2015年10月24日(土)香川県 高松国分寺ホール
  • 2015年11月20日(金)福井県 福井まちなか文化施設 響のホール
  • 2015年11月21日(土)石川県 北國新聞赤羽ホール
  • 2015年11月23日(月・祝)富山県 富山県教育文化会館
  • 2015年11月25日(水)長野県 上田市交流芸術文化センター
  • 2015年12月5日(土)熊本県 熊本市国際交流会館
  • 2015年12月6日(日)熊本県 熊本市国際交流会館
  • 2015年12月12日(土)長崎県 長崎ブリックホール
  • 2015年12月19日(土)滋賀県 ルッチプラザ
  • 2015年12月20日(日)大阪府 松下IMPホール

奥華子「10th Anniversary Special Concert 2015冬 in 昭和女子大学人見記念講堂」

  • 2015年12月23日(水・祝)東京都 昭和女子大学人見記念講堂
ニューシングル「楔 ‐くさび‐」 / 2015年7月22日発売 / 1080円 /ポニーキャニオン / PCCA-70441
「楔 ‐くさび‐」
収録曲
  1. 楔 -くさび-
  2. 花火
  3. 楔(ピアノ弾き語り Live ver. at Zepp Tokyo 2013.1.19)
  4. 楔 -くさび-(Instrumental)
  5. 花火(Instrumental)
奥華子(オクハナコ)
奥華子

“10万人が足を止めた魔法の声”と称されるシンガーソングライター。キーボード弾き語りによる駅前路上ライブを2004年に渋谷でスタートさせる。1年間に2万枚の自主制作CDを手売りするなどの驚異的な集客力が話題となり、2005年7月にシングル「やさしい花」でメジャーデビュー。2006年には劇場版アニメ「時をかける少女」の主題歌に「ガーネット」、挿入歌に「変わらないもの」が起用されスマッシュヒットとなる。2010年3月発売のシングル「初恋」は自身初のオリコンウィークリーチャート初登場10位を記録。2011年4月には東日本大震災を受け制作された新曲「君の笑顔」をデジタル配信。この楽曲の収益全額は被災者および被災地の復興支援、そして今後必要とされる活動のために寄付された。2012年10月には初のベストアルバム「奥華子BEST -My Letters-」をリリース。また2015年7月にはデビュー10周年を記録し、彼女のインディーズ時代の楽曲「楔 ‐くさび‐」を表題曲に据えたシングルを発表した。