ナタリー PowerPush - THE NAMPA BOYS
19歳の“今”を切り取った「froM」
ドラマ「クローバー」主題歌の「プランジ」で華々しくメジャーデビューを飾った4人組THE NAMPA BOYSが、ミニアルバム「froM」をリリースする。
タイトルに含まれた「M」は、彼らの出身地である長野県松本市のイニシャル。本作には、ソングライティングを手がける小林聡里(Vo, G)の抱える葛藤と地元への愛情を込めたエモーショナルなナンバー「待つ元」も収録されている。
現在19歳の4人。バンドは15歳のときに第1回「閃光ライオット」で、当時大会最年少ファイナリストに選ばれるなど注目を集めたが、その後さまざまな紆余曲折や悶々とした日々を経てメジャーデビューに至った。バンド名や写真のイメージは“軟派”に見えるかもしれないが、実のところは、かなり骨太で真っ直ぐなバンドである彼ら。新作について、地元について、そして自分たちの世代について、話を訊いた。
取材・文 / 柴那典
自分たちの“今”を切り取ったミニアルバム
──ミニアルバム「froM」が出来上がってみて、どんな作品になった実感がありますか?
小林聡里(Vo, G) まずは自分たちの幅の広さ、音楽に対する姿勢や考え方を詰め込んだ作品になったなっていうのが大きいですね。収録曲の多くが今年になってからできた、最近の曲ばかりなんですよ。自分の中では常に最高記録を更新していると思うし、現状自分たちの歴史の中で、節目としても、しっかりTHE NAMPA BOYSというバンドを表せるものができたなと思う。自分たちが更新してきた“今”を切り取ったものっていうイメージですね。
田中悠貴(B) 俺は、やり切ったというのが全てですね。1曲1曲のキャラクターもはっきりしてて、全曲飽きないっていうか、「こんなこともできるんだぜ!」っていうのを見せられたと思います。
後藤駿(Dr) 聴き手がどんな状況であれ、パッと耳にしたときに、「ん?」って気にかけさせられような曲を入れられたと思います。荒い部分もあるけど、とにかくどんな形であれ聴いてほしい。聴けば気になるっていう自信はすごくあります。
──THE NAMPA BOYSって、今に至るまですごく長いバンドなんですよね。それこそ中学生の頃から続いてきたバンドなわけで。メジャーデビューが決まり、デビュー曲がいきなりドラマ主題歌に抜擢されたという今年になってからの動きはどういうふうに捉えてますか?
小林 正直長かったな、っていうのはありますね。今年に入ってからもいろんな葛藤はあったし、「果たしてこれを世に出していいんだろうか」って考えることもあったし。でも、それがだんだん自信に変わっていった感じですね。やっぱり、今までやってきたことが認められたのは、自分の音楽がちゃんと芯の通ったものだからだと思う。それは自信になりました。
生の温度で接することが一番大切
──このバンドは、まず「閃光ライオット」で大きな脚光を浴び、その成功体験と、逆にそこで天狗になって失敗してきたというヒストリーがあるわけですよね。
小林 そうです(笑)。
──これまでの歴史の中で、バンドの最大の転機はなんだったと思います?
小林 バンドメンバーとしての俺の転機だと、去年の8月に新代田FEVERでやったライブは大きかったですね。ライブ会場限定のミニアルバム「到来」を出して、そのツアーファイナルとしてやったんですけど、そのとき、俺は結構悩んでた時期で。バンドをやってて楽しいけど、ライブにお客さんがたくさん来るわけでもなし、CDがすごい売れるわけでもなし、「このバンドを続けていく意味はあるのか」って思っちゃって。でも、とにかくその日のライブがすごく良かったんですよ。「このバンドでやっていけば絶対大丈夫だ」って思えた。何がそう思わせたかは具体的にはよくわからないですけど。そこが転機でした。
──そのときのライブは、皆さんにとっても印象深いものでしたか?
後藤 とにかく熱かったですね。熱さ、エモさっていうのが特に感じられた。
──このバンドの核が定まった感覚なんでしょうか? 熱さとかエモさって、THE NAMPA BOYSの音楽のキーだと思うんですが。
小林 そうですね。生の温度で接することが一番大切だと思うから。ステージの上に熱いものがあっても、それが観客に伝わらないと意味がない。音だけが流れても全然意味がない。ちゃんと自分たちが真っ向から向かっていかなきゃいかんっていう。
ミニアルバム「froM」/ 2012年7月11日発売 / 1680円 / A-Sketch / muddy water records / AMWR-1004
CD収録曲
- 到来
- プランジ
- 月照
- 螺旋インセクト
- キャンバス
- 待つ元
THE NAMPA BOYS(なんぱぼーいず)
2005年に小林聡里(Vo, G)と田中悠貴(B)を中心に結成された4人組ロックバンド。メンバー全員が長野県松本市出身で、2008年の第1回「閃光ライオット」にて本戦出場を果たし、大きな注目を集める。その後地元での活動を経て、高校卒業を機に上京。都内で精力的なライブ活動を行う中で、現在の所属レーベルのスタッフの目に留まり、6月6日にテレビ東京系「クローバー」のオープニングテーマに起用された「プランジ」でデビュー。同年7月にミニアルバム「froM」をリリースする。