NUANCE インタビュー|KT Zepp Yokohamaワンマンに向け、ヘンテコでストイックな魅力に迫る

神奈川・横浜発のアイドルグループNUANCEが、4月11日に神奈川・KT Zepp Yokohamaでワンマンライブを開催する。

2017年に結成されたNUANCEは、横浜の商店街のイベントに出演したり、横浜の街を表現した曲を歌ったりと、地元との結び付きが強いローカルアイドル。サウンドプロデューサーの佐藤嘉風が生み出すポップかつエッジの効いた音楽や、エンタテインメント性の高いライブも特徴だ。幾度かのメンバーチェンジを経て、現在は蓮水恭美、汐崎初音、城戸海月、椰子桃子の4人体制で活動している。

NUANCEは過去にもKT Zepp Yokohamaで何度かワンマンを行ったことがあるが、すべてコロナ禍での開催だったため、フルキャパ状態での開催は今回が初めて。さらに今回は100分間のノンストップライブとなることが事前に予告されており、現体制になってからまだ日が浅いメンバーにとって、本公演は大きな挑戦となる。音楽ナタリーではこのライブに向けて4人にインタビューし、今日までの歩みを振り返りつつ、NUANCEのライブの魅力やZeppワンマンへの意気込みを語ってもらった。

取材・文 / 西廣智一撮影 / 塚原孝顕

公演情報

NUANCE ONEMANLIVE -hamajo-

2025年4月11日(金)神奈川県 KT Zepp Yokohama

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世界を横浜にする前に、まずは日本を横浜に

──NUANCEは今年で結成8周年を迎える、ローカルアイドルとしては長めのキャリアを持つグループです。改めて現メンバーの皆さんから、このグループの特徴について簡単に説明していただけますか?

蓮水恭美 もともと横浜の商店街が企画した「ガチ!シリーズ」(「ガチでうまい横浜の商店街No.1◯◯決定戦」)というものがあって、そのテーマソングを歌うグループのオーディションから生まれたのがNUANCEです。なので、自己紹介するときは「横浜の商店街発アイドルグループNUANCE」と言っています。

──ライブを観ていると、横浜をすごく推していることが伝わります。

恭美 はい。一部のメンバーは「日本を横浜にする」と言ってがんばっていますし……(笑)。

汐崎初音 世界を横浜にする前に、まずは日本を横浜にします!

NUANCE

NUANCE

恭美 ちょっと趣旨が変わってきてる(笑)。あと、結成時のメンバーは全員横浜出身だったんですけど、何回かメンバーチェンジがあって、今は横浜出身が1人もいないんですよ。なので「自分も横浜でがんばっているんだ」という思いが、「日本を横浜にする」につながっているんだと思います。

初音 NUANCEと聞いて「横浜のアイドルグループだ」ってすぐにわかる人は、まだそこまで多くないんじゃないかと思っていて。だから、グループの存在を広めたいという思いを“既浜”という言葉で表しています。“既浜”は、「横浜になること。また、既に横浜になった場所」という意味です。

椰子桃子 それ本当ですか?(笑)

初音 2023年にLIQUIDROOMでワンマンライブを開催したんですけど、横浜発のアイドルが恵比寿のLIQUIDROOMでワンマンをやることにあまり関連性がないなと感じまして。ライブの告知動画を撮るときに思いついたのが「恵比寿を横浜にする」。そこから始まりました。今はファンの方も「一緒に横浜にしてこうね!」と協力してくださってます!

汐崎初音

汐崎初音

──なるほど(笑)。メンバーのうち恭美さんと初音さんは2022年4月にグループに加入し、このタイミングでグループの表記が小文字のnuanceから大文字のNUANCEへと変更。そして2023年8月に海月さん、2024年4月に桃子さんが加わりましたが、現在の4人がそろってからまだ1年経っていないんですよね。そこで、読者の方にメンバー1人ひとりのキャラクターが伝わるように、隣のメンバーを他己紹介してもらえたらと思います。最初に恭美さんから、初音さんを紹介していただけますか?

恭美 初音はNUANCEの真面目担当。いろいろと大変なことがあっても、初音が先頭に立って「大丈夫!」と言ってくれることが多いです。それって日々真面目に自分のやるべきことがわかっていて、ちゃんと行動しているからこそ。その一方で、“既浜”とか急に変なことを言い出したりして、急にネジが1本飛んでいっちゃうようなところも魅力です(笑)。

──続いて初音さん、海月さんの紹介をお願いします。

初音 私は海月の語彙力がすごく好きで、自分が知らないような言葉をいっぱい使っていたりしてカッコいいなと思います。あと、海月とは遠征先のホテルでよく同じ部屋になるんですけど、部屋に着いてベッドに座るとずっと動かないんですよ。スマホでただSNSを見ているようで、実は発信するための準備をしていたり、どういう言葉を使えばファンの皆さんに伝わるかとか、そういうことをずっと考えていたりして。NUANCEのこと、ファンの皆さんのことを常に思ってくれている、その熱さが魅力だなと思います。

──次は海月さんによる桃子さんの紹介を。

城戸海月 桃子ちゃんは見た感じからわかる通り、ひと言で言うとギャル。今までのNUANCEにはいなかった、ステージ上でも裏側でも明るさがあふれ出ているタイプなんです。ギャルマインドでみんなのやる気を上げてくれますし、積極的に困難に立ち向かうんですよ。そこがすごく魅力的だなと思います。あとは、一番の後輩だけど先輩方にも臆することなくツッコミを入れてきますし、いい意味で気を使わず話しかけてくれるのでグループ内のバランスが取れてるんじゃないかな。

──最後は桃子さんから恭美さんの紹介をお願いします。

桃子 恭美さんは見るからにふわふわで、ちょっと抜けてるところあるから1人にしておけないし、助けてあげなきゃと思うような危なっかしい一面があります(笑)。でも、NUANCEのことを一番に考えてくれていて、仕事の帰り道でNUANCEについて語り合うことが多いです。見た目とのギャップにだまされそうになるんですけど(笑)、すごく熱い人だなと思います。

NUANCE

NUANCE

ちょっとのことでは動じないくらいたくましくなった

──昨年3月に最後のオリジナルメンバーであった川井わかさんが卒業したことで、この1年はNUANCEを建て直す期間でもあったと思います。

恭美 でもそのおかげでめっちゃ強くなったなとは感じます。ムチャぶりをされても、ちょっとのことでは動じないくらいたくましくなったとファンの方からも言われますし。

──確かに、すごくたくましくなりましたよね。ここ最近の桃子さんからは、特にそう感じます。

桃子 本当ですか? ヤバーッ!(笑)

恭美 NUANCEはライブの前日に振り入れをして翌日にすぐ披露するというケースが多いんですけど、桃子は最初からそれを強いられて。デビューライブに向けても1週間ぐらいしか……。

桃子 いや、3日です! 3日で6曲覚えました!

恭美 ……という状況で(笑)、最初はみんなヒーヒー言ってたんですけど、最近は1曲あたり1時間で覚えられるようになったりと、かなり成長しました。

蓮水恭美

蓮水恭美

海月 毎月横浜で開催している定期公演では“ガラポンセトヌュ”という、その場でセットリストを作ってライブを披露する試みをやっていて。そこでもだいぶ鍛錬された気がします。

──昨年4月には桃子さんとともに早瀬るりねさんも加入し、7月開催の新体制初ワンマンライブ「スタイル」を成功させるためにグループの地盤を固めていきました。この頃、皆さんの中でモチベーションとなっていたものは?

初音 私と恭美が一番上の先輩になり、グループを引っ張っていかなきゃという気持ちがより強くなりました。それがモチベーションでしたね。

海月 私は去年の4月の時点ではアイドルになってまだ1年しか経っていなかったんですけど、そこに新メンバーが入ってきて、急に先輩と後輩に挟まれるポジションになってしまって。でも、後輩ができたことでさらにエンジンがかかったというか、「もっとがんばらないと!」という気持ちがより強くなったと思います。

恭美 初期メンバーがいないNUANCEをどうやって愛してもらうかが大きな課題だったんですけど、7月のワンマンまでいろいろとライブやイベントの予定が決まっていたので、常に忙しくて。そこでがむしゃらに、とにかく熱を見せるっていう目標を立ててワンマンまで突き進みました。

──桃子さんは加入して3カ月で初ワンマンを迎えました。

桃子 私はグループどうこうよりも、とにかく曲をたくさん覚えることに必死で。壊滅的にできない状態で加入したから(笑)、目の前のことをただひたすらやるだけでいっぱいいっぱいでした。だからライブ当日についても、楽しかったかどうかも思い出せないくらい記憶が曖昧です。

椰子桃子

椰子桃子

やるしかないんですよ。だって、NUANCEだから

──新体制初ワンマンは大きな盛り上がりを見せ、その後も順調に活動が続きますが、11月にるりねさんが体調面を理由に脱退。突然現在の4人編成となり、歌割りや立ち位置を迅速に変更してライブを1本も飛ばすことなく活動していきます。しかし12月に入ると、声帯浮腫と診断された海月さんが歌唱なしのダンスのみでライブに参加し、時には海月さんが欠席して3人のみでライブを行ったこともありました。しかも、今年に入ってからは桃子さんの病欠により、海月さんがダンスのみでステージに立つ中、恭美さんと初音さんの2人で歌う形でライブを継続。そんな状況下でも、よく心が折れずに活動を続けることができましたよね。

初音 次から次へと対応することが増えていったから、折れる暇もなくて(笑)。

恭美 いつも急なんですよ。私は「無理だ!」と思っちゃって心が折れがちなタイプなんですけど、そのたびに初音が「できる! 大丈夫!」と言ってくれたので、なんとかがんばることができました。

初音 言霊です。ポジティブな言葉を口にしていれば、自分自身もポジティブになる気がするので。

海月 私は……声を出したいのに出せない、歌いたいのに歌えない、でもステージに立ちたいという苦悩があって。歌えなくても、踊りだけでファンの皆さんに楽しんでいただけるようにがんばらなければいけないし、加えてお客さんに対する申し訳なさとかもいろいろありました。今振り返っても正解はわからないですが、踊りに集中できる時間が増えましたし、自分的にはこの期間を成長につなげられるようにうまく活用したいと思って過ごしていました。

城戸海月

城戸海月

桃子 桃子は自称「たまごっちアイドル」なので、みんなに褒められ、育てられ、愛されることで成長できています(笑)。最近はみんなの足を引っ張ってはいけないという気持ちも強いです。NUANCEに入ってからはがんばらなきゃいけない状況がずっと続いているんですけど、もうやるしかないんですよ。だって、NUANCEだから。

恭美海月初音 「NUANCEだから」!(笑)

桃子 だから、桃子は偉いと思います! 偉いんです!(笑)

──今年1月には恭美さんがリーダー的ポジションの「長(おさ)」に就任しました。

恭美 そもそも私、リーダーには向いていないと思っていたので、5人での新体制が始まったときからリーダーはやらないと言ってきたんですよ。そんな中、最近は4月のKT Zepp Yokohamaワンマンに向けて海月も桃子もどんどん成長しているし、初音に助けられることも増えていて、自分だけ落ち着いたポジションにいることに気付いたんです。どうしたら自分ももっと成長できるのかなと考えることが多くなって。そうなると、やっぱりリーダーになったほうがいいのかなと思い、やっと決意しました。リーダーと呼ばれるとちょっと恥ずかしいので長にしたんですけど、実は長のほうが意味合いが強いらしくて。「これはヤバい」と、あとから焦っています(笑)。