INFINITE×WOWOWプラス|ライブレポート&インタビューで振り返る6人とINSPIRITの15年

今年2月15、16日に神奈川・ぴあアリーナMMにて開催された、INFINITEのデビュー15周年を記念した日本公演「INFINITE 2024 - 2025 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より、最終公演の模様が3月30日20:00よりWOWOWプラスにて全編ノーカットで独占放送・配信される。

2010年に韓国でデビューした6人組グループ・INFINITEはK-POPの“第2世代”を代表するグループの1つとして知られ、「Be Mine」「Bad」「The Chaser」といった数々の人気曲を世に送り出してきた。2018年以降はメンバーの兵役義務の履行や事務所移籍などの影響でグループとしての活動が難しい状況が続いたが、2023年、リーダーのソンギュを中心にグループ活動のための事務所・INFINITE Companyを設立。5年ぶりのアルバムリリースや7年ぶりの完全体コンサート開催など、6人そろってのグループ活動を本格的に再開させた。

そんなINFINITEにとって15年間の活動の集大成ともいえるコンサート「INFINITE 2024 - 2025 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」のWOWOWプラスでの放送・配信に向けて、音楽ナタリーでは特集を展開。4時間超におよぶコンサートの模様を記録したライブレポートとメンバーへのインタビューを通じて、デビュー当初から揺らがない、INFINITEが注ぐパフォーマンスへの情熱とファンへの愛情を感じ取ってほしい。

取材・文 / 岸野恵加撮影 / 曽我美芽

ライブレポート

6人で迎えた15周年

メンバーの兵役を経て2023年にグループ活動のために会社を設立し、約5年ぶりに6人全員での活動再開を果たしたINFINITE。今回のツアー「LIMITED EDITION」は「限定版」というタイトルの通り、15周年を記念した特別なステージが多数詰め込まれた公演となった。

オープニングでは、高貴なホワイトのジャケット衣装に身を包んだ6人がゆっくりと階段を降りていく。迫力たっぷりなバンドの生演奏が響き渡る中、メンバーが「YOKOHAMA, Are you ready?」と煽ると、INSPIRIT(INFINITEファンの呼称)は大歓声で6人を迎え入れた。ライブは「100%君を守る」というメッセージが込められた「Last Romeo」で華やかに幕開け。続いて情熱的な歌声が響く「Paradise」、そして静と動の対比が光る「Back」まで3曲連続で日本語バージョンでの披露となり、INSPIRITを大いに喜ばせた。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

ベテランの風格を漂わせるパフォーマンスとは対照的に、MCは終始にぎやかで自由なムード。ソンヨルが「皆さんの“魅力的な目元の永遠のボーイフレンド”ソンヨルです」と、ドンウの「魅力的な目元」、エルの「永遠のボーイフレンド」というフレーズに被せた自己紹介をしてツッコミが入るなど、長い年月をともにしてきたがゆえの息ぴったりなトークでINSPIRITを楽しませる。その後も6人は「Inception」で椅子を使ったダンスを繰り広げたり、「New Emotions」で赤いライトに照らされて妖艶に踊ったりと、さまざまなパフォーマンスで観客を魅了していった。

キリングパート続きのソロステージ

メンバーがソロで登場したセクションは、レアなステージの連続。まずは最年少のソンジョンが花道を駆け回り、エネルギッシュに「Monster Time」で会場をヒートアップさせていく。最後は台の上で背中から倒れるように落ちていき、オーディエンスをあっと驚かせた。ソンヨルは脚の長さが映えるブラックの革パンツを履いて登場。ドンウのソロ曲「TGIF」をセクシーに歌い踊り、途中で白いシャツを脱ぎ捨てて鍛え抜いた上半身をあらわにすると、INSPIRITの黄色い悲鳴が場内に轟いた。

エルはスタンドマイクの前に立ち、さながらロックスターのように「Shot」を歌唱。超ロングトーンのパートを見事に歌い上げたあとは、にっこりと微笑んで余裕を漂わせる。さらにソンギュとウヒョンは、お互いのソロ曲を交換。ソンギュはウヒョンの「Calm & Passion」の世界観を切ない表情とキレのいいダンスで見事に表現し、ウヒョンはソンギュの「Kontrol」で伸びやかな歌声を響かせた。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

そしてドンウは、「True Love」をグランドピアノで弾き語り。低音ボイスのラップを得意とするドンウだが、ここでは透き通るような美声を披露して、マルチな才能を惜しみなく発揮していく。再び全員が舞台にそろい、届けられたのは「Pray」と「The Chaser」。K-POPシーンにおいてカル群舞(刃物のようにキレがある、一糸乱れぬパフォーマンス)の元祖と言われるINFINITEらしい、迫力のシンクロダンスで観客を圧倒した。

その後のMCでメンバーは、それぞれのソロステージを振り返り、「キリングパートをもう一度見せて!」とリクエストして踊ったり、アカペラで歌ったりと、お互いを讃えて盛り上がる。ウヒョンとソンギュが、カバーされた自分の楽曲を原曲アーティストとして披露しようとするも、一部うろ覚えになってしまい、客席から笑いが起こる場面もあった。なおソロステージでは、それぞれのパフォーマンスが終わるたびにINSPIRITがメンバーの名前をコールし、愛情に満ちたムードが漂っていた。

中盤を締めくくったのは、INFINITEが3月6日にリリースした8thミニアルバム「LIKE INFINITE」より昨年12月に先行配信された切ないラブソング「Sad Loop」と、活動初期に発表したバラード「Still I Miss You」。「Sad Loop」ではメンバーの成熟を感じさせる美しいボーカルが響き渡り、INSPIRITは腕を左右に振って心を重ねる。そして「Still I Miss You」では、ウヒョンが「一緒に歌ってください」とリクエスト。曲中でINSPIRITが大きな声でそれぞれの名前をコールするたび、6人はうれしそうに微笑み、温かい空間が生まれた。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

「無限に一緒にいられたら」

幕間に流れたメンバーのインタビュー映像では、6人が15年間の活動を振り返り、印象的だった瞬間や、INSPIRITへ伝えたいメッセージを語っていく。リーダーのソンギュが「INFINITEというグループ名のように、無限に一緒にいられたら」とINSPIRITへの思いを伝えると、客席から拍手が起こった。

本編最後のセクションへ、6人はそれぞれ個性豊かなジャケットを羽織って登場。ダンサブルな「AIR」に続き、ヒット曲「Be Mine」を日本語バージョンで披露していく。“ネコハジャ”のフレーズが印象的な「Be Mine」では、それぞれがジャケットから肩や背中をチラリと見せて大盛り上がり。すでに会場の熱は最高潮に達していたが、メンバーはそれでも足りないとばかりに「まだまだ!」と煽り、客席を三分割して、歓声の大きさを競わせた。

「Man In Love」や「She's Back」「Nothing's Over」を歌いながら、客席通路を練り歩くINFINITE。観客が向けたスマートフォンを手に自撮りをしたり、ハイタッチをしたり、6人は近距離でINSPIRITとのコミュニケーションを楽しむ。ラストを飾ったのは「Find Me」。オーディエンスが照らすスマートフォンのライトが紙吹雪舞う場内を幻想的に照らし、本編の幕は降りた。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

INFINITEの将来を楽しみにして

しばしINSPIRITが声を合わせて歌うカラオケタイムが展開され、「Come Back Again」の“タシトラワ”コールを続けていると、ツアーグッズのパーカーをまとったINFINITEが再登場。日本語バージョンの「Come Back Again」や「Up to you」などを明るく歌いながら、6人は会場全体のINSPIRITと視線を合わせて、愛を伝えていく。記念写真を撮影したあとは、メンバーそれぞれが最後の挨拶へ。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

終始安定感のあるパフォーマンスで魅了したソンギュは、まず「もうツアーも後半に入りました。最近はツアーやカムバックの準備などでメンバーみんな大変だと思いますが、がんばって付いてきてくれてありがとうございます」と、最年長のリーダーらしくメンバーをねぎらう。日本語を懸命に紡いで「こうしてINSPIRIT、メンバーと一緒に15周年をお祝いできて、今はすごく幸せです」と述べ、最後は「今日、君に会えて……胸キュン!」とキュートなポーズで決めた。ソンヨルは「僕は個人的に日本が大好きで。ソンジョンさんと1日遊んで、おいしいお寿司も食べて、もうちょっと楽しんでから帰りたいと思います」と笑顔で語り、日本語でも「たくさんの方が私たちだけを観に来てくれて、席を埋めてくれたことに感謝します。ずっとそばで見守ってください」と思いを口にした。

公演中、常にハイテンションに会場を盛り上げていたドンウは「最後はいつも少し寂しいですが、私たちには次があるから、笑顔で挨拶します」「INSPIRIT、必ずまた会いましょう。約束!」と、小指を立てて再会を誓った。素晴らしいボーカルで観客を圧倒し続けたウヒョンは「僕は皆さんの想像以上に、皆さんのことを考えていて、愛おしくて大好きです。離れていても、これだけは忘れないでください。わかりましたか?」とあふれんばかりの愛情を表現。さらに3月にリリースするアルバムについて彼が言及すると、ソンギュが新曲のワンフレーズを歌い、メンバーが合わせてダンスを披露するという“スポ”(ネタバレ)も飛び出した。

天使のように純真なオーラと声色でINSPIRITをとろけさせたソンジョンは「いまだにINFINITEの15周年が信じられないです」としみじみ。「今日を迎えることができたのは、メンバーのお兄さん、INSPIRIT、一緒にいてくれるスタッフの皆さんのおかげだと思います。これからも、INFINITEの将来を楽しみにしてください」と期待を煽る。そして甘いマスクと歌声でファンを魅了したエルは、流暢な日本語で「ひさしぶりに会えたけど、やっぱり皆さんと一緒にいると、僕の心はいつも特別な気分になります。これからも一生懸命活動するので、期待してください」と微笑み、「僕が戻ってくるまで、浮気したらあかんでー」とキラーフレーズを投げかけてINSPIRITを悩殺した。

「もう曲がないです!」30分超のダブルアンコール

最後は6人が「Lately」で温かい歌声を響かせ、肩を組み、感極まったような表情を浮かべてライブは終幕。しかしエンドロールが流れても、INSPIRITのアンコールを求める声はやまない。メンバーはこれに応え、ダブルアンコールとしてステージに登場。「もう曲がないです!」と話して笑わせながら、そこからなんと30分以上にもわたり、サービス精神たっぷりに「Time Difference」「Flower」などさまざまな楽曲を即興で披露した。さらにはソンギュの「Climax」やエルの「Melody」など、各メンバーのソロ曲の一部もパフォーマンス。INSPIRITのリクエストを聞いてすぐに披露するフットワークの軽さには、ベテランならではの対応力と自由度の高さがにじんでいた。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

「INFINITE 15th ANNIVERSARY CONCERT 'LIMITED EDITION' IN JAPAN」より。

たっぷりとINSPIRITを楽しませたあと、「愛してるー!」と叫びながら、ステージをあとにしたINFINITE。ソンギュは最後まで残って何度も礼をし、リーダーらしく誠実な姿を見せた。数々の苦難を乗り越えてアニバーサリーを迎え、再び道をともにしている6人。衰えないどころか進化と深化を感じさせる息の合ったパフォーマンスを見せ、今後の活動への期待感を高めた。