ナタリー PowerPush - MO'SOME TONEBENDER
MO'SOME TONEBENDERついに帰還!2年の“葛藤”を経て得た答え
バンドを続けていくのであれば嘘をつかずにやりたい
──バンドで長いことやってると完成度の高いものにしたいと思うし、そういう方向になってしまう。今のモーサムはそれをあえて拒否して、まったく反対の方向に行こうとしてるし、次に何が出てくるかわからないスリルがある。
そうですね。来年どうなるのかわからんバンドを13年続けてきて、自分らでもわからんままだし。前のアルバムから2年空いてよかったなって思うのは、モーサムをすごく客観的に見られるようになったんですよ。ソロをやったり、バンドの外でセッションをやったり、そうやって外部の音楽を見てみると、モーサムがいかに特異で、変わったことをやってる存在なのかがわかってきたし。
──(中村)達也とやったり、大友(良英)さんとやったり。
みんな特殊なんだけどね。
──もちろんそうなんだけど、バンドの外でいろんな人とやって、その都度いろんな自分を見つけると、モーサムでやるべきことは何なのか、逆にハッキリしてくるんじゃないかと。
そうなんですよ。結局今じゃないと思って作らなかったんですけど、ソロ用の楽曲を俺が準備してたっていうのも、どこかで「モーサムにはふわふわしたものはいらん」って思いがあったからでしょうね。それをやってしまうと、もうね、インタビューを受けるのも嫌になってしまう。本当はギスギスしてんのに、結局ふわふわした言葉を使わなきゃいけなくなるし。そういうのが嫌だったんだよね。バンドを続けていくのであれば嘘をつかずにやりたいし、そのためにダメになるようなバンドではないと客観的に見て思ったし。その妙ちくりんな部分をそのまま出しゃいいんだって気付いたんですよ。
──ちょっとニュアンスは違うかもしれないけど、PANTAさんが頭脳警察しかやってなかった頃ってアウトプットがそれしかないから非常に苦しかったと以前話していて。でも、頭脳警察を休んでソロを始めて、またバンドを始めた頃には頭脳警察以外の選択肢がたくさんあったから、やるべきことがはっきり見えてきて。自分の全部を入れなくちゃいけないっていうのもないから、逆にすごく楽にできるようになったと言ってました。
まさにそうですね。勇にも、課外活動をバンバンやれって言ってるんですよ。モーサムの中で出せないものがあれば、ソロもやればいいし。
「Kingdom Come」はソロ用の1曲だった
──うん。ちなみにあなたのソロってのはどういうのだったの?
まだ全然絞りきれてないんだけど、弾き語り半分、ちょっと作り込んだロックが半分。「SING!」を引きずった、歌モノ中心ですね。今回のアルバムの11曲目に「Kingdom Come」って曲があるんですけど、これはそのソロ用の中の1曲なんです。
──なるほどね。ソロの曲を作ってるときは、これはソロ用の曲なんだって意識で作ってたわけ?
いや、最初からそうじゃなくて。モーサムの次のモードが見えてなかったんで、見えないまま曲を作って、モーサムがハードな感じで行こうって決まったんで、だんだんハードなやつが出てきたらモーサム用に回すようになった。何も考えずに、絞り込まずにって感じですね。
──でも、それで楽になったっていうのはあるんでしょうね。
うん、そうすね。
──じゃあ、それから4人編成になってライブを始めて、曲もガンガン作って、後は一気呵成に?
俺は特にそうでしたね。もう「見えた!」って感じになったんで、曲もババババッって出てきて。
CD収録曲
- Hammmmer
- youth
- Junk
- けだるいDays
- Drum Song
- 教祖様はスレンダー
- PURR
- アイデンティティ
- Black In,Black Out
- 七月二十日
- Kingdom Come
MO'SOME TONEBENDER(もーさむとーんべんだー)
1997年に福岡で結成されたロックバンド。メンバーは百々和宏(Vo,G)、武井靖典(B)、藤田勇(Dr/現在はG)の3名。年間100本に達するほどのライブ活動を行い、2001年にはアルバム「HELLO」でメジャーデビュー。迫力あるロックサウンドで高い評価を獲得している。ダイナミズムあふれるライブパフォーマンスには定評があり、各地のフェスにも精力的に出演。2007年4月には初の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも成功させた。その後2年間にわたって何度も試行錯誤を重ね、2010年に精力的な活動の再開を宣言。ドラマーだった藤田がギタリストにパートチェンジし、現在はサポートドラマーを迎えた4人編成でライブやレコーディングを行っている。