ナタリー PowerPush - monobright
大胆不敵な「DO10!!」宣言 新曲「英雄ノヴァ」で鳴り響くファンファーレ
次の世代、音楽シーンの幕開けに向けて
──先程も話に上がった3曲目の「すたらい」は、エレキピアノが印象的な優しいメロディのナンバーですね。
マネージャーに子供が生まれたときに思いついた曲なんです。自分に子供がいたらどんな感じになるんかなっていう興味もあって。その頃キーボードを買いまして。キーボードが楽しくってですねー。そのままレコーディングしようと思ったんです(笑)。今まではキーボーディストさんにお願いしてたんですけど、もう自分で弾いてみようと。そっちのほうが雰囲気出るんじゃないかと思って。なので、ちょっとローファイな感じもするし、僕にとっての赤ん坊みたいな曲なんですよね。
──そして4曲目「真夏のデストロイ」。この曲はTHE JESUS AND MARY CHAIN風でもあり、ユニークな構成ですよね。
僕ら世代は、轟音サウンドは割と避けて通れないんですよ。でも、マッドチェスター感、グランジ感っていうのは、これまで表現できてなかったんです。なので、今の自分らのテンションでやるならってところから入って。そうしたら、デモ音源とは全然別モノになりました。かなりいかした感じに仕上がったと思ってます。
──デモ音源と大きく変わったのはどうしてなんですか?
それも「2010年になって何かを変えよう!」って気持ちですね。前は「良い曲にしよう!」って気持ちが大きかったんですけど、今回は良くも悪くも「何か変わればいい!」くらいの大胆な発想になってる。でも、そんな初期衝動が一番人に響くんじゃないかなって思ってるんです。
──今回の「DO10!!」宣言や、はじけまくりのビデオクリップを観てると、初期衝動感は強く感じられます。スイッチ入りましたよね。
ええ。次の世代、音楽シーンの幕開けっていうものを作り出したいんですよ。
──80~90年代って音楽ジャンルの色がはっきりしてましたけど、00年代はより細分化しました。となると、10年代以降どうなっていくんだろうって思いますよね。
音楽で一番好きなのって、ワクワクするようなカッコいい音楽に出会うことなんです。最近は90年代に広がったものが00年になってさらに散らばった感があって、10年になってさらに散らばって……ずーっと収集つかないくらい音楽が広がっていて。でも逆にそれって、今の時代にしか起こらないことでもあるし、時代や場所を超えて音楽をフラットに聴けるようになりましたよね。とはいえ象徴的なヒーローが生まれない悲しさもあったりするので。そういうもがきや叫びや愛情っていうのを詰め込んで音楽にしたくなったんです。
──じゃああえて自分をカオスな状況へ追い込んで……。
「誰もやらないんだったら俺やるよ」みたいなことです。
──一貫してやりたいことが見えたからこその「DO10!!」宣言ってことなんですね。
スピリット的には昔からあったmonobrightの気持ちだし、腹をくくった感じですね。
90年代にNIRVANAが叫んでたことがようやく見えてきた
──よくわかりました。「DO10!!」な展開を楽しみにしてます。では、10年代に入りましたけど、参考までに00年代で気になったアーティストを挙げていただけますか?
00年代ってよりも、2000年に良いアルバムが結構出てるんですよね。なんでかって言ったらノストラダムスの予言の影響じゃないかと(笑)。だからRADIOHEAD「KID A」みたいなアルバムが出たんじゃないですかね。あのアルバムとかも「なんかパニック起こしてるヤツ出てきたな!」って感じがしたし。なので2000年って特殊な年だったなって思ってます。で、00年代になったときに「おっ!」と思ったのはアメリカのインディーシーンから出てくるバンドだったんですよね。MGMTやVAMPIRE WEEKENDとか。アメリカのインディーシーンは大衆的にも受け入れられている感じがあったり、かつ新しいチャレンジもし続けていたりするんで、好きですね。だから00年代は、インディーシーンとメジャーシーンをフラットに捉えるというか、90年代にNIRVANAが叫んでたことがようやく見えてきた期間だったなのかなって気がします。
──では、最後に夏のツアーへの意気込みをお願いします。
ツアーではできたての新曲をどんどん演ります。みんなのリアクションを踏まえて曲も作りたいですし。ライブとレコーディングが並行してる分、本当にタイムリーな作品が作れるし、素の状態に近い完全に裸のライブができるんで、そこを楽しみにしてほしいです。
monobright(ものぶらいと)
桃野陽介(Vo,G)、松下省伍(G)、出口博之(B)、瀧谷翼(Dr)の4人から成るロックバンド。2004年11月に桃野の弾き語りプロジェクトとしてスタートし、2006年6月に現メンバーが加入。地元・北海道で精力的なライブ活動を行いながらファンを増やしていく。2007年1月に東京に拠点を移し、同年7月にシングル「未完成ライオット」でメジャーデビューを果たす。その後も、2ndシングル「頭の中のSOS」、1stアルバム「monobright one」と順調にリリースを重ね、2009年1月にシングル「アナタMAGIC」がアニメ「銀魂」の主題歌に起用され急激に支持層を拡大。日本のロックシーンを担う新星として注目を集めている。インディーズ時代から黒縁メガネをかけ、白いポロシャツにスリムジーンズというファッションを貫いていたが、2009年4月に2ndアルバム「monobright two」のリリースを機にビジュアルイメージを一新した。