ナタリー PowerPush - ももいろクローバーZ

「GOUNN」から探るももクロの変化

4月にリリースしたアルバム「5TH DIMENSION」がオリコン週間ランキング1位を獲得し、夏の日産スタジアムライブでは約6万人を動員。さらに「OZZFEST JAPAN 2013」への出演や、安倍首相主催の「桜を見る会」に招待されるなど、2013年も常に話題の中心に位置していたももいろクローバーZ。11月6日にリリースするニューシングル「GOUNN」は、2013年にももクロが放つ唯一のシングルで、NARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS、特撮)、ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)、ピエール中野(凛として時雨)、ASA-CHANGがレコーディングに参加したことでも音楽ファンから大きな注目を集めている。

今回の特集ではメンバー5人にインタビューを行い、「GOUNN」の歌詞のテーマをもとに、現在の彼女たちの心境についてじっくりと話を聞いた。また、カップリング曲「いつか君が」を提供したmiwaへのメールインタビュー、「GOUNN」のビデオクリップ撮影に密着したフォトギャラリーも掲載。さらに、「GOUNN」の世界観をイメージして東京・深大寺にて撮り下ろした高城れにフォトギャラリーも楽しんでほしい。

取材・文・企画 / 富樫奈緒子 撮影 / 笹森健一

「GOUNN」メンバーインタビュー

歌詞に深い意味が隠された曲

──ニューシングル「GOUNN」が完成しました。まずは、最初に曲を受け取ったときの感想から教えてもらえますか?

高城れに いい曲だなあと思いました。曲調は全然違うんですけど、印象としては「サラバ、愛しき悲しみたちよ」の感じに似てるなと思うところもあって。でも衣装は「サラバ」とは逆で、「サラバ」が西洋とすると今回は東洋なので真逆なんです。

百田夏菜子

百田夏菜子 私は初めて聴いたとき「うわーっ! シングルなのにバラードが来た!」と思ってびっくりしたんですよ。イントロがゆっくりだったから。でもももクロにそんなことはやっぱりありえるはずがなくて(笑)、最初のワンフレーズが終わったら、ジャンジャンジャンジャン!っていきなりアップテンポになったから、「あ、やっぱ速いな」って。こういうふうに途中途中でメロディがまるで違う曲のように変わっていくのがももクロらしいし面白いなって思います。歌っていてもすごく楽しいです。

佐々木彩夏 私は最初は恋愛の歌かなと思ったんです。「あなたに逢いたいよ」って歌詞で始まるから。でも違いました。

玉井詩織 歌詞に「因果応報」とか「諸行無常」とか「盛者必衰」っていう印象的な言葉がたくさん出てくるんです。それが曲を聴いているとスーッと自然に耳に入ってきて、聴けば聴くほど耳から離れなくなるような曲。

百田 うん、歌詞がすごくいいなって思います。

高城 自分を見つめ直すような曲なんです。

玉井 よく聴くと歌詞に深い意味が隠されてるんですよ。「あなたに逢いたいよ」の「あなた」というのが理想の自分のことで。理想の自分に会いたいって。

高城 理想の自分でもあるし、ファンの人とか自分の大切な人とかのことでもある。

「ももクロらしさ」の変化

──この曲には「理想の自分に会いにいく」という大きなテーマがありますが、皆さんは昨年末に結成当初からの目標であった「NHK紅白歌合戦」への初出場も果たし、今年の夏には初の日産スタジアムライブを成功させるなど、破竹の勢いで活躍の場をどんどん広げています。自分たちの中で理想の自分に近付いてきているという感覚はありますか?

玉井 うーん、理想の自分がどんどん変わっていってると思うんです。だから、もともとの理想の自分がどうだったかというのは実はあんまり覚えてないかも。

高城 今はもう、現時点での理想というか「国立競技場でライブをやる」っていう紅白の次の目標があるから。

百田 でも、「こうなりたいな」というイメージは常にあります。理想の自分みたいなものがあるからこそ、そうなりたいって思うから次を目指していけるっていうか。それがなかったら何をやっていいかもわからないし。ももクロとしても、自分個人としても、常に、その時々によって全然違う目標があって、そのときの理想の自分に近付いたときにまた次の理想が出てくるんです。

佐々木彩夏

──なるほど。理想に近付いてるというよりは、さらに次の目標がどんどん出てきているということですよね。今年の活動を見ていても、西武ドームでの「春の一大事」公演や、日産スタジアムでの「夏のバカ騒ぎ」公演のようなバラエティ色の強いライブだけではなく、「5TH DIMENSION」のように顔を隠して音楽とパフォーマンスで伝えるライブをするなど、ももクロの“ライブ力”も進化してきて、表現の幅がどんどん広がっているなと感じます。「5TH DIMENSION」のツアーでの振り付けの石川ゆみ先生のインタビュー(参照:振付 石川ゆみインタビュー)でも、「ももクロはアイドルとかアーティストとか関係なく、オールジャンルなんでも挑戦する集団」ということをおっしゃってて。

佐々木 確かにね。

高城 今も「GOUNN」では違うことをしているし。

玉井詩織

玉井 「ももクロらしさ」というもの自体が常に変わるってことを、「5TH DIMENSION」を通してこれまで以上に思い始めたんです。過去を振り返ってみるとそのときには考えられなかったことが、今は「これはももクロらしい」ってことになってきてるから。

百田 そういう、「常に違う」ということがもはや「ももクロらしさ」になってるよね。変わることがももクロらしい。

高城 それって、これまでのことを自分のものにできてるっていう証拠だと思うから、プラスに考えていいのかなって思う。

“ももクロ”というものを楽しんでほしい

──高城さんは今年の春のインタビュー(参照:ももいろクローバー「入口のない出口」特集)で、「ももクロが飽きられちゃうんじゃないかという危機感を感じてる」という話をしてくれましたよね。

佐々木 まあ、わからなくはない。

高城 常にそういう危機感を持ってないと。

百田 わかる。それはわかる。

──危機感を感じている理由として「ももクロに対する固定観念ができつつあるんじゃないか」「同じことを続けていたら飽きられるんじゃないか」ということをそのときに挙げられていて。

高城れに

高城 例えば、今ももクロがすごいブリブリした王道のいわゆる“アイドルらしいアイドル”に切り替わったとして、それで「ももクロらしくないな」って言われてもそれはそれで嫌だなって思うんです。

百田 うん。「激しいダンスを踊るのがももクロ」というイメージも固定観念だと思うし。私たちはバラードだって歌うし、踊らない曲があってこそのももクロだから。私たちは常に進化していきたいって思ってるから、そういう“ももクロ”というものを楽しんでほしいっていう思いはあります。

佐々木 今、この衣装を着る「GOUNN」のももクロは最初で最後だと思うから、もう見れないかもしれないし。

玉井 でも前回の「5TH DIMENSION」のビジュアルがあったからこそ、今回もけっこう受け入れてもらえてたりするんじゃないかな(笑)。

高城 うん。あんまり違和感なく受け入れられている気がする(笑)。

佐々木 ずっとこれで行くというわけでもないし。だから楽しんでほしいよね。

高城 その時々で楽しんでほしい。

有安杏果

百田 まあこういうことも昔からずっと言ってるけどね(笑)。

有安杏果 でも昔と違って、何をやっても昔ほどびっくりされるという感じはなくなったかもって思う。なんでもあり、っていうわけじゃないけど、でもももクロがこれまでいろんなことをやってきたからこそ、見てる人も「今回はこういう感じか」っていうふうに思ってもらえるようになってきたのかなって。

ニューシングル「GOUNN」 / 2013年11月6日発売 / スターチャイルド
初回限定盤 [CD+DVD] / 1700円 / KICM-91467
通常盤 [CD] / 1200円 / KICM-1467
初回限定盤 CD収録曲
  1. GOUNN
  2. いつか君が
  3. GOUNN(off vocal ver.)
  4. いつか君が(off vocal ver.)
初回限定盤 DVD収録内容
  • GOUNN MUSIC VIDEO
通常盤 CD収録曲
  1. GOUNN
  2. いつか君が
  3. ももいろ太鼓どどんが節
  4. GOUNN(off vocal ver.)
  5. いつか君が(off vocal ver.)
  6. ももいろ太鼓どどんが節(off vocal ver.)
ももいろクローバーZ(ももいろくろーばーぜっと)

ももいろクローバーZ

百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、有安杏果、高城れにの5人からなるアイドルグループ。2008年に「ももいろクローバー」として結成。「週末ヒロイン」「いま、会えるアイドル」というキャッチフレーズのもと全国津々浦々でライブ活動を行い、2009年7月には1stシングル「ももいろパンチ」をリリース。2010年5月にはシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。 2011年4月に行われた中野サンプラザ公演を最後に、メンバーの早見あかりがグループを脱退。このライブ終了直後に「ももいろクローバーZ」へ改名し、5人編成での活動をスタートさせた。

2011年7月にはももいろクローバーZ改名後初のシングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」「D'の純情」を発表。同年7月に発売された1stアルバム「バトル アンド ロマンス」は、全日本CDショップ店員組合が選出する「第4回CDショップ大賞」で大賞を受賞し、2012年にはグループ結成当初から目標としていた「NHK紅白歌合戦」への初出場を果たした。2013年4月には2ndアルバム「5TH DIMENSION」をリリースし、オリコン週間ランキングで初登場1位を獲得。11月6日には10thシングル「GOUNN」をリリース。