ヤンキーに殴られそうだったからキスして逃げた

──タイトルの「ヤンキーとKISS」はどういう意味なんですか？

ゲイリー　これは、以前ヤンキーにケンカをふっかけられて殴られそうになったから、キスをして逃げたという実話をもとに付けたタイトルなんです。たまたま打ち合わせのあとにごはんを食べながらそのエピソードを話していたら、「タイトルこれでいいんじゃね？」って話になって。「まあいいか」ってことに（笑）。

ユコ　デビュー当時からノリでパッと出てきた言葉を大切にしているバンドなので。また響きがよくてキャッチーなタイトルのほうが、音楽的な感覚がするんですよね。

──また、アルバムのアートワークもインパクトが強いですよね。今回も「PIRATES of Dr. PANTY」と同様にアニメーターのすしおさんとコラボレートされています。

ゲイリー　前作のアートワークでは僕が神様みたいな雰囲気で、あたかも自分が皆さんとは違うレベルにいるようなイメージを持たれてしまったようで。まあ実際そうなんですけど（笑）。今回は「僕と皆さんの視線に合わせたものにしてください！」とお願いをして作っていただきました。

ユコ　あとは「アダルトでカッコいい感じにしたい」という話をして、制作してもらいました。

ゲイリーの思い描く世界観を3人で作り上げる

──サウンドに関してはいかがでしょう？ これまでとは異なるバンドの表情を引き出そうとした部分はありますか？

ゲイリー　サウンドに関しては、今まで通りと言えばそうなんです。僕はドラムを2日叩かないと蕁麻疹が出てしまうほどプロ根性が身に染み付いているんですよ。結果、常日頃から成長し続けているので、今回のアルバムは最高傑作になったかなって思います。だからこれを聴いて「過去のアルバムのほうがよかった」と思うヤツには「お前の耳は腐っている!!」と言ってやりますよ。

──（笑）。

ユコ　ゲイリーがソングライティングをしたデモをもとに、その世界観を壊すことなく、かつ曲のよさをうまく生かす方法を模索しながら完成させたという感じですね。でも実は私、そこに関して今まであまり関心がなかったと言うか。デモを聴くと「ビートはこんな感じにしよう」とか、勝手にアイデアを付け加えて自分の世界に引き込もうとするクセがあるんですよね。今回はゲイリーの思い描く世界を優先させるように心がけていたんですけど、どこまで自分が足を踏み込んでいいものか、ちょっとわからないこともあって……ねえ？

ゲイリー　こだわりのないミュージシャンなんて、この世にいないんです！

ユコ　そう。だから今回はどの部分を好きにしていいのかを確認する作業を、いつも以上にするようになりました。

──コミュニケーション能力を高めたということですね。

ユコ　コミュニケーションってあんまり得意とする部分ではないんですが、そこはがんばりました（笑）。

マルガリータ　前作からゲイリーの作ってくるデモが、ある程度完成された音になってきているんですよ。だからそれに合わせて演奏することもあるし、「もっとこういう動きがあったほうがいい」とか意見を出すこともあるし、以前より話し合う機会が増えた気がします。あと今回はリハーサルの時間が多く取れたので、細かく演奏方法を確認できたのはよかったです。