音楽ナタリー PowerPush - AOMORI ROCK FESTIVAL '14~夏の魔物~
吉田豪が問い詰めた私生活、DPG、魔物
今年は原点回帰
──“プチ夏の魔物”がこんなにギクシャクしてたら本体の「夏の魔物」も大変じゃないですか。
「魔物」に関してはうまくいってて。
──今年は去年みたいなミスはなさそうってことですか?
ミスはないっていうか、やりたいことに近いことができてるかなっていう。去年は内容はよかったと思うんですよ。リングの問題とかはあったけど、時間も押さなかったんで。時間が押さなかったとか、そういういい話は全然広まらないものなんですよね……。
──全然広まらないですね。
去年ってフェスとしてはすごくよかったと思うんです。
──個人的には2年前の内田裕也さんみたいな、ああいうドキドキも欲しいんですけどね。
ああいう事件性みたいなのも、もう疲れちゃって……。
──裕也さんが時間になってもなかなか出てこないっていうのは大事件でしたよ。ほかのステージの音がうるさすぎて出たくないって言って。
特別怒ってたわけでもないんですよね、裕也さんは。むしろハッピーで帰っていったけど、弁解する機会もないというか。
──去年みたいに「ビッグダディが来るんだ!」みたいな驚きは今回は控え目な感じがしますね。出るべき人たちが出てるっていう。
そうですね。案外冒険しなかったというか、ちゃんと見せられるものをやろうと。BRAHMANとでんぱ組がダブルヘッドライナーっていうのも、ももクロを呼びたいって言ってた時期にやりたかった光景と似たものができるんじゃないかなっていう。要は熱気と熱気のぶつかり合いですね。この2組の激突は、ここでしか観られないものだと思います。
──BRAHMANは「今回の『夏の魔物』の評判よかったら、来年は俺たちが出てやる」って去年言ってたんですよね。
そうですね。去年は時間の押しもなかったんで。それでTOSHI-LOWさんが男気見せてくれたっていう。あと初回からずっと呼びたかったTHA BLUE HERBがやっと出てくれて。今回いいラインナップだと思うんですけど、豪さんどうですか?
──いいラインナップだとは思いますけど、ただ外に伝わっていくには異物感が足りないかなって。
ああ。でも藤岡弘、さんとか水木一郎兄貴が出るっていうのはトピックとして面白いかなとは思ってて。ちゃんとしたものが見せたい、いいライブをやる人をブッキングするっていうのが「夏の魔物」のもともとのコンセプトなんで。去年はサービス部分が多かったんですよ。だけど今年はまずそこを考えて、原点回帰じゃないけど、もともと表現したかったものに近いことをやろうと思ってます。
「夏の魔物」は全国からぼっちが集まるのがいいところ
──蝶野正洋さんは何やるんですか?
まだちゃんと決まってないですね。
──うわ、見切り発車!
とりあえずブラックDPGのPVに出てもらって。
ブラックDPG『ダダダダダン』MV 【夏の魔物ユニット】
──「『夏の魔物』にも来てくださいよー!」みたいな。
当日はブラックDPGのジャケットを描いてくれた岸田メル先生と何かしらの絡みを作ろうと今動いています。
──藤岡弘、さんは何やるんですか?
現段階で内容がまとまってないです。
──やっぱり! 常にこれですね。
理想はでんぱ組の前に出てきて居合い斬りしてもらって、「次はでんぱ組」っていう、そのワールドワイド感を出したかったんですけど。
──カップヌードルのCMにもつながりますよね。「日本には今でもサムライがいます」って(笑)。
あと今回、大森(靖子)さんとかhy4_4yhをちゃんといい時間に出したいっていうのをずっと考えていて。
──いつも開始早々だったりしてたのが。
はい、夜に出したいなっていうのはあって。今回は本当に良いアーティストが集ってくれたと思います。あと「夏の魔物」のいいところって、全国からひとりぼっちの人たちがめっちゃ来ることなんですよ。
──比較的くすぶった人たちが。
去年、人間椅子が一番人が集まったバンドだったっていうのが象徴的ですよね。熱を持った人が集まっている感触が毎年あります。
──この前のDPG興行を観て思ったのが、プロレスよりも後藤まりこのほうがプロレスを感じるっていうことで。
ああ、そうなりますね。
──ああいう場だと誰も勝てないなって。後藤さんは、観客を巻き込んでいく能力が違うから。
後藤さんとか大森さんとかうしじまさんとか、実はブッキングに統一性があるんですよね。そこに関して誰も気付いてくれない。なんとなくライブとかを観に行ってキャッチする、よくわからない熱っていうか。それはhy4_4yh観てても思うし。自分は一緒に捉えてます。バンドも今年はそういうバンドが多いかなっていう。本当の意味でパンクなフェスになっていると思います。
──あ、DPGのニューシングルの話もしないと。
ああ、全然忘れてました(笑)。曲はいいはずなんですけど、なかなかそれが伝わっていなくて。
──今回ブラックDPGの曲が小池雅也さんで。
はい。ULTRA-PRISM、UNDER17の小池(雅也)アニキです。本隊はチームしゃちほこの楽曲を書いてる浅野尚志さんが書いてくれて。楽曲はいいものが作れていると毎回思ってるんですけど、見た目とやってることとかでまったくそこの部分にフォーカスされないというか、知られてないんですよね……スミスさんのPVも最高なのでとにかく一度チェックしてみてほしいですね。
DPG 「キカイノココロ」 MV【夏の魔物ユニット】
2014年7月21日(月・祝)青森県 夜越山スキー場
OPEN 7:00 / START 8:00
<出演者>
BRAHMAN / でんぱ組.inc / the telephones / 髭 / ドレスコーズ / THA BLUE HERB / 神聖かまってちゃん / 水木一郎 / 蝶野正洋 / 大槻ケンヂ&NARASAKI / 人間椅子 / KING BROTHERS / THE NEATBEATS / 曽我部恵一 / 向井秀徳アコースティック&エレクトリック / 後藤まりこ / 大森靖子 / 田我流 feat. stillichimiya / サイプレス上野 / HINTO / Wienners / アルカラ / アップアップガールズ(仮)/ バンドじゃないもん! / LinQ / Negicco / Especia / lyrical school / BELLRING少女ハート / hy4_4yh / Ladybeard / 寺嶋由芙 / ゆるめるモ! / ULTRA-PRISM / 妄想キャリブレーション / 藤岡弘、 / DJダイノジ / 吉田豪×杉作J太郎 / 掟ポルシェ / クリトリック・リス / ベッド・イン / 久保ミツロウ+能町みね子 / うしじまいい肉撮影会 / 岸田メル / KAMINOGE ROCK FESTIVAL '14(マッスル坂井、井上崇宏) / MC. アントーニオ本多 / DDTプロレスリング / DPG VS ブラックDPG / DJテンテンコ(ex. BiS) / 小林ゆう / and more
2014年7月20日(日)青森県 青森サンシャイン
<出演者>
川本真琴 / 大森靖子 / 撃鉄 / 快速東京 / DJテンテンコ(ex. BiS) / DPG VS ブラックDPG / and more
- DPG VS ブラックDPG ニューシングル「スーパーエンタメ大戦 夏の魔物エンタメユニット DPG VS ブラックDPG」2014年6月25日発売 / 1080円 / 虎の穴レコード
- DPG盤 [CD] DQC-1304 / ジャケット写真:タイコウクニヨシ
- ブラックDPG盤 [CD] DQC-1305 / ジャケットデザイン:岸田メル
- VS盤 [CD] DQC-1306 / ジャケットデザイン:河野さち子
- 収録曲
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- キカイノココロ
作詞:只野菜摘 作曲:浅野尚志 G:ROLLY - ダダダダダン
作詞:只野菜摘 作曲:小池雅也 - キカイノココロ(FUNKOT魔改造 BY DJ JET BARON)
Remix:高野政所
- キカイノココロ
成田大致(ナリタダイチ)
1986年青森県生まれ。2006年、19歳のときに「AOMORI ROCK FESTIVAL~夏の魔物~」を主催し、個人による手作りフェスとして話題を集める。以降「夏の魔物」は規模を拡大しつつ継続中。2013年春からはオーディションでメンバーを集めた新プロジェクト「DPG」を発足し「世の中とプロレスするバンド」をキャッチフレーズに、新たな活動をスタートさせた。