音楽ナタリー Power Push - MAGiC BOYZ

俺ら成長期! ヒトカワ剥けたマジボの追撃

今までの人生の中で一番やりがいを感じた時間

──シングルはBi盤、CHA盤、DO盤の3形態。それぞれにMC3人が作詞して、SKY-HI、DJみそしるとMCごはん、DOTAMAといったアーティストとコラボしたソロ曲が1曲ずつ収録されています。Bi盤収録のリュウトさんのナンバー「1,2,3」から話を聞かせてもらえますか?

リュウト(MC)

リュウト はい。僕はSKY-HIさんとコラボさせていただいて。サビはSKY-HIさんに書いてもらい、自分はバースのリリックを書きました。で、僕はラップのフロウなどまだまだバリエーションが少ないので、レコーディングではSKY-HIさんにアクセントの付け方とかを教えていただいたんです。

──そうなんですね。

リュウト はい。SKY-HIさんはツアーや制作ですごく忙しいのに、丁寧に教えてくれました。あとSKY-HIさんは音楽を聴く量がハンパじゃないんです。話していても、知識がすごくて何を言っているのかわからないときがあった(笑)。やっぱりいいアーティストさんはたくさん音楽を聴いて勉強しているんだなって思って。学ぶことが本当に多かったです。今までの人生の中で一番やりがいを感じた時間でした。

──「1,2,3」は「オリジナルでいよう」というメッセージを投げかける曲ですが、なぜこのようなテーマにしようと思ったのですか?

リュウト 前から「みんな流行りもののマネばっかりでつまんないなあ」と思ってて。誰かの真似をして一生を過ごしたら、つまらなくないですか? それだったら自分は自分のやり方で行きたいって思うから、その思いをリリックに込めました。

──私はリュウトさんの言動からヒップホップへの熱い思いを感じていて、そういったところもリュウトさんの個性に大きく関わっているのかなと思うのですが、これほどにヒップホップへ情熱を注ぐようになったのには、何かきっかけがあったんですか?

リュウト ヒップホップって本当にカッコいいなと思ったのは、去年LIQUIDROOMであったKGDR(ex. キングギドラ)さんのライブ(2015年5月23日開催「P-VINE 40th ANNIVERSARY」)を観に行ったのがきっかけです。そのとき、Zeebraさんに「がんばれよ、少年」と言われたのがすごく印象に残って。そこから「Zeebraさんみたいになりたい!」といろんな曲を聴くようになって、ヒップホップにもいろんなスタイルがあることがわかって。今はそれを知ったうえで、自分にしかできないことをしたいって思ってます。あのライブがなかったら、今ここまでヒップホップに興味を持って活動していないと思います。

──ヒップホップのどういったところに魅力を感じますか?

リュウト 言いたいことを言えるっていうのがいいですよね。ヒップホップは韻に縛られるところがあるから、もしかしたら一番言いたいことを言えるのはロックンローラーかもしれないけど、でも僕はラップをやってて飽きないんです。常に韻を考えて、課題が終わらない状態にあるのが楽しいです。あとはマイク1つあれば、いつでもどこでもラップできるってところ。人を飽きさせない、カッコいいジャンルだなって思います。

「茶」っていう言葉だけで会話

──トーマさんがDJみそしるとMCごはんさんとコラボした「お茶の国から」は、リュウトさんの曲とは趣ががらりと変わる、ほっこりソングですね。

トーマ(MC)

トーマ はい。僕と同じ静岡出身のおみそはんさんと食べ物つながりでコラボできたら楽しいんじゃないかということで、静岡名物のお茶をテーマにしました。コラボが実現して感激でした。

──レコーディングはいかがでしたか?

トーマ トラックを作ってくれたDorianさんも静岡出身だったので、3人で静岡の話をして盛り上がりました。おみそはんさんが書いてくれたパートには「~だら」っていう静岡の方言が入っていたりして、すごくうれしかったです。

──曲の中で注目してほしいところはありますか?

トーマ 最後の「茶茶茶茶茶茶茶茶茶……」っていうパートですね。レコーディングが大変だったので……。

ジョー “お茶語”のところだ!

ミロ あれってホントにしゃべってるの?

トーマ 本当にしゃべってるよ。「茶」っていう言葉だけでおみそはんさんと会話をしているんですけど、だんだん話のネタがなくなってしまって大変でした(笑)。

──リュウトさん、マヒロさん、「お茶の国から」を聴いた感想は?

リュウト おみそはんさん、ラップがめちゃくちゃうまいと思いました。フロウもすごくうまくて。

マヒロ トーマとおみそはんさんの雰囲気がすごく合ってると思う。

トーマ 僕の曲とマヒロの曲は正反対って感じだよね。

リュウト マヒロの曲は社会派で、トーマの曲は庶民派って感じだね。

コラボできることになって「マジか!」って

──マヒロさんの「イラッとするコト」は、DOTAMAさんとのコラボナンバーですね。

マヒロ(MC)

マヒロ はい。僕、DOTAMAさんの曲がすごい好きなんです。映画「イカれてイル?」や「リアル中2 卒業パーティー」にゲストで出ていただいたりしたんですけど、今回コラボできることになって「マジか!」って。

──憧れのDOTAMAさんとの楽曲制作はいかがでしたか?

マヒロ 本当にすごかったです。「構成を考えてくるからちょっと待ってて」と言われたので「僕が1番で、DOTAMAさんが2番を歌うのかな」なんて考えていたら「何分何秒までがDOTAMAパート、何分何秒までがマヒロパート」って感じで分けられていて。「そんなに細かく構成を考えてくれるんだ!」って……お忙しいのに真剣に考えてくださって、本当にうれしかったです。

──レコーディングで思い出に残ったことはありますか?

マヒロ 実際の曲では僕のパートから入るのに、DOTAMAさんが「自分から行きます」って言ってくれたんです。レコーディングってほかの人が歌ったあとだと、その人のテンションに合わせて歌えるからすごく入りやすいんですよ。それを考えて、DOTAMAさんが先に歌ってくれて。しかもめちゃくちゃうまかったです。ただ、ペースが早いからプレッシャーもすごかったです(笑)。

「アイドルラップ」と言われるのなら、そこを極めたい

──MAGiC BOYZは自分たちのイベントに限らず、いろんなラップグループが出演する外部のライブにも積極的に参加していますよね。

マヒロ そうですね。いろんな出演者の方がいる中で、どれだけマジボが爪痕を残せるか。僕らはそういう活動にも力を入れてます。

──やっぱり、勉強になることは多いですか?

リュウトトーママヒロ めっちゃ多いです。

トーマ ラップがうまい人もいるし、盛り上げ方がうまい人もいるし……。

リュウト 曲の作り方とかもね。どうやったら自分の色が出るかわかっている人たちのライブを観ると「じゃあマジボはどうやって個性を出せばいい?」って考えさせられる。いろんなライブに参加できるのはありがたいです……トーマはラップ好き?

トーマ 急に何?(笑) 好きだよ。

マヒロ 俺は超好きだよ。

リュウト 僕らラップが大好きなんで、尊敬しているラッパーさんたちのステージを間近で見られることは、本当にありがたいと思うんです。

マヒロ 超テンション上がるよね。いつもテレビで観ているような、尊敬するラッパーさんと同じステージに立てるのは、本当にすごいことだよね。

──そういった方たちから学びつつ、マジボはこれから先、どんな道を進んで行くんでしょう?

リュウト 僕らの尊敬する人たちは“ガチストリート”だけどさ、僕らは事務所に守られてるじゃん。

マヒロ うん。

リュウト そういうポジションにいる僕らみたいな人がやるラップは世間的に「アイドルラップ」って言われるんですけど、そう言われるのならそこを極めたいって思います。僕らなりの新しい形を探しながら。

マヒロ すごいラッパーさんがライブをすると、ラップ好きの男の人がワーッと盛り上がるんですよね。マジボのファンは女の子が多いけど、僕らはもともとラップ好きな人たちにも「MAGiC BOYZいいじゃん」と思ってもらえるようになりたいんです。「アイドルラップ」って言われたり思われたりすることは気にしないです。男の人も女の人も関係なしに「MAGiC BOYZがライブするから観に行きたい」って思わせたいです。

MAGiC BOYZ

──そのために、これからも技術を磨いていくということですね。

全員 はい!

リュウト ミロも勉強してね。

ミロ してるよ! Run-D.M.C.、De La Soul、スチャダラパー!

ニューシングル「Do The D-D-T!!」 / 2016年8月24日発売 / SDR
Bi盤 [CD] / 1000円 / ZXRC-1080
CHA盤 [CD] / 1000円 / ZXRC-1081
DO盤 [CD] / 1000円 / ZXRC-1082
Bi盤収録曲
  1. Do The D-D-T!!
  2. 1,2,3 / MCリュウト×SKY-HI
CHA盤収録曲
  1. Do The D-D-T!!
  2. お茶の国から / MCトーマ×DJみそしるとMCごはん
DO盤収録曲
  1. Do The D-D-T!!
  2. イラっとするコト / MCマヒロ×DOTAMA
MAGiC BOYZ(マジックボーイズ)
MAGiC BOYZ

中学生MCのリュウト、トーマ、マヒロ、小学生DJのジョーとミロからなる5人組ヒップホップユニット。2014年9月にBS番組「EBiDANアミーゴ」にてグループ結成が発表され、11月に東京・日本青年館で行われたEBiDAN 39 & KiDSの単独公演で初パフォーマンスを行う。3月に「MAGiC SPELL~かけちゃうぞ!ぴっぴっぴっ~」でCDデビューした。2016年2月にはクラウドファンディングで製作資金を募った初主演映画「イカれてイル?」(竹内道宏監督)が公開になり、同作の主題歌を表題曲とした2ndシングル「ありのままでマジボ」を発表する。3月にMCフウトとユウトがグループを卒業。5月にはジョーとミロの加入が発表され、現体制での活動がスタートする。8月に3rdシングル「Do The D-D-T!!」をリリース。