ナタリー PowerPush - 横山健 × 博多大吉

映画「横山健 -疾風勁草編-」公開目前 ネットで交流深めた2人の初対談が実現

横山健(Hi-STANDARD、Ken Band、BBQ CHICKENS)のドキュメンタリー映画「横山健 -疾風勁草(しっぷうけいそう)編-」が、11月16日より全国60館の劇場にて1週間限定で上映される。

本作は、横山の音楽人生を振り返る映画として2009年にクランクインしたが、2011年3月11日の東日本大震災を受けて横山と撮影クルーを取り巻く状況が一変。Hi-STANDARDと「AIR JAM」を再始動し、復興支援のために尽力する横山の行動原理や思いをも描く作品に仕上がった。

ナタリーでは、公開を前に、かねてからTwitter上で交流を深めていたお笑い芸人・博多大吉(博多華丸・大吉)と横山との初対談の場を用意。ジャンルは違えど共鳴し合う2人に、表現者として今思うことを語り合ってもらった。

取材・文 / 遠藤敏文 撮影 / 福本和洋

 
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芸能界ってどこにあるんだろう(大吉)

左から横山健、博多大吉。

──まずは、お互い初対面ということで、自己紹介がてら、最近一番気になっている話題からお話していただければと。

博多大吉 では後輩の私から……。最近本当に思うのが、芸能界ってどこにあるんだろうって。僕はずっと福岡にいたので、すごい楽しいことが待ってると思ってたんですよ。で、いざテレビに出させてもらえるようになって周りを見渡したら、どこにもないんです。僕が聞いていた芸能界が。パーティだったり、なんか予期せぬお誘いだったり。健さんはそういう華やかな芸能界は経験されていますか?

横山健 いや、僕はあまり芸能界のことは知らないんですけど、とりあえず全然ないです。やっぱり同じことを考えてますね。結構寂しいものですよね。

大吉 ですよね。飛行機によく乗るんですよ。でも、キャビンアテンダントさんから1回も連絡先とかもらったことないんです。

横山 あははは(笑)。

大吉 僕、たぶん年間平均で200回飛行機に乗ってて、この暮らしをもう5年やってるんです。1000人と出会ってるはずなのに、1人もいない。

横山 はははは(笑)。キャビンアテンダントさんって、ある程度の目安ですよね。

大吉 そうですよね。彼女たちから連絡先をもらうことが芸能人だっていう自覚があったもんだから。健さんはもらったことありますか?

横山 ないです、ないです。なんか生で「すべらない話」聞いてるみたい(笑)。

大吉 僕の最近の興味はここらへんですね。健さんは?

左から横山健、博多大吉。

横山 いきなりヘビーになっちゃいますけど、やっぱり原発ですかね。

大吉 受け止められるかな(笑)。でも確かに。

横山 3.11以降いろんなことがやっぱり急激に変わっているし、40代の男としても、2人の男の子の親としても、なんかいろいろ感じますね。いったい本当にどこに行くんだろうって。で、考えついたのが、もう僕たちが生きてる間はどうにもなりゃしないと。正直言って。でも子供の世代とか孫の世代のために何かできることはないかなとか。そんなまじめなことを考えてますね。

大吉 僕のさっきの発言取り消したいな。

横山 はははははは(笑)。僕が先に話せばよかった。

大吉 僕もまあ気にはしてるんですよ、原発。

横山 もちろんそうですよね(笑)。まあ僕も実はキャビンアテンダントとかそっち方面の件はすごく気にしています。

大吉 よかったよかった。すみません、本当。

横山 いや僕ね、大吉さんを褒めたいんですよ。なんかね、すごい男の人だと思うんです。

大吉 いや、ほんとにもう大したものじゃないですから。

横山 めちゃめちゃ骨あると思いますよ。1つちょっとエピソードがあって。僕、福岡に行ったときに大吉さんに報告したんですね。「今日福岡でライブです」って。そしたら「困ったことがあったらなんでも言ってくれ」って。そう言ってくれる人って、街を背負ってる人なんですよ、やっぱり。

大吉 いや、それはもう打ち上げのお店だったり……。そういう点で言わせてもらったんです。

横山 いやいや、違うと思う(笑)。街を背負ってる人間は……どこの街に行ってもそうですけど、例えば「どこどこ行きました」って言ったら「あー、広島でなんかあったらワシに一言なんか言え」みたいな温度ってあるんですよ。それを感じたんですね。それで僕ちょっとピンと来ちゃって。これ載せないほうがいい?

大吉 いやいやいやいや……載せてください(笑)。

横山 あははは(笑)。

お前ら指くわえて見てるだけじゃダメだぞ(横山)

──お2人はTwitterがなかったら、こうして出会うこともなかったかもしれません。3年前に健さんが、チケットが売れ残っている地方の会場のことをTwitterでアナウンスされていて、大吉さんはリツイートで反応されていました。なかなかアーティストが自ら「ここのチケット残ってます」って言わないですよね?

左から横山健、博多大吉。

横山 バンドマンとかロックをやってる人間はカッコつけたがるので、やっぱりそういうこと言わないんですよ。なのに、裏で愚痴るんですね。で、人気のあるバンドを妬むんです。それをしたくなかったのでツイートしたんですけど。僕も年を取ってきてだいぶ勢いがなくなってきてるのは自覚してるんで、もしかしたら後輩のためにも、あがいてる姿を見せるのもいいかなと思って。「お前ら指くわえて見てるだけじゃダメだぞ」と。「客が入んない、入んない」って。そりゃそうだよ。みんなお金払って時間使って来てくれるんだから。そんな気持ちだったんです。

大吉 当時、健さんは、「チケットが売れるところと売れないところがある。そして、売れなかったところには、次はもう行けないんだ」と。「これが理由でしばらく行けなくなるっていうのが悲しいし悔しい」っておっしゃっていたのが、すごく心に染みたんです。健さんのチケットとか、そりゃもう東京だ大阪だ名古屋だって大都市では即完するけど、田舎に行ったらちょっと苦戦するっていう。僕の地元の福岡もそうなんですけど、なかなか足を運ばないんですよね。本当にそうなんです。足を運ばないっていうことで、もう当分その地域に行けなくなるっていうのをわかっていただきたかったので。この僕と健さんのやりとりが少しでも背中を押す力になればいいなみたいな気持ちはありましたね。

──お2人の最近のTwitterとの接し方を教えていただけますか?

横山 最近あんまりやらなくなりましたね。

大吉 僕もあんまりやらなくなったんですよね。3年前のTwitterは、非常にいい出会いの場というか、交流の場だったんですけど。ここ3年でね、ちょっと様子が変わったというか。

左から横山健、博多大吉。

横山 相当変わりましたね。だんだんポップな2ちゃんねるみたいな感じになってきましたね。

大吉 昔は、ある程度身元もわかるみたいなのがあって楽しかったんですけど。今は1人の人がいろんなアカウントでいろんなことを言ってくるから(笑)。

横山 本当に傷付くこととか言われるんですけど、探ってみると悪口専用アカウントだったりするんです。

大吉 悪口言いながら、別のアカウントでものすごい褒めてきたりとかね。突き詰めていくと、ちょっと人間が怖くなるんです。だから最近はあんまり僕もやらなくなりました。見はしますけど。

横山 いい情報収集のツールであることはやっぱり変わらないです。ただ、そこにどこまで時間を割くかって言ったら……。今はちょっと距離を置いている感じですね。

Live’Spot 横山健ドキュメンタリー映画「横山健 -疾風勁草編-」

横山健ドキュメンタリー映画「横山健 -疾風勁草編-」

横山が自身の言葉で“横山健”を語り尽くす本作。生い立ちから始まり、ハイスタの栄光と挫折、さらには東日本大震災の復興支援のために尽力する横山の行動原理や思いが描かれる。

全国60劇場で1週間限定上映
2013年11月16日(土)~11月22日(金)
前売り 1800円 / 当日 2000円
前売り券は各劇場窓口・プレイガイドにて販売中。

左から横山健、博多大吉。
左:横山健(よこやまけん)

1969年10月1日生まれ。Hi-STANDARD、BBQ CHICKENSのギタリスト。2004年からソロアーティストとしての活動を開始し、Ken Yokoyama名義によるアルバム「The Cost Of My Freedom」をリリースした。Ken Bandとしてライブ活動を展開して以降も、2005年の2ndアルバム「Nothin' But Sausage」をはじめ定期的に作品を発表。2008年1月には初の日本武道館公演を実施したほか、2010年10月には「DEAD AT BAY AREA」と題したアリーナライブを神戸と幕張で敢行した。2011年にはHi-STANDARDのライブ活動再開や「AIR JAM 2011」開催など、ソロ以外の活動も続々展開。2012年11月に5thアルバム「Best Wishes」をリリースした。

右:博多大吉(はかただいきち)

1971年3月10日生まれ。1990年に博多華丸とコンビ博多華丸・大吉を結成し、福岡吉本第1期生としてデビュー。2010年に「年齢学序説」を上梓。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。