ナタリー PowerPush - キリンジ

約2年半ぶりのオリジナルアルバム完成 “脱シティポップス”の境地を語る

堀込泰行のプライベートベスト3

──ではここで、最近の「プライベートベスト3」というものをそれぞれ挙げてもらいたいと思います。例えばレコーディング中によく食べていたものや、パッと思いつくもので構わないのでお願いします。

泰行 僕はレコーディング中にビッグマックのセットを結構食べましたね。普段食べないんですけど、スタジオの近辺にあるというのと、レコーディングってストレスもありますから、「食」で発散するとこもあって、ヤングメニューを食べるんですね。レコーディング期間中に食ってたらワールドカップの景品でグラスが付いてきて、どんどん溜まっちゃって(笑)。それが3位ですかね。

──2位は?

泰行 五木っていうメーカーが出しているインスタントのつけ麺があるんですけど、それが美味しいんですよ。通販で売ってるんですけど。8分くらい茹でなきゃいけない麺で、スープは魚介系です。家であれ食べられると、店でわざわざ高いの食べるのがちょっとバカらしくなるぐらいグレードが高いっていう。

──具材はどうするんですか?

泰行 ネギと、気合入れるときはメンマとかもちゃんと買ってきますけど。あとラーメン屋でチャーシューだけ売ってる店あるじゃないですか。そういうところで買ってきたチャーシューとかと混ぜて、ゆで卵を切って。そうするともう全然支障ないですね。ちょっと量が少なめっていうこと以外は。

──読んだ人みんなが注文しそうですね。これが2位となると、1位がかなり気になります。

泰行 1位はカレーを食べてますね。まあ、暑気払いっていうだけなんですけど。カレー食べたあと、スーパー銭湯に行って汗かいて、岩盤浴やったりして。取材期間なんで、ちょっとお腹を引っ込めなきゃなみたいな。ちょっと小っちゃいおっぱいが出てきたんで、それをしぼませるための一環としてカレーを、っていう感じで(笑)。

堀込高樹のプライベートベスト3

──では、高樹さんのベスト3をお願いします。

インタビュー写真

高樹 ほんっと何も思い浮かばなくて……何もハマってないんですよね。

泰行 えっ、恐竜展とか行っちゃうんじゃないの? ボリショイサーカスとか。子供のためにいろんなやつ行ってんじゃない?

高樹 そのくらいですよ。本当に子供中心になっちゃって、CD屋もなかなか足を運ばなくなっていたりして。

──そういう子煩悩的な「いいパパ」っていうイメージは外に見えないほうがいいんですか?

泰行 ワルな感じ?(笑)

高樹 いやいや、全然いいんですけど。じゃあ、がんばってひねり出そうかな。まず3位は東武動物公園ですね。

泰行 あははは!(笑) 「子供と行きたいベスト3」だ。

高樹 まあ、動物園ですよ。プールと遊園地があるから1日たっぷりあそこで遊べますね。ほんとは、「レジーナ」っていう木造のジェットコースターに乗りたいんですよ。でも、まだ子供が小さいから乗れなくて。とにかく絶叫マシーンはまだ乗れないので、ぬるーいアトラクションに付き合わされるんですけど(笑)。でも東武動物公園は結構穴場ですね。

──ボリショイサーカスも気になります(笑)。

高樹 ボリショイサーカス、この間行ってきたんですけど、やっぱちょっといなたいですね。そのいなたさもいいんですけど。みんなロシア人で、それこそ空中ブランコとか大変な技があるんですけど、そういうのって結構大人って見慣れてたりするから。「大変なんだろうな。でもこれ子供のとき観たな」って。だから、猫が高いところから飛び降りるとか、そういうちょっとしたもののほうが沸くんですよね、会場が(笑)。猛獣はね、ライオンとかトラとか出てくるんですよ。でも彼らはそんなすごい芸はしないじゃないですか。「わぁー、ライオンだ!」「トラだ!」って。まあ、言ってみれば出オチみたいな。

──あはははは(笑)。

高樹 出たあとはダラダラ平均台渡ったりとか、台に手をかけてみたりとか、そういうちょっと「あれれ?」みたいな感じの芸が続いて。で、一番最後にロシアっぽい民族衣装を着た人とか熊がいっぱい出てきて、綱渡りするんですよね。熊が綱渡りするのはすごかったですね。熊が普通に2足歩行してたんですよ。「当然ですから」みたいな感じで(笑)。ヨチヨチじゃないの、結構しっかりした足取りで、まったく危なげがなくて、「ああ、熊って歩けんだ」って。なんなら人間は猿から進化したんじゃなくて熊が進化した可能性もあるぞっていうぐらい、サッササッサ歩いてて。なんかそれが一番だったな。やっぱりボリショイサーカスは歴史があるから安心して見てられましたね。

──では、気になる1位を。

高樹 上野の国立科学博物館ですね。何回か行ってるんですけど、標本とか剥製とかが立派で展示の仕方も凝っていて。あそこはすごいですねぇ。常設展だけでも見応えがありますよ。剥製も、ちゃんと血管とかが浮き出ていたりして。一応普通の動物から虫もいるから、子供に限らず、誰が行っても楽しめるんじゃないですか。そんなところですかね。

──では最後に、10月から始まるツアーへの意気込みをお願いします!

泰行 今までツアーで行ったことない場所だったり、あんまり行けてなかった地域があるんで、それが楽しみですね。比較的そんなに広くない会場を中心に回るんで、それも含めて楽しみです。どういう人が来てくれるのかなとか。

高樹 アルバムの中で重要な役を果たしてくれたミュージシャンが参加してくれるから、アルバムの再現じゃないけれども空気感みたいなものをちゃんと伝えられるライブになるんじゃないかなと思って、今から楽しみです。泰行もギター弾くから、ギターが3人になったりするんですよね。そういう弦楽器の音楽ならではの面白さみたいなものがアルバムの曲以外でも出せたらいいですね。

インタビュー写真

ニューアルバム「BUOYANCY」 / 2010年9月1日発売 / 3150円(税込) / コロムビアミュージック エンタテインメント / COCP-35901

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CD収録曲
  1. 夏の光
  2. 温泉街のエトランジェ
  3. ホライゾン! ホライゾン!
  4. Rain
  5. セレーネのセレナーデ
  6. 台風一過
  7. 空飛ぶ深海魚
  8. 都市鉱山
  9. Round and Round
  10. 秘密
  11. アンモナイトの歌
  12. 小さなおとなたち

キリンジ

キリンジ

1996年10月に結成された、高樹と泰行の堀込兄弟による2人組ポップスグループ。1998年にシングル「双子座グラフィティ」でメジャーデビュー。シニカルで内省的な歌詞と、クオリティの高いシティポップサウンドが音楽ファンの間で話題となる。他アーティストへの楽曲提供やリミックスアルバムの発売など意欲的な活動を行ない、2005年からはそれぞれソロ活動も開始。2006年には初のセルフプロデュースによるアルバム「DODECAGON」をリリース。エレクトロポップの要素を加えた新しいサウンドでファンを驚かせた。2010年9月には、8枚目のオリジナルアルバムとなる「BUOYANCY(ボイエンシー)」を発表。躍動感あふれるトライバルなリズムのシングル曲「夏の光」やニューウェイブなダンスナンバーなどで表現の幅をさらに広げた。