ナタリー PowerPush - キノコホテル

集団中毒!ようこそキノコホテルへ。メジャー震撼のデビューアルバム完成

嫌なことはノーと言わせていただく

──GS、ガレージサウンドにもともと興味がある人ならばすんなりと飲み込めると思うんですが、初めてキノコホテルの音楽に触れる人の中には、ある種“色モノ”的な視点で見る人もいるんじゃないかと思うんですね。

東雲 まあ、そういうのは慣れているけど……(笑)。

──キノコホテルとして、例えばこれからテレビに出たりするような機会もあると思うんですけど、そういう仕事に対する抵抗はないですか?

東雲 あんまり出たいとは思わない。

──それはなぜ?

東雲 ……いや、単純に歌っているのを撮られるのが嫌いだし(笑)。とにかくテレビに出りゃいいってものではないですよ。

──出演することで、なにがしかの新しいつながりが見つかったりすればいいんですけどね。

東雲 まあ、なにかしらプラスになれば……。でもとかく誤解されがちなグループなので。

鴨川 間違って伝わるのは一番怖いよね。

猪苗代 ね。思ってもないことをしゃべらされちゃったりとか。

東雲 タレントではなくミュージシャンとして扱ってくれるところであればいいんですが。そんな物わかりのいい人たちばかりではないですからね、世の中。

──ビジュアルも含めて楽しめるテレビメディアへの出演というのは、うまくいけばキノコホテルのバンドとしての魅力が一番伝わりやすいんじゃないかと思うんですね。それに、スペースシャワーTVやMUSIC ON! TVのような音楽専門チャンネルでライブシーンが流されたりするのは、バンドにとってすごく効果的なんじゃないでしょうか。

東雲 そうねぇ、うまく共生できたら楽しいかもねぇ……。嫌なことはノーと言わせていただきますけどね(笑)。懐疑的なんです、基本的に。

あの時代をそのまま再現したいわけではない

──ここまで話を聞いていて、この先の展開がすごく楽しみというか、サミーさんが「インディーズではなく、あえてメジャー」と判断された気持ちがよくわかります。キノコホテルとしては、メジャーで何かやりたいという思いはあったんですか?

東雲 いえ、特に。

──メジャーならではの、今までとはまったく違うことに挑戦したいという思いはありませんか?

東雲 映画だったり、違うカルチャーとは交わってみたいですね。映画音楽を手がけたり、もしくは自分が出たり。

一同 えっ!?

東雲 テレビに映りたくないとか言いながら(笑)。気持ちの悪い脇役なんかがやりたいわ。

電気ベース担当、エマニュエル小湊。彼女はもともとキノコホテルのスタッフとして活動していたが、先代ベーシスト脱退の際にメンバーとして抜擢された。

──アルバム収録曲「もえつきたいの」のビデオクリップはまさに映画的な世界観で作られていますよね。いつの時代に作られたものかよくわからないような(笑)、完成度の高い映像で。

東雲 そう。でも、昭和の音とは全然違うし、楽器もビンテージを選んだりはしていない。かといっていまどきのJ-POPの音でもないし、聴いた人が本当にいつの時代のどういう音楽なのか全然わかんない……それがキノコホテルの面白さかと思います。GSやガレージ一直線の人たちとは違った、独特なものになっていると思う。あの時代のものをそのまま再現したいわけではないから。

──GSリバイバルとは違うムードを感じるから、そこにすごく期待してます。CDでもライブでも、メジャーシーンを引っかき回してくれたらと。

小湊 実演会はたくさんやりたいですね。いろんなところで、地方にもたくさん行きたいです。メジャーだと今まで以上にいろんな人に観てもらえると思うから。

──ロックフェスへの出演もあるかもしれませんね。……お昼の野外でキノコホテルってどうなんでしょう。

猪苗代 ……似合わないねー。

鴨川 お昼はね、ちょっと……。

──朝からやってるフェスもありますからね。爽やかな緑に囲まれて。

東雲 いやぁよ、そんなの。日が落ちなきゃ起きないわよ(笑)。

キノコホテルの“胞子”をばらまいて

──ではあらためて、デビューにあたっての意気込みをお1人ずついただけますか?

猪苗代 これからってときに体調壊してゼロに戻っちゃう、というのはダメだと思うので、基本的なところをしっかり。

東雲 なんで体調の話なのよ(笑)。

猪苗代 違う違う、本当に健康第一なんですって! ちゃんといいもの食べてよく寝て、いい音楽を聴いて、みんなにいいものを届けていきたいという。

東雲 それを読者に伝えてどうするの!

一同 ハハハハハ(笑)。

猪苗代 おいしいものを食べたとかいいものを見たとかいいものを聴いたっていうことは、全部音楽に繋がっていきますから。そういう五感を刺激する日々を送り、それをお客さんに伝えるツールとしてドラムをちゃんとやっていきたいなと思います。

鴨川 わたしは、サムピックを自由自在に操れるようにがんばります。

小湊 わたしは、女の子たちだけならではの、誰にもできなかった面白いことをたくさん見せていけたらなと思います。

東雲 わたくしは今までガールズバンドだからってナメてバカにしてきた人たちを踏みつけて、土下座させる勢いでキノコホテルの“胞子”をばらまいて、日本列島をひと騒がせ……ひと騒がせで終わってしまうのは寂しいが(笑)、せっかくですし、好き放題やらせていただこうかと。

メジャー1stアルバム『マリアンヌの憂鬱』 / 2010年2月3日発売 / 2500円(税込) / 徳間ジャパンコミュニケーションズ / TKCA-73507

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CD収録曲
  1. 静かな森で
  2. 真っ赤なゼリー
  3. もえつきたいの
  4. 還らざる海
  5. ネオンの泪
  6. あたしのスナイパー
  7. 夕焼けがしっている
  8. キノコホテル唱歌

PV「もえつきたいの」(CD-EXTRA)収録

キノコホテル

アーティスト写真

2007年6月、支配人のマリアンヌ東雲(歌と電子オルガン)を中心に結成。幾度かのメンバーチェンジを経て、2008年12月には現在のメンバーであるイザベル=ケメ鴨川(電気ギター)、エマニュエル小湊(電気ベース)、ファビエンヌ猪苗代(ドラムス)が揃った。都内を拠点に精力的な実演活動を行いながら、自主制作でシングル「真っ赤なゼリー」、会場限定CD「キノコホテル実況録盤」、映像作品「キノコホテルの夜明け~初期実演会」、CD&DVD「サロン・ド・キノコ~実況録音盤」を発表。オリジナル楽曲はすべてキノコホテル支配人・マリアンヌ東雲が手がけており、その独特の世界観は各方面から高い評価を集めている。2010年2月3日に1stアルバム「マリアンヌの憂鬱」で徳間ジャパンコミュニケーションズよりメジャーデビュー。