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ルックスだけでひっぱって芸能生活23周年 待望の最新アルバムは1曲目からサプライズ!?

ライブ写真

今年“芸能生活23周年”を迎えたKANが、通算15枚目のオリジナルアルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」をリリースした。エレクトロサウンドからビッグバンドジャズ、ウエストコースト風ロック、シャンソンまでバラエティに富んだ内容ながら、ポップス職人の腕が光る一本筋の通った仕上がり。ASKA(CHAGE and ASKA)、塩谷哲、吉田佳史(TRICERATOPS)といったゲストアーティストとのコラボレーションも聴きどころのひとつだ。

ナタリーでは今回、バンドライブツアーを目前に控えたKANのリハーサルスタジオを訪れ、インタビューを敢行。アルバム制作秘話はもちろん、“23周年”という数字の謎やツアーに向けての意気込みなど、さまざまな話を訊いた。

取材・文/臼杵成晃

 
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23周年=素数?

──まずは芸能生活23周年、おめでとうございます。しかし20周年ではなく「23周年」というのは……(笑)。これはKANさんが「素数」が好きだからという話を聞いたのですが。

僕は1987年4月にデビューしたので、2007年が芸能生活20周年だったんです。それだけの年数やれるというのは大変ありがたいことで。応援してくださる方がいないと継続し得ないことでありますから、ということは十分ちゃんとわかった上での話なんですけど……「20周年」っていうフレーズはあまりに普通すぎるでしょ(笑)。じゃあ近いところだと、素数で「23」ぐらいが一番適当なとこかな、と。

──今回のアルバムも「23周年」を記念して制作されたのですか?

うん。もう「23周年記念」って言ってる以上、すべてのことは「23周年記念ですから」って言うようにしてるんですけど(笑)、そうじゃなくてもアルバムは出せたかなと思います。

──改めて振り返ってみると、どのような芸能生活でしたか?

それはやっぱりいろんな時期がありますし、自分の中では全部つながってることですからね。だからむしろ、その期間ずっと応援してくれていたファンの方の分析を聞いてみたいですね。「この時期のKANはどうだった」と考えてる人もいるでしょうから、そういう方の話を聞いてみたい。

これはもう1曲目しかない

──それでは、ここからはニューアルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」についてお訊きします。誰が聴いてもまず1曲目で必ず驚くはずの、ものすごく大きな突っ込みどころが用意されていますよね。Perfume、中田ヤスタカ(capsule)さんからの影響を色濃く感じさせるというか(笑)。

いやそれはもう僕、大ファンですから。例えばビリー・ジョエルのあの感じ、THE BEATLESのああいう雰囲気の曲が作りたいとか、具体的な目標とかあこがれの対象があって、そこに向かって作っていくというのを僕はずっと普通にやり続けていて。「REGIKOSTAR ~レジ子スターの刺激~」はその中に含まれる、最近作った曲のうちのひとつですね。

──たまたま彼女たちがKANさんよりも後輩だったというだけで。

Perfumeのここ2枚のアルバム(「GAME」「⊿(トライアングル)」)は何度も聴いてますね。音楽的にすごいファンですよ。

──たしかに最近のクラブミュージックで主流を行くエレクトロサウンドながらも、長年ポップスを作り続けてるKANさんならではの、複雑に練り込まれたメロディやコードの流れが印象的で。歌詞も、言葉の響きを計算した上で作られているように感じました。

曲自体は特に新しいことをやったつもりはなくて。だからこういうサウンドや歌処理にしなかったら、他の曲とそんなに変わらない。「えらくかわいいもん作っちゃいましたね」ぐらいの(笑)。でも、ちょっとしたメロディの運びは「Perfumeだったらこう行くだろ」と思いながら作ってますよ。掴みのフレーズだったり、途中に四分音符だけのメロディがあったり。サビで同じパターンのメロディがずっと繰り返される中、コード進行で操作するとか。中田さんのメロディのバリエーションはすごいですから。

──中田さんをメロディメーカーとして高く評価されているんですね。

この曲も僕ならではということはなく、中田さんのバリエーションの範囲内だと思いますけどね。彼の作る音楽は大きいジャンルで言えばテクノに収められるのかもしれないけど、特にシングル曲は詞と曲がちゃんと良いし、そんな曲ってなかなかないですよね。同時にサウンド先行型の、ヨーロッパのクラブで普通にガンガンかかっててもおかしくないような曲もバランスよくあるし。

──しかし、アルバムの冒頭にこの曲を持ってくるというのが、KANさんらしいですよね。

本気でやってるから。これがもし6曲目、7曲目ぐらいだと企画モノと思われちゃうんでね。そうなったらすごくイヤだなと思って。だからこれはもう1曲目しかないだろっていう。

ニューアルバム「カンチガイもハナハダしい私の人生」 / 2010年3月10日発売 / 3200円(税込) / UP-FRONT WORKS / zetima / EPCE-5700~5701

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CD収録曲
  1. REGIKOSTAR ~レジ子スターの刺激~
  2. 小学3年生
  3. ピーナッツ
  4. バイバイバイ (studio recording)
  5. 青春の風
  6. ordinary days
  7. オー・ルヴォワール・パリ
  8. よければ一緒に (full size)
  9. 予定どおりに偶然に (with ASKA)
DVD収録内容

約50分収録 / オーディオコメンタリー付

  • カンチガイもハナハダしい私のレコーディングドキュメント
  • よければ一緒に studio live
KAN(かん)

1962年、福岡県生まれのシンガーソングライター。1987年にデビューし、1990年にリリースしたシングル「愛は勝つ」が大ヒット。200万枚を超えるセールスを記録し、1991年には日本レコード大賞も受賞する。2002年からパリに移住。帰国後の2006年にはアルバム「遥かなるまわり道の向こうで」をリリースし、音楽シーンに完全復帰を果たす。その他、今井美樹やSMAPなどへの楽曲提供でも知られ、桜井和寿、aiko、平井堅ら、KANのファンであることを公言するアーティストも多い。