ナタリー PowerPush - JACK IN THE BOX 2010 SUMMER
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ソロアルバムは次のステップへの整理整頓
──ソロアルバム「Obsession」についてもお話を訊かせてください。制作時のコンセプトはどういうものだったんでしょうか?
自分がギターを弾いて誰かボーカリストがいて、ロック的なインストゥルメンタルがあってという、よくある“ギタリストのソロアルバム”には興味がなくて。今回のアルバムは、ドラムは打ち込みなんですけど自分で全パートを演奏して、歌詞も書いてという1人バンド的なもの。自分で曲や歌詞を書いてアレンジして好きなように歌って、全部自分の責任になっちゃうけどバンドと違って自分の好きなことだけがやれる。デビューして20数年経った今、自分がそういう作品を作ることには意味があると思ったし、そういうアルバムなら作ってもいいかなと思ったんです。
──収録されている曲は、全部このアルバムのために書き下ろしたものなんですか?
曲に関しては、Velvet Spiderの頃からバンドに合わなくて残ってた曲もあったし、Velvet Spiderでやってたけど自分でリアレンジして違うバージョンで出したい曲もあって。要するに次のステップに行くための整理整頓、節目みたいな感じですね(笑)。だからもしソロ第2弾があるとしたら、アコースティックオンリーな曲があるかもしれないし、アレンジももっと幅広くなるかもしれないですね。
──このアルバムを聴いたときに、“ギタリストJimmyのアルバム”というよりは“アーティストJimmyのアルバム”というイメージが強いなと。ソングライティングの面もそうですし、ギターなどの演奏面、自分で歌うという点も、ギタリストが作りましたというよりは、ひとりのアーティストが今やれることを全部つぎ込んだアルバムだという気がしたんです。
そうですね。ギタリスト然とした面をもっと出したかったら、むしろ歌モノではなくてインストゥルメンタルをやってたと思うし。今回はギターの比率、歌う比率、アレンジする比率、歌詞の世界とかトータリティという意味では、「広瀬さとし=Jimmy」らしいど真ん中の作品だと思います。たぶん昔から聴いてるファンは、このアルバムジャケットやヴィジュアルや曲の内容で「あ、やっぱりな」と感じると思うんですよ。だけど、それをまずやっておきたくて。本当はアルバムジャケットも、天気のいい草原でめちゃめちゃ普通の格好で撮って、もうちょっとカラッとした内容もありかなと思ったんだけど(笑)。
一番こだわるのはボーカリスト
──このアルバムでは全編でJimmyさんのボーカルがフィーチャーされています。これまでいろんなバンドで、その都度いろいろなボーカリストと一緒に音楽を作ってきてますが、僕はJimmyさんって「バンドがあって、ボーカリストがいて、ギタリストがいる」というスタイルにこだわっている人なんだと思ってたんです。でも今回はすべてを自分でやっているので、何か心境の変化があったのか、それとも以前からこういうことをやってみたかったのか、その点が非常に気になりました。
僕は44MAGNUMから始まって、これまでにいくつかバンドをやりましたけど、やっぱり一番こだわってるのはボーカリストなんですよ。もちろん44MAGNUMのPAULは僕が好きな声を持ってるボーカリストだし、他のバンドのボーカリストもみんな存在感があって自分にない表現方法を持ってた。でも、歌にこだわりがあるから、もうちょっとこういう歌い方にしたほうがカッコいいのにと思うこともあるわけで。それを伝えたりもしてきたけど、ボーカリストにも自分のこだわりがあって、結局自分の理想どおり完璧に歌ってもらうのは無理なんです。で、今回は自分が歌うことで、自分がやりたかったニュアンスをできるだけ出してやろうと。ボーカリストとしての実力や技術なんて皆無なんだから、そこは絶対にこだわろうと思いました。
──ここまでお話を聞いていると、Jimmyさんは非常にプロデューサー気質が強いように思います。
そうですね。例えばPAULとも昔は「フェイクはこんな感じにしない?」とか「そこもうちょっと弱く歌ったほうが、逆にカッコいいんじゃない?」なんてやり取りをしたこともあった。今回は、今まで組んできたボーカリスト全員に伝えたかったことを、自分でやっちゃって満足した部分はあるかな(笑)。
──せっかくこういう興味深いアルバムが完成したので、ライヴでも聴いてみたい気もします。
やりたいですね。今はちょっと仕込む時間が足りないから難しいけど、やれるときにやりたいです。なんかね、ボーカリストとしてハンドマイクを持って歌ったとしても、今は全然不自然じゃないと思う。自分はボーカリストとしては実力も経験もまだまだだけど、こういう見せ方、聴かせ方があるという意味ではやる価値があるんじゃないかと思ってるんです。ウケる、ウケないは関係なく、ロックアルバムというのはライヴまでを含めて作品ですからね。
今はあれこれやりたいっていう欲が増えた
──ソロライヴを含め、今後やってみたいことは他にありますか?
44MAGNUMのライヴももうちょっとやりたいし、2ndソロアルバムも作りたい。それから次の44MAGNUMのアルバム制作もやっていきたいですね。本当はいろんなことをやりたいんですよ。
──かなり意欲的ですね。そういう気持ちって、20数年前のデビューした頃と比べて変わりましたか?
昔はひとつのことに集中するとそればかり見ちゃってたけど、今はこれもやりたいしあれもやりたいっていう欲が増えちゃって。そこが違いとしては大きいですね。
──それはいろんなことを経験してきて、違うジャンルの良さがいろいろ見えてきたから?
音楽の好みの幅も広がりましたからね。それに、44MAGNUMのデビュー当時は新しいスタイルや楽曲をモノにするためにもっと時間がかかったけど、今はさすがに慣れもあるし、発想をすぐに具体化できるようになった。あまりボーっとしてると単なる時間の浪費になっちゃうからね。やりたいことはどんどん早くやろうと思ってます。
会場:千葉・幕張メッセ展示場4-6
日程:2010年8月21日(土)
開場 / 開演:9:00 / 11:00
前売:11500円(全立見)
チケット:発売中
- キョードー東京(03-3498-9999)
- チケットぴあ(0570-02-9999 / Pコード:105-609)
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