ほっちゃんが解説する「堀江由衣ベストライブ～由衣と時間泥棒～」レポート・前編

──それではレポートを追っていきましょう。

寝坊から始まるというのはもうお約束ですね（笑）。

──「BEST ALBUM」のジャケットに登場するトランクとステッカーが物語の鍵として使われるというのは、見事な演出だなと思いました。

そうですね。うまくつながったなって。

──冒頭のVTRのシーンでは、お客さんの大歓声やドッと笑う声が聞こえる中でスタンバイしているわけですよね？ あの時間はやはり緊張するものでしょうか。

今回は特に、1回始まると止まるところがないライブだったんですよ。曲間も私はほぼセリフがあって、ステージに出てないときも着替えや移動がうまくいくかどうか常に緊張してるし……スタートボタンが押されたらもう突っ走るしかないみたいな。始まっちゃったらホントに気を抜く場所がないので「ねえホントにやる？ ねえ？」みたいなことは直前まで言ってました（笑）。

──ここで今回のライブのからくり、設定が明かされると。それを把握したときのお客さんのリアクションが、また正しいんですよね。ちゃんと流れを汲んで「えーっ!?」って声を合わせたり（笑）。

優秀な「劇団堀江」の皆さんが（笑）。何度もライブを観てくださってる方はすぐにノッてくれますし、初めての方もだんだん「あ、こういうものなんだな」ってわかってきてくださるので。

──あうんの呼吸ができあがってますよね。そして今回のキーマンであるタイムズ伯爵ですけど……なんであんな造形になったんですか？

ネットで「ネコのお面」みたいな単語で調べたら2種類ぐらいしか出てこなくて、そのうちの1つがあれです（笑）。だから皆さんも普通に買えます（笑）。私の中では「ちょっと怪しげな紳士」ぐらいのイメージだったんですけど、ネコにしたのは作家の諏訪（勝）さんのアイデアで。

──メイキング映像では登場した瞬間にみんな「気持ち悪い！」って言ってましたよね（笑）。

ちょっとびっくりしましたね。夢に出てきそうな感じで。でもあのちょっと気持ち悪いところが、スーツの渋い感じと相まってカッコよくなっていたかなと思います。

──移動用のトロッコが自転車の形になっているというのもすごいインパクトでしたけど、自転車移動中の曲がハイクオリティなポップソングの応酬で、会場の盛り上がりもすごかったですね。「BEST ALBUM」のインタビューでもお話しましたけど、改めてレベルの高い曲揃いだなあと感じたのがこのセクションです。

あの3曲は全部自転車つながりなんです。「お気に入りの自転車」と「JET!!」は歌詞にも自転車が出てくるし、「Days」はPVで自転車に乗ってるんですよね。

──曲調もギターポップ的な、さわやかで疾走感のある曲ばかりで。なんとなく堀江さんのイメージに合うなとは思うんですけど、なんで自転車なんでしょうね？

まあ真っ赤なスポーツカーという感じでもないし、盗んだバイクでもないし（笑）。電車はありそうですけど……私の移動手段としては自転車かなーというのはなんとなく。トロッコも自転車の形だったらステキじゃない？ということで特別に作ってもらいました。