ナタリー PowerPush - 堀江由衣
ほっちゃんと読み解く「由衣と時間泥棒」ライブレポ
ほっちゃんが解説する「堀江由衣ベストライブ~由衣と時間泥棒~」レポート・後編
道中「堀江由衣をめぐる冒険III」登場のアンドロイド、ミス・モノクロームと再会すると、そのCGと4人のダンサーとともに一糸乱れぬダンスを披露しながら「Coloring」「バニラソルト」を熱唱する。しかし、自らが抱き枕化されるほどの人気者であることを盾に、さらに歌いたがるモノクロームについては一蹴。「あなたを出すのはすごくお金がかかるんだから!」と、彼女の電源ボックスから動力源である単3電池を抜き取ってしまう。
──ここで前回のツアーでも活躍したミス・モノクロームが登場しますが、秋には単独でテレビアニメ化も決定するなど(参照:ほっちゃん原案キャラ「ミス・モノクローム」がアニメ化)、謎の1人歩きを始めるまでにキャラが進化しましたね。
なんかナタリーさんのニュースでもアクセスランキング1位になってたようで(笑)、ありがとうございます。やっぱり「ガールフレンド(仮)」(Ameba運営のソーシャルゲーム。ミス・モノクロームはゲーム内のキャラクターとして登場し、テレビCMにも出演した)の影響が大きくて。あれだけ「前に出たい」って言ってるとホントに出られるんだなーって(笑)。
──堀江さんとミス・モノクロームの確執というのも、もはや1つのネタとして成立しているような。
キャラがひとりでに成長しちゃいましたね(笑)。しかも次の日の伏線まで張ってくれて。
その直後には「堀江由衣をめぐる冒険II」「堀江由衣をめぐる冒険III」で、ともにほっちゃんに完敗を喫したユイ20世とクマスターが合体して誕生した、新たなる生命体・クマスター21世が、リベンジを果たすべく急襲する。ほっちゃんは臨戦態勢を整えるも、21世は、ひょんなことから手に入れたタイムズ伯爵の懐中時計によって「インモラリスト」を歌っている最中に時間をストップ。哀れ、ほっちゃんは21世の手にした光の剣に斬り伏せられてしまうのだった。
──そしておなじみのクマスターも、過去のライブの登場キャラであるユイ20世と一緒に登場と。ここで先ほど曲順決めの話題のときにおっしゃっていた「物語を引き締めるマイナー曲」として、「インモラリスト」をバックにしたバトルシーンが展開されます。
一旦負けるというのも最近のパターンになってますけど(笑)、あのバトル要素は作っているうちに入れざるを得なくなってしまったんです。タイムズ伯爵がどうしても敵になりきれないから「ここはわかりやすい敵がいたほうがいいのかな」ということで。クマスターが敵だと前回のツアーと同じだし、ユイ20世と戦うのは……「私対私」がいかに大変なのかは武道館(2009年開催「堀江由衣をめぐる冒険II ~武道館で舞踏会~」)でよくわかったので、どうしようかなーと思っていたら作家の諏訪さんが「合体させてみよう」って。合体して出てきたらオネエになってるというのは予想外でした(笑)。
しかし「堀江由衣をめぐる冒険III」同様、リスさんとウサギさんに助け出されると、ほっちゃんは森の動物たちのダンスコンテスト「踊りだせ!森のどうぶつコンテスト」に出場。「スクランブル」や「笑顔の連鎖」といったアップリフティングなナンバーを連発し、会場の熱烈なコールを受けて元気を取り戻す。そして「It's my style」「恋する天気図」などを歌いながら会場2階席をゴンドラで巡回。かつてユイ20世を打ち破ったハニージェットの剣を探し当てると、クマスター21世との再戦に臨む。戦闘中、ほっちゃんは自身の楽曲群の中でも特にシリアスな「ALL MY LOVE」「ヒカリ」を熱唱。勢いそのままにハニージェットの剣で懐中時計を故障させ、21世を打倒した。
──先ほど「森の動物たちとダンスバトルがしたい」と堀江さん自ら希望を出したとおっしゃってましたけど、なんで動物たちとダンスバトルを?
なんとなくかわいいかなーって(笑)。イメージとしては、金太郎とかがいそうな森の中の丸い広場で、夜にキャンプファイヤーしながらダンスバトルしてるみたいな。
──森のシーンでは、あのアニメなどによく出てくる木のボウルに入ったスープ。あれっていつ見てもおいしそうですよね(笑)。
いいですよね。あのスープ、もともとは木のボウルじゃなかったんですけど、スタッフさんのこだわりで「森で飲むスープは木の器だ」って。
──このあたりで物語は収束に向かっていくわけですが……今回のライブは小ネタも秀逸でしたね。「それ、もう歌っちゃいましたけど?」というセリフは、堀江さんの曲を把握している人ならすぐにピンとくる。前後の会話だけで想像させて、ツッコミも入れずに笑いを誘うのは相当高度な技術ですよ。
ありがとうございます(笑)。
──随所にメタ視点を入れながら物語を演じるという堀江さんのライブスタイルは、ある意味優れたコント師として高く評価されるべきものだと思うんですよね(笑)。お笑いや演劇をやっている人にも参考になるところが多々あると思います。
あははは(笑)。ライブなのか長いコントなのか区別が付きづらくなってきてますね。諏訪さんはラジオの作家さんとして活躍されているので、聞かせて笑わせるような演出がすごくうまいんです。嫌味がない笑いができる人だからありがたいですね。毎回この大変な作業をよく断らずに引き受けてくれるなと思います(笑)。
その後はハッピーなムードの中「YAHHO!!」「心晴れて 夜も明けて」など、明るくポップなナンバーを連続投下し、桜吹雪が舞い散る中「桜」を高らかに歌ったところでステッカー探しの旅は大団円。ほっちゃんは全30曲に及ぶベストライブを見事完走した。
……かと思いきや、タイムズ伯爵がライブの構成をメチャクチャにしてしまったお詫びにと、懐中時計を使って公演前に時間を巻き戻そうとする。するとハニージェットの剣によって故障させられた懐中時計は3013年3月17日を指し示し、ほっちゃんを1000年と1日後の未来へと送ってしまうのだった。
──ラストもハッピーエンドと思わせておいて、翌日の伏線をしっかり張ってから終わらせるという。これも素晴らしい演出でした。
次の日のテーマは海賊だけど、現代の海賊だとちょっと違うかなーと思って、思い切って1000年後にしてみました。最初は誤植だと思われて「ちょっとこれ“3013”になってるよ、ほっちゃーん」って言われましたけど(笑)、1000年後の未来ということで。
» バタバタな舞台裏
- ライブDVD / Blu-ray「堀江由衣ベストライブ~由衣と時間泥棒~」 / 2013年9月20日発売 / スターチャイルド
- [Blu-ray Disc] 8190円 / KIXM-134
- [DVD2枚組] / 7140円 / KIBM-387~8
収録内容
- Love Destiny
- キラリ☆宝物
- 夏の約束
- お気に入りの自転車
- Days
- JET!!
- マッシュルームマーチ
- Angel恋をした
- この指とまれ
- Romantic Flight
- Coloring
- バニラソルト
- silky heart
- インモラリスト
- スクランブル
- Say Cheese!
- 笑顔の連鎖
- 翼
- It's my style
- 恋する天気図
- ずっと
- A Girl in love
- HAPPY SNOW
- ALL MY LOVE
- ヒカリ
- YAHHO!!
- PRESENTER
- CHILDISH LOVE WORLD
- 心晴れて夜も明けて
- 桜
映像特典
堀江由衣ベストライブ~由衣と時間泥棒~
舞台裏全部見せます!
堀江由衣(ほりえゆい)
東京都出身の声優アーティスト。1997年に声優としてのキャリアをスタートさせた後、1998年に歌手デビュー。「ほっちゃん」の愛称で親しまれ、永遠の少女然とした自身のキャラクターと重なるオリジナル音楽作品をコンスタントに発表している。アニメやゲームのキャラクターソングも数多く手がけ、2005~2007年には声優ユニット「Aice5」としても活躍。2009年9月には声優として歴代4人目となる日本武道館公演を2日間にわたって行い、大成功に収めた。2012年2月には8thアルバム「秘密」を発表。オリコン週間ランキングで3位を獲得した。2013年3月には千葉・幕張メッセイベントホールにて「堀江由衣ベストライブ~由衣と時間泥棒~」「堀江由衣をめぐる冒険IV ~パイレーツ・オブ・ユイ 3013~」と内容の異なる2本のライブを開催。9月20日には「堀江由衣ベストライブ~由衣と時間泥棒~」が、12月25日には「堀江由衣をめぐる冒険IV ~パイレーツ・オブ・ユイ 3013~」がDVD / Blu-rayとなってリリースされる。また11月には約1年4カ月ぶりのニューシングル「Golden Time」を発表する。