ナタリー PowerPush - ハナエ

ウィスパーボイスをフィーチャーした真部脩一プロデュース「神様はじめました」

曲を作ることと歌うことは別だった

──曲作りを始めるようになった段階で、それを誰かに聴かせたいとか、CDとしてリリースしたいっていう気持ちはあったんですか?

「神様はじめました」のビデオクリップのワンシーン。

最初は曲を聴いてもらいたいっていうよりは、歌が好きだったから歌う場が作れるなっていうことだったんですよね。自分で曲を作れるようになったから、じゃあ自分で歌ってみようっていう気になって。

──最初の段階ではソングライティングをしながらも、自分をシンガーとしては認識していなかったっていうことなんですか?

今思い返すと完全に分けていたような気がします。歌がすごく好きで歌いたいっていう気持ちと、自分の中の感情や想像の世界を曲にするっていうことは全く別のことだと思っていたというか。

──それはすごく面白い感覚ですよね。そこが融合したとき、音楽がさらに楽しくなりました?

楽しくなったというよりは、自分の声をもっと知らなきゃいけないなって思いましたね。自分の声を初めて録音したときに、想像していた声と全然違っていたんですよ。だからもっともっと練習が必要だなって思いましたし。とは言え、自分で歌うことにしたからには、宅録という閉じこもる作業であっても、そこで生まれたものを誰かに向けて表現したいなっていう気持ちにはなってきましたね。

ウィスパーボイスがコンプレックス

──ハナエさんは声が大きな魅力のひとつだと思うのですが、ご自身ではどう感じていますか?

昔からすごいコンプレックスなんです。すごく声量のあるフレディ・マーキュリーに憧れて歌い始めたのに、私の声はすごくウィスパーで全く違うタイプですからね。自分でもどう扱っていいかわからない時期が長くて。中学校の音楽の授業で合唱のパート分けをするときに、「おまえの声はよくわからなくて変だ」って先生に言われたのがすごく心に残ってるんですよ。

──ちょっとショックですよね、その言われ方は。

「神様はじめました」のビデオクリップのワンシーン。

でも変だって言われるっていうことは、どうにかしてそれを個性にすることもできるんじゃないかなと思ったんです。だから自分でものすごく研究したんです。その中で、この声に合う曲、表現っていうものがだんだんわかってきて、それを今は発表している感じなんですよね。

──最初は自分のやりたい音楽性と自分の声質とのギャップにもどかしさを感じる部分はありました?

かなりありましたね、それは。小学生の頃とかはちょっとダークなゴリゴリのロックばかり聴いていて、それしか知らなかったですから。でも、だんだんいろんな曲を聴くようになったことで、「あ、こういう歌もあるんだな」とか「こういう声の生かし方もあるんだな」っていうのを知ることができて。結果、最近は自分で聴く曲も、自分で作る曲もポップなものになっていった感じで。もちろん今でも凛として時雨みたいなロックもすごく好きなんですけどね。

デビューに迷いはなかった

──デビューに関してはどういった経緯で実現したんですか?

13歳のときにEMI Music Japanの「Great Hunting」というオーディションにデモテープを送ったのがきっかけです。ダメ元だったので反応が返ってきたときはすごくビックリしましたね。ちゃんとデモテープって聴いてもらえるんだっていうことに感動しましたし。で、年齢的に若いということもあったので、今すぐにどうこうというわけじゃないけど、曲ができたら聴かせてほしいということをEMIの方に言っていただけて。私としては単純に、自分の作った曲を聴いてくれる方が見つかったことがすごくうれしかったんですよね。

──それまでは誰にも聴かせていなかったんですか?

「神様はじめました」のビデオクリップのワンシーン。

誰にも聴かせてませんでした。恥ずかしかったので(笑)。でも聴いてくれる方がいればそれはすごく励みにもなるので、よりがんばろうって思うようになりましたね。EMIの方には、自分の曲についてアドバイスをいただくこともあったし、いろんな音楽や映画を薦めてもらったりもしたので、中学、高校時代に意識せずともいろんなことを吸収できて、それを曲作りに反映することができたんじゃないかなって思います。

──デモテープを送ってから約4年を経て、昨年6月にデビューしたときの気持ちはいかがでした?

いきなり決まったのでそこでもビックリしたんですけど、自分の中に迷いはなかったです。それまでの期間、スタートラインに立つために曲作りをしたり、週末や夏休みに上京してデモのレコーディングをしながらがんばってきたので、いよいよだなって。顔が見えない方々に自分の曲を聴いてもらえる機会が増えるのが純粋にすごく楽しみでした。あとは、ファッションだったり美術館だったり、地元の福岡にはないものがたくさんある東京に住めることもうれしかったですし(笑)。

3rdシングル「神様はじめました/神様お願い」 / 2012年11月14日発売 / EMI Music Japan
初回限定盤[CD+DVD] 1680円 / TOCT-40415
通常盤[CD] 1000円 / TOCT-40416
初回限定盤 CD収録曲
  1. 神様はじめました
  2. 神様お願い
  3. 神様はじめました(TVアニメ・オープニング Ver.)
初回限定盤 DVD収録内容
  1. 神様はじめました(Music Video)
  2. Music Videoオフショット映像
  3. TVアニメ「神様はじめました」(ノンテロップ・オープニング映像)
通常盤 CD収録曲
  1. 神様はじめました
  2. 神様お願い
  3. 神様はじめました(オリジナル・カラオケ)
  4. 神様お願い(オリジナル・カラオケ)
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  • iTunes - ミュージック - ハナエ「神様はじめました」
ハナエ(はなえ)

1994年生まれ、福岡県出身のアーティスト。幼稚園に通っていた頃、人形遊びのときに歌う曲を作り始め、6歳からピアノやギターなどの楽器に親しむ。12歳のときに宅録を始め、13歳でEMI Music Japanの新人発掘オーディション「Great Hunting」に応募。魅力的な声とサウンドがスタッフの目に留まりデビューに向けて準備を開始し、2011年6月にシングル「羽根」でメジャーデビューを果たす。2012年9月に真部脩一(進行方向別通行区分、アゼル&バイジャン)プロデュースによる3rdシングル「神様はじめました / 神様お願い」を発表。