真部脩一さんとの出会いは必然を感じた

──デビューしてから変化したことって何かありますか？

さっきお話したように、昔は歌うことと曲作りっていうのが自分の中で分かれていたんですけど、だんだんそれをくっつけた表現をするようになっていったんですね。で、デビュー1作目（「羽根」）と2作目（「BLACK BERRY」）は、そういう作品になったと思うんですけど、今思うとそこにとらわれすぎていたなっていう思いもあるんです。だからちょっと違った表現方法があるんじゃないかなあって思い始めたというか。

──例えばどんな表現方法がありそうですか？

デビューしてから私の声を褒めてくださる方が多いので、そういう自分の特性を生かした音楽をやっていったらどうかなっていうことですね。昔からSPANK HAPPYとかcapsuleとか、コンポーザーが女性ボーカルをボーカロイドみたいに操っているようなユニットが好きだったりもするので、自分自身の特徴的だと思っているこの声を中心に考えてみるのもアリなんじゃないかなって。

──なるほど。そういう思いが、サウンドプロデュースに真部脩一さんを迎えた今回のシングル「神様はじめました / 神様お願い」につながっていくと。

いやそれが、実際にそういう私の思いを制作の方に伝えたわけじゃなかったんですよ。

──え、そうなんですか？

はい。ほんとに偶然、今回の楽曲のお話をいただけたんです。結果的にすごくタイミングが良かったし、ちょっと必然を感じる出会いだったなあって思いますね。

ウィスパーボイスにするほど「今のすごくいい！」「カワイイ！」

──これまではご自身が作詞・作曲を手掛けた曲をリリースしてきていたわけですが、今回は真部さんの作った楽曲世界をシンガーとして思いっきり表現されています。

私の声を素材としてフィーチャーしてもらった感じですね。シンガーソングライターとしてデビューしたので、楽曲を提供してもらうことでどう見られるのかなっていう思いは正直あったんですけど、元々すごく大好きな真部さんというアーティストの方が書いてくださるということで不安要素は全くありませんでした。曲を書くという意味とは違った、新しい楽しさを感じることができましたね。

──今まで以上にウィスパーボイスで歌われていますね。

ここまでウィスパーにしていいのかなっていうぐらいですよね。「『あのね』」っていうところなんて、ほとんど言ってない（笑）。女の子の隙のある可愛さが曲に出ているので、ドキッとさせるためにいつも以上に全開にしました。真部さんとEMIの方がボーカルディレクションをしてくれたんですけど、反応がいちいち面白くって。「今のすごくいい！」「カワイイ！」とか言ってくださるんで、私もどんどん乗っていって限界値を更新していっちゃいました。今回の曲を通して、いろんなことをやっても自分の曲になるんだなっていう自信が出ましたね。

──ハナエさんはアニメもお好きだそうで。本作でコラボできてうれしかったのでは？

はい。音楽でアニメに携われたらいいなってずっと思っていたので、ものすごくうれしかったです。ほんとに小学校くらいからの夢でしたからね。しかも今回はオープニングだけじゃなく、エンディング曲まで歌わせていただけたので。

──エンディングはザ・テンプターズのカバー「神様お願い」ですね。こちらも真部さんプロデュースで相当面白い仕上がりになっています。

この曲を私は知らなかったし、原曲は男性ボーカルなので最初はちょっと不安でした。でも真部さんのオケを聴いた瞬間に、どう歌おうっていうのがパッと浮かんで。こちらも「神様はじめました」と同じように、肩の力を抜いてささやくような感じで歌いました。原曲のカラーがすごく強い分、パロディ感を出して思い切り遊べましたね。原曲を知ってる方も知らない方にも、聴き比べて楽しんでほしいなって思います。

声を生かした活動をしたい

──本作での新たなトライは大成功だったと思います。今後もまだまだやってみたいことがご自身の中にあふれている感じですか？

そうですね。全然妄想段階なんですけど、声を好きって言ってもらえることが多いので、朗読モノの曲をやってみたいですね。中学の頃は校内放送とかもやっていて、ナレーションみたいなことも大好きなので。あとはファッションやアートも好きで、CDのアートワークに関してもアイデアを出すことが多いので、そういうところでもいろんな表現がしていきたいです。

──「神様はじめました」のミュージックビデオではセーラー服姿を披露してますし、この曲をライブで歌うときには和傘を持ってステージに上がってますよね。

セーラー服のビデオクリップはナタリーさんのニュースで紹介していただいて。それがきっかけで観てくれた人もたくさんいたんですよ。着たかいがありました（笑）。ライブで持ってる和傘……あれ実は私物なんです。やっと出番がきてうれしかったですね。今までのCDはヨーロッパっぽいビジュアルだったんですけど、和もいけるんだなって自分でも思えました。