KUMONOSU「共犯」 PR

KUMONOSU|ダークヒーローが肯定する孤独

Vocaloidクリエイターとしてシーンを牽引してきた八王子Pと、シンガーやモデルとして10代から才能を発揮してきたHANAEが昨年8月に結成したKUMONOSU。彼らが2月13日にデビューCD「共犯」をリリースした。

ダークヒーローをテーマに、“都市型夜光性ユニット”としてコンセプチュアルな活動を行うKUMONOSUはどのようにして本作を生み出し、何を表現したのか。音楽ナタリーでは彼らにじっくりと話を聞いた。

取材・文 / 風間大洋

ダークサイドを出したい

──まずはお二人がKUMONOSUとして活動を始めた経緯から伺えればと思います。

八王子P

八王子P 僕はずっとボカロPとして活動してきて、これからも続けていくつもりなんですけど、同時にちゃんと生身の人間が歌う形で自分の作品を出していきたい気持ちがずっとあって。出発点はシンプルにそこかもしれないですね。ボーカリストを探していく中でHANAEさんのことを知って、最初に惹かれたのは声だったんです。「この声と自分の曲が合わさったらどうなるんだろう?」と、すごくワクワクする感じがありました。

──誰かに歌ってもらうことで、ご自身の作風に変化が生まれるのでは? といった期待や好奇心もありました?

八王子P うん。Vocaloidって全部自分の思い通りに制御できてしまうけど、生身のものはイレギュラーが起きるじゃないですか。その思い通りにならないところから、予想外に面白いものが生まれることに期待したし、1人で完結させるのではなく、みんなと一緒に作っていきたい気持ちもありました。

HANAE 私は5、6年ずっとソロで音楽活動をやってきたんですけど、そもそもデビューする前はバンドに憧れていて。でも周りにバンドをやる友達がいなかったので、結局1人で突っ走ってきたような状況だったんです。いつかは誰かとガッツリ組んだ活動をやっていきたいという憧れはずっとあって、たまたま前の事務所から離れる時期に(八王子Pと)出会いました。私もフリーになるし身軽に新しいことができるんじゃないかなというときにタイミングよくお話をいただいて。もともと王子(八王子P)が活動されているのは知っていて、やっていることがカッコよかったから、組んでみたいなと思いました。

八王子P お互いに最初は作品の外側しか知らなかったですけど、話してみるとクリエイティビティの部分でも意外に共通点があって、「この人だったら一緒にやって面白いかもな」と話していく中で思いました。

HANAE 曲によっていろんな表情はあるんですけど、お互いわりとポップなものをやってきていて。最初に話したときに、今よりもダークサイドを出したいねというところでも一致していたので、やりたいことのベクトルが一緒だったのはすごく大きいです。

やりたい音楽をぶつけ合う

──結果的に2人で一緒にやってみたことは、それぞれの中にどう作用しましたか。

八王子P 僕はどうしてもこう、曲を作るとき……特に誰かに曲を書くってなったときに、その人のよさを生かそうと思うんですよ。プロデュースや楽曲提供であれば、それはいいことだと思うんですけど、自分の作品を出すうえでは、それが必ずしもいいことではないなと思っていて。例えばHANAEさんの声を生かすんだったら、もう少しスローテンポで、彼女の得意なウィスパーボイスとかを生かすのがいいのかもしれないですけど、そこであえてゴリゴリのダンスミュージックを歌わせてみたり。自分のやりたい音楽をぶつけて、それに対してまた彼女もしっかり応えてくれるから、僕の中で1個コンプレックスというか、殻を破りきれてないなって感じていた部分に少し変化はありましたね。

──寄り添わせるのではなくぶつけ合う。

八王子P そうですね。

HANAE

HANAE 本当にぶつけ合っている感じがします。私も近年になるにつれて声や詞、写真からのイメージで曲を作っていただくことが多くなったんですけど、(八王子Pは)私のソロ名義だったらやらないけど聴く分には好きな曲とか、ライブやクラブでかかったらめっちゃアガる曲を作っているので、そういう曲をこのユニットでやれていることが本当にうれしい。ビートがすごく強かったり速かったりして、今までの手癖では太刀打ちできない部分もあったけど、それに負けないようにというか。やっぱりぶつけられることで私も研ぎ澄まされていく感覚はすごくあったし、今持っている部分とは違うところを引き出されていく制作過程は、大変ではありますけどワクワクしましたね。

──音楽的な要素やコンセプトの部分などを含め、制作の出発地点はどんなところからだったんですか。

八王子P コンセプトを音楽ジャンルには置きたくないなというのがまずありました。八王子Pのソロ活動はダンスミュージックを作るボカロPというイメージが付いてるけど、僕の中ではいろんな音楽を作りたい思いもあるんです。だからユニットのコンセプトをジャンルに置いてしまうと、今後やりたいことをするうえで足枷になっちゃうんじゃないかなって。そうなったときに、どういうことをやりたいかということを考えたら、ぼんやりと浮かんだのがダークヒーローだったんですよね。世の中に蔓延っている悪……じゃないですけど、いろいろな問題、大きい規模で言ったら戦争とか、身近なところだといじめだったり、世間で起きているニュースとか僕が感じたこともそうですし、そういうことを曲にしていきたいとHANAEさんに話したら、面白そうだねって。そこからいろいろとアイデアが広がっていきました。

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心の闇を書く使命

KUMONOSU「共犯」
2019年2月13日発売 / TOY'S FACTORY
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CD収録曲
  1. 共犯
  2. 秘密裏
  3. 存在証明
  4. 見世物
  5. 夜光
初回限定盤DVD収録内容
  • 「共犯」Music Video
KUMONOSU(クモノス)
KUMONOSU
ボカロPとして活躍する八王子P、シンガーやモデル、詩人として活動するHANAEによる“都市型夜光性音楽ユニット”。ダークヒーローをテーマに掲げ、2018年8月に結成された。同年12月に東京・CIRCUS Tokyoにて初のワンマンライブ「KUMONOSU演舞 -開幕-」を成功させる。作編曲を八王子P、歌唱および作詞をHANAEが担当したデビューCD「共犯」を2019年2月にリリースした。