ナタリー PowerPush - ふくろうず
J-POPの頂点を目指す! 3rdアルバム「砂漠の流刑地」
とにかく歌いたくないんです
──3曲目の「心震わせて」は安西卓丸(B)さんがボーカルを担当していますね。前作でも1曲歌っていましたが、アルバムごとに安西さんが1曲歌う、ということではない?
とにかく歌いたくないんで、私が。だから彼が歌うまかったら全部歌ってほしいくらいなんですけど……。
──歌いたくないんですか?
歌いたくないですね、とにかく歌いたくない(笑)。
──曲作るのは好き?
曲作るのは大好き。
──自分で歌うのはあんまり?
はい、好きじゃないです。
──何がイヤなんですか?
単純に歌がうまくないのと、声が好きじゃないのと、あと男の人のボーカルのバンドのほうが好きっていうか、女ボーカルで好きなバンドってひとつもいない……。
──全滅ですね(笑)。
そうなんですよ(笑)。だから去年とかレコーディングもライブも、歌いたくなくてボロボロだったんですけど、今年は開き直ってきたんで、がんばろうと思います。
──今年になってからのライブはとても良かったですよ、雰囲気も含め。
やっぱり意識がイヤイヤじゃなくなってきたから。もう、やるしかないと(笑)。
──客観的に、ボーカリストとしての自分はどう捉えてますか?
あ、もう、ないなって思ってます(笑)。本当にないんですけど、ないなりに、もっと曲のクオリティを上げて、合うキーや合うメロディや歌詞を探していけば、なんとか折衷案みたいなのが……。
──いや、良いと思いますよ、内田さんの曲と合っていて。
もうちょっと行けるはずなんで、もうちょっとがんばりたいと思います。
リゾートの人たちを妬む気持ちを曲にした
──「みぎききワイキキ」というタイトルの曲が収録されていますが、1stアルバムには「マイアミ」という曲もありましたよね。内田さんの中に楽園志向ってあるんですか?
ハワイとかグアムとか……リゾートの人たちを妬む気持ちがすごくあって。あんなふうに生まれてたらなあって。だから、砂漠の対極にあるんですよ、マイアミとかワイキキって。
──ここは砂漠だからワイキキに行きたい、と。
浮かれてんじゃねえぞ、みたいな気持ちもあって、ゴールデンウイークとかのテレビで「ハワイ行きまーす」みたいな人を観ると「キーッ」ってなるほうなんですよ(笑)。……怒りの曲です(笑)。
──「夏は嫌い」って、前作にもあったモチーフですね。
や、ほんとは好きな裏返しなんです。アンチ巨人的なアレなんです。ほんとは水着とか着てみたいなあ、みたいな。
ふくろうず
内田万里(Vo, Key)、石井竜太(G)、安西卓丸(B, Vo)、高城琢郎(Dr)からなる4人組バンド。2007年に東京で結成し、ライブを中心に活動を展開する。2009年12月には初音源となる5曲入りミニアルバム「ループする」をライブ会場等で限定発売。スーパーカーやクラムボン、キセルなどを手がけた益子樹(ROVO他)をエンジニアに迎えたこの作品は、独特の世界観と完成度の高いサウンドで大きな話題を呼び、2010年4月に2曲を加えた全国流通盤として再リリースされる。この全国流通盤をきっかけに人気を全国区に拡大させ、メディアのライブイベントにも精力的に出演。2010年10月にニューアルバム「ごめんね」をリリース。2011年6月に3rdアルバム「砂漠の流刑地」でメジャーデビュー。