藤原さくら|歌い、演じ、そして遊ぶ 経験と縁を音にした「PLAY」

私の行く道、やり方を示した1曲目

──プロデューサー陣は、前作から続いてSPECIAL OTHERSのYAGI & RYOTAさん、Ovallの関口シンゴさん、さらに今作からは新たに永野亮さん、Kan Sanoさんも加わりました。それに福山雅治さんが手がけたドラマの2曲も入って、サウンドの幅もぐっと広がっています。

ありがとうございます! スペアザのYAGIさん、RYOTAさんプロデュースのメンバーは、デビューからずっとお世話になってきた方々で、呼吸もぴったりです。Ovallのメンバー3人とは昨年の全国ツアーでご一緒させていただいて、すごく密な関係を築くことができました。永野亮さん、Kan Sanoさんは前々から私が大ファンで。いつか一緒にお仕事させてもらえたら、と思っていたのでご一緒できてうれしかったです。いろんな方と作り上げたアルバムなのでいろんなテイストが楽しめる1枚になったんじゃないかなと。

──冒頭を飾る「My Way」はそのYAGI & RYOTAさんが手がけたナンバーです。アップテンポでグルーヴィな演奏に、「今までの自分と決別し、前に進んでいくんだ」という英語の歌詞が乗っていて、どこか、アルバム全体を象徴する前向きな印象を受けました。

これはまさに、自分の中である物語を思い浮かべながら書いていった曲ですね。イメージとしては、北海道の片田舎にある女の子がいて……。

──藤原さんの地元とは、ずいぶんと離れてますね(笑)。

私は福岡出身なので、なるべく遠い場所にしたほうが書きやすいと思って。で、その子は都会に出て自分を試してみたいんだけど、周りには「お前には何もできるはずないよ」って言われてるんですね。「それでも自分はやれるんだ! 黙って見てて!」という気持ちを歌った曲です。この話をデモ段階でYAGIさん、RYOTAさんに伝えると、こんなカッコいいアレンジになって返ってきました(笑)。

──なるほど。それでこういうグイグイと突っ走るアレンジなんですね(笑)。

藤原さくら

YAGIさんの弾くギターの温かい音色といい、シンプルだけど奥深いRYOTAさんのドラムといい、SPECIAL OTHERSのジャムバンド的な魅力も、存分に発揮されています。皆さんセッションの達人なので、ほとんど一発録りに近いんです。でもこのバンドで曲を作っていると、歌詞の内容がそのまま音になって出てくる驚きがあって、今回もまさにそうでした。

──それは演奏の勢いからも伝わってきました。上原なな江さんのビブラフォンも、めちゃくちゃ効果的で。

ほんとカッコいいですよね! RYOTAさんのアイデアで初めてご一緒させていただいたんですけど、セッションしてて楽しかったです。ちなみにさっき物語仕立ての曲と言いましたけど、もちろん自分の思いがまるで入ってないわけではなくて。今回、1stアルバムから聴いてくださっているリスナーに加えて、シングルで藤原さくらを知って、2ndアルバムを手にする方もいらっしゃると思うんですね。だからこそ冒頭にはグルーヴィな英語の曲を置いて、「こういう一面もあるんだ」と感じてもらえるといいなと。その意味での「My Way」、これが私の行く道、やり方なんですって。

──ミュージシャン藤原さくらの原点を示す意味でも?

はい。YAGIさん、RYOTAさんとはデビューからずっと一緒にやってきたので。5曲目に入れた「赤」も同じメンバーですね。こちらは1曲目と違ってわりとスローな大人な雰囲気の曲です。

──終わってしまった恋愛を振り返る、ちょっと甘酸っぱい曲ですね。別れた恋人が赤色が好きだったという、サビのフレーズがなんとも切ない。

男性に人気があるんですよね、この曲(笑)。YAGIさんもRYOTAさんも、いろいろ送ったデモ楽曲のなかで「これいいね、この曲やろうよ」と言ってくださったし。ツアーのバンドメンバーにも評判がよくて。アルバムを完成させる励みになりました。

正直、悔しかったです

──2曲目の「Someday」、3曲目の「春の歌」、そしてラストの曲「はんぶんこ」は、APOGEEのメンバーで、CM音楽などでも活躍する永野亮さんのプロデュースです。新しいコラボ相手ですが、これは藤原さん自身の希望ですか?

はい。私は「はじめよう」という永野さんのアルバムが大好きなので、今回、ご一緒できてとてもうれしかったし、私のデモにアレンジが付いて戻ってきた際に、一番衝撃が大きかったのも永野さんでした。

──例えばどういったところが?

とにかく、自分がイメージしていたのと全然違う形で返ってくるんですよ。それが悔しいくらいしっくりきちゃう(笑)。例えば12曲目の「はんぶんこ」は最初もっと軽快なミディアムポップスだったのを、永野さんがぐっとBPMを落としてじっくり聴かせるバラードにアレンジしてくれてすごく印象が変わりました。「あ、このほうが言いたかったことがずっと伝わるな」と思って、正直、悔しかったです。

藤原さくら

──シングルにもなった2曲目の「Someday」は、藤原さんが進行役を務める子供番組向け「ポンキッキーズ」のエンディングテーマです。めまぐるしく変化する旋律にバイオリン、チェロ、トランペット、トロンボーンが絡んで、心が浮き立つようなハッピーなサウンドになっています。この曲はどのようにして生まれたのでしょう?

朝早くに目が覚めて、「あっ!」と思ってサビのメロディをボイスメモに録音しました(笑)。そのメロディに歌詞を乗せていって。「ポンキッキーズ」のお話をいただく少し前、去年の8月だったかな。ドラマが終わってから少し経って、人の出会いについて考えていた時期だったんです。なので、自然とそれがテーマになっていきました。

──出会えた奇跡を全力で肯定する、そんな曲に思えました。

あ、そういうふうに感じていただけるとすっごくうれしいです! 私はドラマのお仕事を通じて、素敵な出会いにたくさん恵まれたと思うんです。共演者、スタッフの皆さんもそうだし、新たに知ってくださったリスナーの方々もそう。私にとってはすべて、大切なものでした。でも逆に考えると、もし「ラヴソング」というドラマがなければ、仲よくなったスタッフさんと街ですれ違ったとしても、気付くこともなかったわけじゃないですか。そう思うと、なんだかちょっと怖くなってきて(笑)。

──出会いの素晴らしさと、その表裏一体にある怖さ?

そうそう。それで、そんなことを考えつつひさしぶりに福岡の実家に帰って、婆ちゃんと2人でご飯を食べていたとき、ふと爺ちゃんとのなれそめを聞いてみたんですよ。そしたらやっぱり、いろんな偶然が積み重なった末に、2人も出会っていた。その1つがちょっとでも違っていたら爺ちゃんと婆ちゃんは結ばれず、私もこの世に存在しなかったかもしれない。そう思うと、ますます怖くなってきて……。

──なるほど。

でもそのとき、婆ちゃんは「だいじょうぶ」って言ってくれたんですね。偶然の積み重ねみたいに見えるけど、自分たちが結ばれたのも、お父さんとお母さんが出会ってさくらが生まれたのも、全部運命だから、と。私も将来、大切な人と出会って子供や孫ができたとき、そんなふうに感じられたらいいなと思って。それを曲にしました。いろんなメロディが目まぐるしく展開していくスピード感のある構成なんですけど、根っこにあるのはそんなシンプルな気持ちなんです。

藤原さくら「PLAY」
2017年5月10日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
藤原さくら「PLAY」初回限定盤

初回限定盤 [CD+DVD]
3780円 / VIZL-1149

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藤原さくら「PLAY」通常盤

通常盤 [CD]
3024円 / VICL-64771

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CD収録曲
  1. My Way
  2. Someday
  3. 春の歌
  4. play with me
  5. 好きよ 好きよ 好きよ
  6. sakura
  7. Necklace
  8. Soup
  9. play sick
  10. SPECIAL DAY
  11. はんぶんこ
初回限定盤DVD
  • Someday (Music Video)

<藤原さくら Special Live 2017 - Live at Bunkamura Orchard Hall 20170218 ->

  • Soup
  • Walking on the clouds
  • MC - Soup (reprise)
  • 500マイル
  • 1995
  • Necklace
  • Someday
  • 「かわいい」
  • 春の歌
ツアー情報
  • 2017年5月27日(土)埼玉県 戸田市文化会館
  • 2017年6月10日(土)広島県 上野学園ホール
  • 2017年6月16日(金)新潟県 新潟市音楽文化会館
  • 2017年6月18日(日)宮城県 仙台市民会館 大ホール
  • 2017年6月25日(日)福岡県 福岡市民会館
  • 2017年6月29日(木)北海道 道新ホール
  • 2017年7月1日(土)愛知県 名古屋市民会館
  • 2017年7月9日(日)大阪府 オリックス劇場
  • 2017年7月17日(月・祝)香川県 サンポートホール高松
  • 2017年7月21日(金)東京都 中野サンプラザホール
  • 2017年7月22日(土)東京都 中野サンプラザホール
藤原さくら(フジワラサクラ)
藤原さくら
福岡県出身の女性シンガーソングライター。幼少期からさまざまな音楽に親しみ、父親の影響で10歳からギターを弾き始める。高校進学後にオリジナル曲を作り始め、地元でライブ活動も行う。高校卒業を機に上京すると音楽活動を本格化させ、2015年3月にミニアルバム「à la carte」でSPEEDSTAR RECORDSからメジャーデビュー。2016年2月にメジャー1stフルアルバム「good morning」を発表した。また同年4月からフジテレビ系月9ドラマ「ラヴソング」に主演の福山雅治の相手役として出演。同作の主題歌「Soup」や劇中歌「好きよ 好きよ 好きよ」を歌い注目を集めた。2017年5月に、映画「3月のライオン」後編の主題歌に採用されたスピッツのカバー曲「春の歌」を含むメジャー2ndアルバム「PLAY」をリリース。