音楽ナタリー Power Push - 舞台「名なしの侍」特集 堂島孝平×菜月チョビ(劇団鹿殺し)×丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)

最高に痛快な新感覚音楽時代劇

堂島孝平が7月に東京・サンシャイン劇場と大阪・ナレッジシアターで上演される劇団鹿殺しの舞台「名なしの侍」に出演する。

今年2月、活動20周年の総決算ライブにて「今年は画期的なことが起こってます。けっこう画期的です、本当に」と予告していた堂島(参照:堂島孝平、旨味を凝縮したツアーファイナルで20周年の総決算)。そして届いたのが、この舞台出演のニュースだった。「名なしの侍」は劇団鹿殺しにとって活動15周年記念公演で、総動員数1万人予定という過去最大規模の時代劇作品。堂島はなぜこの舞台に挑戦することになったのか。音楽ナタリーでは堂島と劇団鹿殺しの演出家・菜月チョビ、脚本家・丸尾丸一郎との鼎談を実施。出演に至った経緯から見どころ、キービジュアル撮影時の裏話までたっぷりと語ってもらった。

また特集の後半では南野陽子や小池栄子、石崎ひゅーい、渡辺大知(黒猫チェルシー)という、堂島および劇団鹿殺しと交友のある著名人からのメッセージも紹介する。

取材・文 / 丸澤嘉明 撮影 / 大槻志穂

堂島孝平×菜月チョビ×丸尾丸一郎 鼎談

ヤバくない? この人たち

──今回どういう経緯で劇団鹿殺しの舞台に堂島さんが出演することになったんですか?

左から菜月チョビ、堂島孝平、丸尾丸一郎。

丸尾丸一郎 劇団鹿殺しは普段演劇を観ないような方にも劇場に足を運んでいただきたいっていうのが活動の指針としてあって、それで今まで Coccoさんや石崎ひゅーいくんのようなミュージシャンや、鳥肌実さんのようなタレントの方と一緒に舞台を作ってきたんですね。今回は生バンドを取り入れた時代劇をやりたいっていう構想がまず初めにあったので、シンガーソングライターの方で誰がいいかスタッフと打ち合わせしてたときに堂島孝平さんのお名前が挙がって。

──正直、堂島さんが出演すると聞いたとき、ちょっと意外な感じがしました。よくよく考えると共通点もあるし、なるほどと思ったんですが。

丸尾 僕も最初は、堂島さんのポップでカラフルなイメージが鹿殺しの土臭い感じとは違うんじゃないかなと思ってたんです。でもライブを観させてもらったら、伸びのある歌声や場の空気をものにする感じに、すごく引き込まれて。僕らの舞台で歌ってもらったら絶対に歌詞が浮かび上がるだろうなと思ったし、この堂島さんの持つ力と鹿殺しの世界観が交わったら面白いと思ってお声がけさせていただきました。

──もともと接点があったわけではないんですね。

菜月チョビ はい。そもそも舞台をやりたい方なのかどうかもわからなかったけど、もしかしたらやってくれるんじゃない?ってお名前が挙がって。そういう気持ちでライブを観に行かせていただきました。

堂島孝平 最初は僕も全然事情がわかってなくて、「今日は劇団鹿殺しのお二人が観に来てる」ってスタッフに言われて、「そうなんだ」くらいに思ってたんです。僕もお芝居は好きなほうなんで、終演後に楽屋に挨拶に来てくれたときに、「演劇ってどうやって作るんですか?」とか「音楽ってどうやって作るんですか?」とか、わりと創作のことについて話して、「やっぱ似てるな音楽と。じゃあ何かご一緒できることありましたら」なんて言ってお別れしたんですよ。そしたらそのすぐあとにオファーが来て「なんだ!? どういうことだ!?」っていう(笑)。

──突然オファーが来たらびっくりしますよね。

菜月 でも私たちは完全にそのつもりで行ってたから(笑)。

堂島 それがこっちはわかってないじゃないですか。びっくりしたっていうのは「なんで俺に?」っていうのもあるけど、それよりも「俺が演技してるとこ観たことないのに大丈夫なの? ヤバくないこの人たち?」っていう(笑)。

──確かに(笑)。

丸尾 どういう判断だよっていう(笑)。でも僕らはすぐ決めたというか、ライブ後に挨拶して楽屋出た瞬間にチョビと2人で「どう思った? 」「絶対いいよね」って話してました。

堂島 衝撃でしたね。

──それでも堂島さんがオファーを受けようと思った理由って?

堂島孝平

堂島 それこそさっき丸さんが言ってくれたみたいに、確かに僕はポップスを作って20年音楽をやってきたんですけど、ずっとロックンロールの精神でやってきたんで、それを鹿殺しの2人にも感じたからっていうのはありますね。そのときはまだ僕は鹿殺しのお芝居を観たことなかったんですけど、2人の人柄からそういうのを感じて。2人の話を聞いてたら断る理由はないなと思ってお引き受けしました。

──ロックンロールの精神とは?

堂島 自分の場合だったら音楽だし、お二人だったら演劇だと思うんですけど、新しいことを発明したがってるっていうか。自分だけの型を作ってそれを世の中に通用させていくっていうところに快感やロマンを持ってやってらっしゃるなって。それに俺、「やれるかどうかわかんないですよ」っていうのは最初に言いましたから(笑)。

劇団鹿殺し「名なしの侍」 / 2016年7月16日(土)~24日(日) 東京都 サンシャイン劇場 2016年7月28日(木)~31日(日) 大阪府 ナレッジシアター
劇団鹿殺し「名なしの侍」
イントロダクション

「最強は誰だ」
時は戦乱の世。幾多の武将が名を馳せる中、月見草のように闇に咲く名も無き侍たちがいた。強さとは何か? 死ぬべき時はいつか? 生きる意味とは? はぐれ雲に問い続ける刃の光。流れた血のあとに、月の涙が零れ落ちる。
合戦の騒乱を生バンドに乗せ、足軽が管楽器を吹く。嘆きのギター、進軍のベース、生きる鼓動がドラムに乗り移る。劇団鹿殺しが挑む「新世代パンク時代劇」参上!

出演者

菜月チョビ / 丸尾丸一郎 / オレノグラフィティ / 橘輝 / 鷺沼恵美子 / 浅野康之 / 近藤茶 / 峰ゆとり / 有田杏子 / 椙山さと美 / メガマスミ / 木村さそり / 玉城裕規 / 鳥越裕貴 / 谷山知宏(花組芝居) / 堂島孝平
piggy(G / ex. pocketlife)、奥泰正(B / THE WELL WELLS)、辰巳裕二郎(Dr / 花団)
池田海人 / 石川湖太朗 / 長田典之 / ちゃこ / 中島ボイル / 前川孟論 / 矢尻真温

チケット

5月14日(土)23:59まで「名なしの侍」特設サイトにて特典付き2次先行販売実施中。
5月15日(日)10:00より前売り券&学生券の一般発売がスタート。

堂島孝平(ドウジマコウヘイ)
堂島孝平

1976年2月22日大阪府生まれのシンガーソングライター。1995年2月にシングル「俺はどこへ行く」でメジャーデビューを果たす。1997年には7thシングル「葛飾ラプソディー」がアニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」のテーマソングに起用され全国区で注目を集めた。ソングライターとしての評価も高く、KinKi Kids、藤井フミヤ、山下智久、Sexy Zone、太田裕美、THE COLLECTORS、アイドリング!!!、住岡梨奈など数多くのアーティストへ楽曲提供したりサウンドプロデュースしたりしている。また西寺郷太(NONA REEVES)と藤井隆とのアイドルユニット・Smalll Boysとして活動しているほか、佐野元春の「SOMEDAY」再現ライブのバンドメンバーとして参加するなど、多彩なミュージシャンたちとセッションワークを行っている。2014年5月末で閉館となった東京・吉祥寺バウスシアターのクロージング作品の1つとして劇場公開された「さよならケーキとふしぎなランプ」では俳優として主演を務め、フジテレビ系「オモクリ監督~O-Creator's TV show~」では映像監督として出演した。デビュー20周年を迎えた2015年2月には、東京・中野サンプラザホールにて記念公演「堂島孝平 活動20周年記念公演 オールスター大感謝祭!」を、ゆかりのゲストを多数招いて華々しく開催。同年12月には通算17枚目となるオリジナルアルバム「VERY YES」をリリースした。2016年7月、劇団鹿殺しの舞台「名なしの侍」に俳優としてゲスト出演する。

劇団鹿殺し(ゲキダンシカゴロシ)
劇団鹿殺し

2000年、関西学院大学在学中に菜月チョビと丸尾丸一郎によって旗揚げされた劇団。2005年に活動の拠点を大阪から東京に移し、当時7名だった劇団員による2年間の共同生活や年間1000回以上の路上パフォーマンスで話題を呼ぶ。あわせてコンスタントに公演を実施し、2010年発表の「スーパースター」は、第55回岸田國士戯曲賞の最終候補にノミネートされた。2014年1月にはCoccoを主演に迎え、初プロデュース作品として「ジルゼの事情」を手がける。この公演は演劇界のみならず音楽界でも話題を呼び、同年9月に東京・サンシャイン劇場で再演された。2015年6月、石崎ひゅーいを招いた「彼女の起源」では生バンドを取り入れた舞台に挑戦して成功に収める。2016年7月、堂島孝平をゲストに「名なしの侍」を東京・サンシャイン劇場と大阪・ナレッジシアターで上演。