ナタリー PowerPush - DIR EN GREY
「UROBOROS」を経て向かう新たな地平 14カ月ぶり新作ついに登場
カップリングのために曲を作る感じが好きじゃない
──カップリングの「OBSCURE」についても訊かせてください。ここ何作かのシングルで、過去に発表してきた楽曲を再構築したスタジオ音源を入れてますよね。何年か前に作った曲を改めてレコーディングしようっていう最初のきっかけは何だったんですか?
あんまりシングルのカップリングに新曲を入れたがらない人間なので(笑)。別に入れてもいいんですけど、カップリングっていう扱いの曲が生まれるのもあんまり好きじゃないっていうか。例えばアルバムの中にはちょっとこれは合わへんねんなっていう曲をカップリングにしようっていうのはアリだと思うんですけど、カップリングのために曲を作るみたいな感じがあんまり好きじゃないんです。でも、なんか凝ったものを入れたいっていう思いはあるので、だったら今まで作ってきた曲をもう1回録り直そうかっていう、それが始まりですね。
──DIR EN GREYもデビューから10数年経ってるので、デビュー当時の音と今の音とでは雰囲気が変化してきているし、ファンにとってもあの当時の曲を今の音で鳴らしたらどうなるのかなっていう楽しみ方があると思うんです。プレイヤーとしては、ちょっとチャレンジしてやろうって気持ちもありますか?
「OBSCURE」の場合は、ギターのアレンジが当時ちょっとやってみたかったけどその形には持っていけなかった音を鳴らしてる部分があるので、やっていく中でこういうことにチャレンジしてみようかなというのはありました。だから、逆にカップリングのほうがプレイで遊ぶことができて、自由度は低いようで高かったりするんです。
──原曲のイメージをあえて崩そうとか残そうとかっていうのもいろいろ考えつつアレンジしてるんですか?
そうですね。まぁあんまり変えられてもね、「原曲のイメージないやん」っていうふうになってもしょうがないんで。まったく違う曲みたいな感じも面白くないんで、原曲のイメージは必ず残しつつどれだけ違う感じに持っていけるかっていうほうが面白い。でも、「OBSCURE」の場合はそんなに思い切って変えた部分はあまりなくて、わりとすんなりいったかな。
──DIR EN GREYには音が年代ごとに進化・変化しているバンドっていう印象があるので、例えば5年前はこういう形だったけど2011年のDIR EN GREYが出すとこうなるっていう、そのアップデートのされ方がすごく新鮮で。こういう形で今鳴らんすだっていう面白さを、いちリスナーとしてもすごく感じました。
そう言ってもらえたら、うれしいです。ただ、やっぱり原曲からいろいろ変えられると嫌っていう人もいると思うんで、そこは難しいところですよね。
次作は「聴きにくいアルバム」になる!?
──今回のシングルは、この3曲でひとつの作品として完結してるなっていうイメージがすごく強いですね。
トータルで見れば、実は最初の2曲はシンプルな音の鳴り方をしているので、自然と流れていくのかもしれないですね。それで、最後にちょっと引っかかりのある「冷血なりせば」が入ってくるという。
──で、このシングルを聴くと、近い将来に発表されるであろうニューアルバムが楽しみになってくるわけですが。現在も準備中なんですよね。
そうです。
──このシングルだけでは、なかなか想像できないですよね。やっぱり「UROBOROS」というものすごく大きい作品があって、そこに続く新作がどうなるのかっていうのはみんな気になってるところだと思うんです。現時点で次のアルバムがこうなりそうだっていうイメージはできているんでしょうか?
もちろんイメージしているものはあるんですけど、どんどん変わってるのでそれが最終的にどういうものになるかはちょっとわからないんですね。まぁ「UROBOROS」のようなアルバムでは全然ないですね。ああいう形で、ああいう雰囲気のアルバムでは間違いなくないんで……わりと「聴きにくいアルバム」になるんじゃないかなって気はします。
──じゃあ、「LOTUS」のイメージで聴くとちょっと「えっ!?」って思っちゃうような?
うーん、まぁ最終的にどうなるかは、まだ自分にもわかんないですけどね(笑)。ただ「LOTUS」のジャケットデザインもそうですけど、今度のアルバム含めどんどん新しいことに挑戦していきたいと思ってます。
DIR EN GREY - LOTUS (60 sec)
CD収録曲
- LOTUS
- OBSCURE
- 冷血なりせば~Live take at SHINKIBA STUDIO COAST on July 20, 2010~
DVD収録内容 ※初回生産限定盤のみ
“THE UNWAVERING FACT OF TOMORROW TOUR2010”2010.07.21 SHINKIBA STUDIO COAST
- 残
- LIE BURIED WITH A VENGEANCE
- 逆上堪能ケロイドミルク
DIR EN GREY(でぃるあんぐれい)
京(Vo)、薫(G)、Die(G)、Toshiya(B)、Shinya(Dr)から成る5人組バンド。1997年に現メンバーが揃い「人間の弱さ、あさはかさ、エゴが原因で引き起こす現象により、人々が受けるさまざまな心の痛みを世に広める」という意志の元に結成。ミクスチャー/ヘヴィロック的な要素をゴシック的な様式美の中で表現する世界観が評価され、日本のみならず海外でも大ブレイク。2002年にアジアツアーを成功させたのを機に、アメリカ、ヨーロッパ各国にも進出し、熱狂的なファンを多数獲得する。2008年にアルバム「UROBOROS」を世界16カ国で同時期にリリース。同作はアメリカのBillboard Top 200で114位、インディーズアルバムチャートBillboard “TOP INDEPENDENT ALBUMS”で9位、新人アーティストを対象としたチャートBillboard “Heatseekers Chart”で1位という快挙を達成する。その後、2008年末から2010年にかけて「UROBOROS」を携えたライブツアーを国内外で展開。2010年1月に日本武道館公演を2日間にわたり開催し、ロングツアーを締めくくった。