ナタリー PowerPush - CHI-MEY

“会いに行ける歌のお兄さん”が語る 彩り豊かな半生とは?

僕の歌は子供にとって“ワクワクするすべり台”

──その子供向けのライブを、幼稚園やショッピングセンターでやることが多いんですね。

そうです。最初「ショッピングセンターとか、お母さんと子供たちがいるようなところでできるんじゃないかな?」と考えて、ショッピングセンターひとつひとつに電話して、何年か前から少しずつ始めました。それで初めはいっぱい失敗もしましたし……大人向けでやってる曲をはさみながらやるとショーが散漫になっちゃったりして、戸惑いもあり。それもショーを重ねていくごとに、だんだん良くなっていって。最後に歌う「フレ!フレ!大丈夫!」はお母さんたちが普通に気に入って聴いてくれるし、子供たちもちょっと歌えたりするんで、みんなで歌うという今の形にやっとたどり着きましたね。中には、ほんとに毎回応援しにきてくれるご家族とか、CHI-MEYの格好をしてくる子供たちもいるんですよ。お母さん大変ですよね? 僕の衣裳と同じ生地を探したり(笑)。星のスタンプを押して作ったり、女の子はダンサー2人の格好をマネしてくれたり、思い思いにオリジナルのものを作ってくれてます。僕も毎回楽しみで、思い出に残りますね。

──そんな子供たちにとってのCHI-MEYさんの歌はどんなものだと思います?

そうですね……オモチャですね。すべり台みたいな感じ? ローラーがずっと続いてるすべり台とか、ワクワクするじゃないですか? あんなふうに、どんどん進化していけたらいいなあって思います。

「レコーディングが沖縄になるといいなー」

──新曲についても訊かせてください。今度の「ちいさなうた」は、どんなところからできた曲なんですか?

子供たち向けのライブをやったときに「来年(小学)1年生なんだー」ってお母さんとしゃべってるお子さんがいたんですよ。1年生って世界がフワーッて開けて、楽しくなる感じ、しませんでした? 一番偉い年長さんから、またひとつ違う世界にポーンと行く感じ。「ドキドキもするけど、でも楽しい」っていうのを僕は思ってたんで。それで何気なく「良かったね、楽しいこといっぱい待ってるからね」って言ったら、お母さんがあとから「そうですよね、1年生になる、どんどん大きくなるって、楽しいことが待ってるんですよね。あらためて気付かされました」という手紙を送ってくださったんです。それを見て、「あ、そうか!」って思ったんですよ。これってたぶんほかの親御さんもそう思うだろうし、このことに大人にももう一度気付いてもらいたいなって。「大人になるといろんなことがあるけど、それもひっくるめて楽しんでやるぞ!」って大人も活力を出してやることが、子供たちの希望につながるんじゃないかと思って……それでこの曲を書こうと思ったんですね。

──そこから今回のコラボにつながったいきさつはどんなものでしょうか?

僕の1stシングルの「フレ!フレ!大丈夫!」という曲が「みんなのうた」でかかっていたのが、金城綾乃さん(Kiroro)が主婦業に専念してた時期だったんですよ。3人目のお子さんもお腹にいて、そのときに家庭の主婦として僕の歌を聴いて、すごく気に入っていただけて、それで各方面に電話して調べたところ、CHI-MEYという奴がやっているらしいということを突きとめてくださって(笑)。で、川崎ラゾーナでフリーライブをやったときに遊びにいらしていただいて、「一緒にできたらいいね」って話をしたところから始まったんです。僕もちょうどお母さんの視点を入れた曲を作りたいなと思っていたし、さっきの1年生のこともあったりで、タイミングが合って、作ることになりました。

──ORANGE RANGEとはどのようないきさつで?

ORANGE RANGEは、レコード会社の僕の担当の方が前にORANGE RANGEの担当をされていたんです。それで僕の子供向けDVDとかを渡したりしてたら、HIROKIさんとNAOTOさんに「この人面白そうだから何かやってみたい」って言っていただけて。で、金城さんもORANGE RANGEも沖縄の方で、僕はまだ行ったことがなかったので、「レコーディングが沖縄になるといいなー」とか言ってたら、行けることになりました(笑)。もう最高でした! 人生初の沖縄! 海ぶどうも食べることができて(笑)。

──それでこの組み合わせになったわけですね。

パッと見、異色じゃないですか? みんな立ち位置が違うというか。でも見事に、いい感じにいいところが混ざり合ったものができました(笑)。現場がほんとに楽しかったんですよ! その感じがこうやってCDに収められたのがほんとにうれしいし、それをみなさんのところに届けられるのは、もう至福です! 僕たち、台風1号と一緒に沖縄に上陸したんですけど(笑)、でもアー写やビデオクリップの撮影のときだけ雨が上がって、奇跡的に晴れ間が見えたんですよ。天気にも恵まれて、ありがとうございます! って感じです。

目標は「遊園地みたいなアーティスト」

──最後に、今後CHI-MEYさんはどんなアーティストになっていけたらいいなと思います?

一番初めに頭にあった「家族で楽しめるアーティスト」っていうのは、たぶん揺るがないと思うんですよ。ちっちゃい子に向けてのライブを続けていきながらも、今やってる大人のライブもだんだん一緒にしていって……子供からおじいちゃんおばあちゃんまで、みんなで楽しめる、遊園地みたいなアーティストになっていきたいですね。活動自体も、音楽というものにとらわれず、アニメの作品を作ってくれる人が出てくれば一緒にやってみるとか、キャラクターを作ってみるとか。人や経験値が増えることによって、その円が総合的にどんどん大きくなっていく、イコール、ジェイムランドという島が大きくなっていく──という感覚でみんなにお届けできたらなあと思います。

──そうしてみると、今回のコラボのようなつながりができたのは、とてもいいことですね。

めちゃめちゃいいですよー! これから、こういうことをどんどん増やしていきたいですね。音楽業界がどうだとか、いろんな壁を乗り越えて、みんなで盛り上げていけるものを作れたらなと思ってますし、そういうふうなステージを作ったりしたいし。いろんな形で表現していくことをがんばりたいです!

ニューシングル「ちいさなうた」 / 2011年6月29日発売 / gr8! records

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 1500円(税込) / SRCL-7668~9 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 1000円(税込) / SRCL-7670 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. ちいさなうた
  2. おやすみのくも
  3. ちいさなうた(インスト)
  4. おやすみのくも(インスト)
DVD収録曲
  1. ちいさなうた(ミュージックビデオ)
CHI-MEY(ちーみー)

アーティスト写真

8月19日生まれの男性シンガーソングライター。学生時代より、さまざまなジャンルで音楽活動を展開する。バンドやクラブでのライブ活動を経て、ソロアーティストに移行し、同時に他アーティストへの楽曲提供も開始する。2008年には自身が展開する架空のテーマパーク・ジェイムランドを舞台にした初のソロミニアルバム「WELCOME TO J'AIMELAND」をリリース。2010年10月、NHK「みんなのうた」にも起用されたシングル「フレ!フレ!大丈夫!」でメジャーデビューを果たした。リリースと並行して、幼稚園やショッピングセンターなどで子供向けのライブを精力的に行っている。また、他アーティストへの楽曲提供やテレビ番組テーマ曲の作曲なども多数手がけており、新進気鋭の作曲家としても大きな注目を集めている。