ナタリー PowerPush - BUMP OF CHICKEN
音楽を作る喜びと4人の絆から生まれた傑作アルバム「COSMONAUT」
CDのブックレットは自分たちの中ですごく大事なもの
──ちなみに、アルバムの全体像が見えた時期というのはあるんですか?
藤原 全体像か……今回はね、「どこが終わりだっけ?」というような感覚が強いんですよね。
──まだ続いているような感覚がある?
藤原 そうかもしれない。未だに「あれ? 何曲入ってるんだっけ?」っていう感覚があって。
直井 それは言ってるよね。
藤原 うん。だからCDのブックレットがあるじゃないですか。これができあがるのが自分たちの中ですごく大事で。
──いつも大事にしていますよね。
藤原 うん。自然とブックレットの比重が大きいものになっていて、いつも俺はこれの完成をすごく待っているんだなってことに気付くんです。今回は宇宙飛行士のヘルメットが映ってるジャケットですけど、このデザイン案が(アートワークを担当している)TYCOON GRAPHICSさんのほうから上がってきてから、僕らのリクエストをお戻しするという作業を何度か重ねて。楽曲だけではなく、このブックレットも含めて初めて作品という意識が生まれますね。
「また宇宙かよ」「また宇宙です!」
──「COSMONAUT」(=宇宙飛行士)というタイトルはどんな思いでつけましたか?
藤原 「宇宙飛行士への手紙」という曲が先行シングルとしてリリースされましたけど、この言葉は僕の頭の中でずいぶん前……2つ前のアルバム(「orbital period」)くらいから存在していたものだったんです。個人的には大きな思いが詰まっている言葉というか……。それは全然説明できない思いでもあるんですけど、きっと今回のアルバムのタイトルになるんだろうなとは漠然と思っていて。でも、アルバムの制作期間にできたある1曲にタイトルをつけることになって、そうしたら「宇宙飛行士への手紙」という頭の中にずっとしまってあった言葉がポロッと出てきて。「もう、これしかないわ」と思ったのが「宇宙飛行士への手紙」という曲になったんです。なので、アルバムには「宇宙飛行士」という意味を持つ別の言葉をつけようと思って、「ASTRONAUT」と「COSMONAUT」というふたつのタイトルが候補に上がって。そこからみんなで話し合って、「ASTRO」より「COSMO」のほうが単語的にほかにも魅力的な意味合いがあるということで、「COSMONAUT」になりました。
──これまでもBUMPは、宇宙の存在を音楽世界の重要なキーワードに据えてきました。今作ではすべての楽曲や時間軸の強大な受け皿として位置付けられているように思います。そして、宇宙飛行士とは、音楽を通して過去、現在、未来を行き来するメンバー自身のことを指しているのではないかと。
藤原 ああ、なるほど……。すみません、これもぼんやりさせておきたいですね(苦笑)。
──では、改めて、BUMPにとって宇宙とはどういう存在なのか聞かせてください。
藤原 升くん、どうでしょう?(笑)
升 4人がずっと共通して好きなもののひとつですね。中学生のときから、宇宙のことを少ない知識でいろいろ話すことがすごく楽しくて。そういうワクワク感を共有できる大切なものです。
藤原 「また宇宙かよ」って感じる人もいると思うんですけど、「また宇宙です!」みたいな(笑)。ホントに、確信を持っていろいろ言えるのは「好き」だということだけで。そのことを考えたらドキドキするし、ワクワクする存在で。それは変わらないんですね。あとは、曲を聴きながらリスナーそれぞれに想像してもらえたら、僕らはすごく幸せです。
CD収録曲
- 三ツ星カルテット
- R.I.P.
- ウェザーリポート
- 分別奮闘記
- モーターサイクル
- 透明飛行船
- 魔法の料理 ~君から君へ~
- HAPPY
- 66号線
- セントエルモの火
- angel fall
- 宇宙飛行士への手紙
- イノセント
- beautiful glider
BUMP OF CHICKEN(ばんぷおぶちきん)
藤原基央(Vo,G)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Dr)の幼なじみ4人によって、1994年に中学3年の文化祭用バンドとして結成。高校入学後に本格的な活動をスタートする。地元・千葉や下北沢を中心にライブを続け、1999 年にインディーズからアルバム「FLAME VEIN」を発表。これが大きな話題を呼び、2000年9月にはシングル「ダイヤモンド」で待望のメジャーデビューを果たす。その後も「jupiter」「ユグドラシル」といったアルバムがロックファンの熱狂的な支持を集め、2007年には映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」主題歌に起用されたシングル「花の名」を含むメジャー3rdフルアルバム「orbital period」をリリース。2008年には全国33カ所41公演、22万人動員の大規模なツアーを成功させている。