音楽ナタリー PowerPush - BLUE ENCOUNT

もっと光を届けるために

楽しいだけのライブをやりたいわけではない

──「もっと光を」はオーディエンスに受け入れられてこその曲ですからね。

田邊 BLUE ENCOUNTのお客さんって正直なんですよ。ライブの流れが悪いと「え?」っていう感じになったりもするし(笑)。すげえ厳しいんです。年末のツアーの初日(2014年11月15日に行われた宮城・HooK SENDAI公演)がまさにそうだったんですよ。「これで盛り上がるはずだ」って思って投下した曲が、全然盛り上がらなかったり。

辻村勇太(B)

辻村 (笑)。オーディエンスの裏をかいて、かなりマニアックなセットリストにしちゃったからね。

田邊 仙台でワンマンをやるのは初めてなのに、全国流通していない「SIGNALS」の曲をやったりね。そういう曲をどっしりと演奏するのが、カッコいいワンマンライブだっていう……。

辻村 違ったね(笑)。考えすぎて、自分たちの原点がわからなくなってたのかも。

田邊 で、次のライブからガッツリとセットリストを変えましたからね。1週間くらい間があったから、急いでリハスタを予約して。その後はもう、叩き上げの主力選手ばかりというか、ベスト盤的なセットリストでライブをやったんです。曲数も今までで一番多かったしね。それ以降はいつも以上のライブができたと思います。ただ、毎回毎回がすごくきつかったんですよ。もちろんライブは盛り上がってたし、見える景色もどんどんよくなっていったんだけど、最高潮に喜べるところまではいかないというか。「もっとできたのに」という気持ちがずっとあって、それを引きずったままツアーをやってたんですよね。

高村 それはいつもだけど。

田邊 そうなんだけど、今まで以上に多かった気がするんだよね。

──求めるレベルが高くなってるんでしょうね。

高村 それはありますね。

田邊 僕らは楽しいだけのライブをやりたいわけではないんです。楽しいってことも大事だけど、その中で現実を提示しないといけないと思ってるので。エンタテインメントの部分とリアリズム、どちらも表現していきたいんです。ツアー中はそのことを考えていて、これまでで一番つらかったですね。東京のファイナル(2014年12月13日の東京・TSUTAYA O-EAST公演)の前の日も寝れなかったんです。ずっと窓の外を見て……。

辻村 暗いな(笑)。

ライブがないと生きていけない

──ツアーファイナルの模様は今回のシングルの特典DVDでも観られますが、皆さんの手応えはどうだったんですか?

BLUE ENCOUNT

田邊 その前の6本のライブがいい意味で自信になってたんですよね。うまくできないことも悔しいこともあったんですが、ファイナルではその経験が味方してくれたというか。MCでも言いたいことをちゃんと言えたし、メンバーの動きやテクニカルなことも含めて、しっかり今までのツアーを超えられたんじゃないかなって。

辻村 うん、ツアーファイナルらしいライブにはなったかな、と。

田邊 もちろん、そこに留まってるわけではないですけど。ただライブが終わったあとの打ち上げで、ビックリするくらいごはんが進まなくて。

江口 最初に出てきた料理が全然減らないっていう(笑)。

辻村 めちゃくちゃ腹減ってたんだけどね。

田邊 落ち着いて食べれる状態じゃなかったんですよね。そのうちに「来年、どうする?」という話が始まって。

──マジメですね(笑)。

田邊 リセットできないんですよね。こういう性格だから10年間、天狗にならずにやってこられたんだと思うけど。「お客さんが増えてきたね」とか「最近、いい感じだね」なんて言われても、全然喜べないっていう(笑)。

江口 「え、そうですか?」って思っちゃうよね。

辻村 どうしても否定から入っちゃうんですよ。

田邊駿一(Vo, G)

田邊 いまだに不安のほうが多いからね。あと、ここまで自分たちの人間性を見せているバンドはないと思うし、自分自身、「ここまで自分をさらけ出せる場所ってないよな」って思うんです。

──そこまで自分を賭けられる場所があるのは、すごいことですよね。

田邊 BLUE ENCOUNTのライブがないと生きていけないですからね。それがないと、泣く場所もないし。

江口 泣くためにやってるみたいだけど(笑)。

田邊 お客さんの中にも多いと思うんですよね、そういう人は。泣いたり、笑ったりするためにライブに来るっていう。あと、何かから逃げたいという気持ちがあるのは、僕も一緒だし。そういう人のためにも場所を作り続けていかないと。

1stシングル「もっと光を」2015年1月28日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤
初回限定盤 [CD+DVD] 1544円 / KSCL-2536~7
通常盤 [CD] 1258円 / KSCL-2538
下記サイトにて配信中!
レコチョク
mora
CD収録曲
  1. もっと光を
  2. ワナビィ
  3. LIFE
初回限定盤DVD収録内容
「TOUR2014 ROOKIE’S HIGH」
  • JUST AWAKE
  • ロストジンクス
  • MEMENTO
  • YOU
  • ドキュメンタリー映像
TOUR 2015 GRAB THE LIGHT
  • 2015年5月23日(土)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2015年5月30日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2015年6月6日(土)大阪府 BIGCAT
  • 2015年6月12日(金)東京都 Zepp DiverCity TOKYO
BLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント)

田邊駿一(Vo, G)、江口雄也(G)、辻村勇太(B)、高村佳秀(Dr)の4人からなるロックバンド。2007年、田邊、江口、高村が地元熊本でバンドを結成し、2009年に3人の進学先である都内の音楽専門学校で辻村と出会い現体制となる。2010年の1stミニアルバム「the beginning of the beginning」を、2012年には2ndアルバム「HALO EFFECT」をリリース。「HALO EFFECT」収録の「HALO」がYouTubeで150万回以上再生されるなど、この頃よりライブハウスシーンで頭角を現すように。2013年にはライブ会場限定CD「SIGNALS」やミニアルバム「NOISY SLUGGER」、MY FIRST STORY、SWANKY DANK、AIR SWELLとのスプリットアルバム「BONEDS」を発表。年末には初のワンマンツアー「NEXT DESTINATION」を開催し、全公演ともソールドアウトさせている。2014年2月に初のフルアルバム「BAND OF DESTINATION」をリリースした。同年9月にキューンミュージックより4曲入りCD「TIMELESS ROOKIE」でメジャーデビュー。2015年1月にシングル「もっと光を」を発表した。