音楽ナタリー Power Push - AA=

世界照準の「MONSTER」コラボ

Masato(coldrain)×上田剛士(AA=)×Koie(Crossfaith)

AA=が、coldrainのMasato(Vo)とCrossfaithのKoie(Vo)をフィーチャーしたコラボ曲「FREE THE MONSTER」を配信リリースした。

この曲は、0.8秒と衝撃。のJ.M.をボーカリストとして迎えた「→MIRAI→ (ポストミライ)」、Kj(Dragon Ash)と共演した「M SPECIES」に続くコラボシングル第3弾作品にあたるもの。MasatoとKoieのスクリームと、上田剛士によるアグレッシブなサウンドが絡み合うデジタルハードコアチューンだ。

今回は「FREE THE MONSTER」の配信を記念して、上田剛士、Masato、Koieの座談会を企画。出会いから「FREE THE MONSTER」が生まれるまで、またそれぞれが海外で活動する理由をじっくり語ってもらった。

取材・文 / 小野島大 撮影 / 後藤倫人

MasatoとKoieは息子でもおかしくないぐらい

──今回の「FREE THE MONSTER」は師弟共演……ということでよろしいんでしょうか?

AA=×Masato(coldrain)+Koie(Crossfaith)アー写(撮影:浜野カズシ)

上田 師弟というよりはもうちょっと距離があるかな? この前やったKj(Dragon Ash)とのコラボはちょっとそんな感じがありましたけど、KoieとMasatoはさらに世代が離れていて孫……じゃないけど(笑)。

Koie 息子ですね!

上田 そう。ほんと息子でもおかしくないぐらい年齢が離れてるから。

──剛士さんとお2人のそもそもの出会いは?

上田 Masatoとは、2010年にAA=のライブのオープニングアクトでcoldrainに出てもらったときですね。まだ彼らが名古屋にいた頃で。

Masato そうですね。

上田 Koieとは、2014年にCrossfaithのライブに呼んでもらったときが初対面で。

Koie そうですね、たぶん。最初に対バンしたのは名古屋のTHE BOTTOM LINEで。でもそれ以外でもちょいちょい、「あれ剛士さんとちゃうか?」みたいにすれ違ったことが何度かありました。

Masato オレも福岡のフェスで一緒になって。そのときはベースのRxYxOだけ勇気があって上田さんに話しかけたという。もう8年ぐらい前ですよね?

上田 そうだね。

Koie 俺が初めて剛士さんを観たのは、THE MAD CAPSULE MARKETSが大阪の「SUMMER SONIC」に出てるときですね。2004年ですか? 「なんであのベースの人はあんなにいろんな音出してるんやろう」って(笑)。マッドは日本のラウドロックの元祖で、リアルに海外でやってるバンドってイメージでしたね。

上田 そうやって、知っててくれるのがうれしいよね。知らなくても不思議じゃない世代なのに。

──そのときKoieさんは高校生ぐらいですか?

Koie 高校生ですね。2004年のサマソニが人生で初めて行ったライブなんすよ。「あ、こんなバンド日本におるんや」って思った。もちろんマッドの名前は知ってたけどライブは観たことなかったし。実際観て、ヤバいバンドがおるんやなって。

Masato いいなあ。オレは親が厳しくてライブに行かせてもらえなかった。

Koie マジで? それでよくロックバンドのボーカルになれたね(笑)。

──お2人は、その頃からうるさいロックを聴いてたんですか?

Koie はい。でも、その頃はパンク、メロコアとかでしたね。僕は洋楽しか聴いてこなかったから、日本のバンドなんてクソやと思ってた。でもマッドのライブを観て、「これはほかの日本のバンドと違う」と思いましたね。で、そのあとすぐ「Download Festival」や「OZZFEST」とか海外のフェスに出てるマッドの映像を観て「すごいな」みたいな。

Masato マッドはそういうバンドだったよね。アンチ邦楽みたいな人たちにも聴かれてた数少ない日本のバンドだった。僕はインダストリアルとかニューメタルとかすごい好きだったんです。それを日本でやってるのが、マッドとか宇頭巻とか山嵐とかDragon Ashで。その中でも海外で戦えるんだろうなっていうのがマッドだったし、実際にバリバリやってたから、すごく夢がありましたね、バンドを始めたときに。

──身近な目標みたいな。

Koie 身近ではなかったですけど(笑)。あの、マッドって髪染めのCM曲とかやってましたよね?

上田 ああ、やってたやってた。よく知ってるね。

Koie 普通にテレビでマッドの激しい音楽が流れてるんですよ。田舎のCD屋さんにマッドのアルバムがあったりしたし。

Masato フィギュアとか付いてきたもんね。

──ありましたね。シングル盤のおまけで。チョロQとか。

Koie そうそう。クリエイティビティもそうだけど、バンドの見せ方も当時ほかのバンドの一歩先を行ってた。

上田 なので今、握手券付きCDとか批判できないんですよ(笑)。

──おまけ付き商法の先駆だったと(笑)。あのフィギュア付きCDって、CD棚に収まらなくてかなり面倒くさかったです。

上田 そうそうそうそう。自分で作っといてさ、置く場所がない(笑)。

見た目優先だったの

Masato そう言えば、最初に組んだバンドのベーシストが、上田さんを意識しすぎて、ベースを持つ位置が低かったんですよ(笑)。あとリストバンドとかして。憧れてるのはわかるけど、全然弾けてなかった!

Koie ははははは!(笑)

──先日上田さんが参加したSCHAFTのライブでも、上田さん、今井寿さん、藤井麻輝さんは楽器を下の位置で弾いてましたね。なぜああいうふうに下で弾くんですか?

AA=

上田 オレはね、単純にパンクバンド出身なんで、ストラップが長いほうがカッコいい、と。

Masato ああー。

上田 見た目優先だったの(笑)。

Koie それがオレらの世代になってくるとちょっとずつ短くなってきて、一時期はこんななって(胸のあたりで弾くポーズをする)。で、ギターを背中に回すみたいのが流行ってね(笑)。

Masato そうそう。

上田 メタルの人はそうだよね。

Koie ウチのギター(Kazuki)とかメタル出身だから、そういう動きしますね。メタルとパンクの違いですね!

──ギターやベースを弾く位置でわかる(笑)。お2人もメタル出身ですか?

Koie いや、いろいろ聴いてる。

Masato うん。

Koie オレはリンプ(Limp Bizkit)とかすげーハマってた。

Masato オレももちろんMetallicaとか聴いてたけど、途中からメロディのある、ジャンルをクロスオーバーしてる音楽性を持ったバンドが好きになった。歌を聴かせるような。

──そういう意味では、剛士さんの音楽は激しさとメロディアスな部分がしっかり共存してますね。

上田 うん、そういう音楽が好きですね。

Koie 今回の「FREE THE MONSTER」のデモを聴かせてもらったときに、剛士さんぽいと思った。長く進化し続けているのに、軸がぶれないというか。それがすごいよかったんですよね。

AA= ニューアルバム「#5」/ 2016年5月18日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
「#5」
初回限定盤 [CD+DVD] / 4644円 / VIZL-971
通常盤 [CD] / 3024円 / VICL-64574
Tour #5
2016年5月22日(日)
宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
2016年5月27日(金)
愛知県 APOLLO BASE
2016年5月28日(土)
大阪府 Shangri-La
2016年6月11日(土)
東京都 LIQUIDROOM
AA=(エーエーイコール)
AA=

THE MAD CAPSULE MARKETSの司令塔である上田剛士(Vo, B, Programming, Produce)のソロプロジェクトで、2008年に始動。アーティスト名はジョージ・オーウェルの小説「動物農場」に登場する言葉「All Animals Are Equal」に由来する。プロジェクトとしての活動の一方で、BABYMETAL、BiSなどの楽曲制作やプロデュースなどを担当したり、椎名林檎をはじめとするさまざまなアーティストの楽曲のリミックスをしたり、CM音楽や映画の劇伴を手がけたりと多岐にわたって活躍。2015年4月に0.8秒と衝撃。のJ.M.をボーカルに迎えた「→MIRAI→(ポストミライ)」をモード学園のCMソングとして提供して注目を集める。同年11月にKj(Dragon Ash)をボーカリストに迎えた「M SPECIES」、2016年3月にMasato(coldrain)とKoie(Crossfaith)をフィーチャーした「FREE THE MONSTER」を配信リリース。5月には「→MIRAI→(ポストミライ)」「M SPECIES」「FREE THE MONSTER」を収めた5thアルバム「#5」をリリースする。

coldrain(コールドレイン)
coldrain

2007年に名古屋で結成された、Masato(Vo)、Y.K.C(G)、Sugi(G)、RxYxO(B)、Katsuma(Dr)からなるラウドロックバンド。日米両国籍を持つMasatoによる英語詞、伸びやかな歌声と過激なスクリームを交えたボーカル、テクニカルでエモーショナルなツインギター、重低音でボトムを支えるベース&ドラムが絡み合うバンドサウンドが魅力。2008年11月にシングル「Fiction」でメジャーデビューを果たす。2012年7月にはデビッド・ベンデスをプロデューサーに迎えたミニアルバム「Through Clarity」をリリースした。2013年より海外でのライブ活動を本格化。2014年にはイギリスのロックフェス「Download Festival」に出演する。2015年10月に4thアルバム「VENA」を発表した。

Crossfaith(クロスフェイス)
Crossfaith

2006年11月にKenta Koie(Vo)、Terufumi Tamano(Programming, Vision)、Kazuki Takemura(G)、Hiroki Ikegawa(B)、Tatsuya Amano(Dr)により結成。2009年4月にリリースした1stアルバム「The Artifical theory for the Dramatic Beauty」が国内メタルコア、スクリーモシーンを活気付ける起爆剤に。その後「Warped Tour UK」「Sound Wave Festival 2013」「Download Festival 2014」「Reading / Leeds Festival 2014」など海外の大型フェスにも多数出演し、各国のメディアに取り上げられる。2014年10月にキャリア初となるシングル「MADNESS」をソニー・ミュージックレーベルズからリリースするが、2015年1月にKazukiが脳内出血の治療によりライブ活動を休止。サポートギタリストを迎えてライブ活動を行う一方で新曲レコーディングを実施し、9月にメジャー1stアルバム「XENO」をリリースした。2016年には日本、ヨーロッパ、イギリスを含む世界ツアー「XENO WORLD TOUR 2016」を実施する。