コミックナタリー Power Push - 絹田村子「さんすくみ」
「最注目新人」が愉快に描く 寺・神社・教会ジュニアのゆるふわデイズ!
コメディとかギャグマンガが好き
──「読経しちゃうぞ!」の頃からそうですけど、絹田さんは毎回ちゃんとオチをつけてくれますよね。日常系なんだけど、ただキャラがワイワイしてるだけじゃなくて。
絹田 前に振っといたことはやっぱり最後に拾っといたほうがいいかなって思うんですよ。
武者 サービス精神旺盛ですよね。
──関西の方ならではのオチ意識かな、とか勝手に思っていたんですけど。
絹田 うーん1話完結の話なので、ちゃんとオチがあったほうがいいかなって。たとえば「やっぱり猫が好き」(1988~91年にフジテレビで放送されたコメディドラマ。三谷幸喜や木皿泉が脚本として参加)とかの感じ、好きですね。
──ああ、なるほど! いますごい腑に落ちました。なるほどー。
絹田 「やっぱり猫が好き」は毎回ちゃんと終わってるじゃないですか。作家さんの練習の場だったみたいで、三谷幸喜さんが書かれた回とか、ひねりが数回ぐらい入っても着地していてスゴイなーって。
──「やっぱり猫が好き」以外に好きな作品とかありますか。マンガでももちろんいいんですが。
絹田 コメディとかギャグマンガはけっこう好きなんです。
──最近だと何買われました?
絹田 「男子高校生の日常」と「マンガで分かる心療内科」(笑)、あと「行け! 稲中卓球部」が文庫化したんで集めようかと思って。やっぱりコメディなんですかね、「パタリロ!」も好きですし「× ―ペケ―」も読んでましたし。あと、山岸凉子先生の本も好きなんですよ。怖い話も好きなので。
真島 「私の人形は良い人形」?
絹田 山岸先生の怖い短編が好きなんですよ。
この人たちをちゃんとさせたいとは思ってる
──短編好きというのもわかる気がします。毎回「ホニャララの話」って題材がはっきり提示されてますもんね。ただ、この「さんすくみ」という大きな枠組み自体が今後、どういう風な流れになっていくのかは、ちょっと見えてなくて。
絹田 この人たちをちゃんと一人前にさせたいとは思ってて。なにか、キャラクターを作った以上、生活できるようにさせるというか。成長させてあげたいんです。
武者 親心みたいな。
絹田 次の回から3話続きの話なんですけど、そこで少し成長するというか、ちょっとだけ暗くなるというか。そういうのをちょっとやろうかなって思ってまして。最後はちゃんとオチっぽくするつもりですけど。
──暗くなるんですか?
真島 いや普通のいつもの明るい感じなんですけど、ちょっと困ってるっていうか。
絹田 跡継ぎだと色々自由にできないので、そういう感じのことになるかと。特に神社の人は一人っ子なので、逃げ道がないというか、そういう面はあると思います。
武者 跡継ぎがアイドルになりたいとか言い出したら大変ですもん。口に出せない。
絹田 もちろん飛び出す人もいるんですけど、たいていはまじめに疑いなく育って、たぶん10代には葛藤とかもあると思うんですけど、この主人公たちの年齢(20代前半)には、すでに1度は越えてると思うんですよね。ある種納得している面もあるというか。
──受け入れてますよね。けどまだ頼りない3人です。この子たちが何をやったら1人前、みたいなフラグはご自身の中でお持ちなんですか。
絹田 はい、あります。
──おお、ではその一人前になれる日まで彼らのコメディを……あれ、ラブストーリーが入ってきたりしないんですか?
絹田 女の人、シスターが出てきたんですけど。でもまだ何もないんで。
真島 これ、突然1人だけ彼女ができちゃったら大変ですよね。
──そうですよ。そこら辺も「さんすくみ」ですから。
武者 それはそれで大変ですよ。彼女ができたら皆で潰す、っていう。
絹田 潰し合い(笑)。そういう話だったんですか?!
絹田村子(きぬたむらこ)
9月24日生まれ奈良県出身。第36回コミックオーディション銀の花賞受賞を受賞した「道行き」が、月刊flowers2008年9月号(小学館)に掲載されデビューした。読み切りシリーズをまとめた初単行本「読経しちゃうぞ!」を2010年に刊行。月刊flowers2010年4月号から、「読経しちゃうぞ!」の設定を引き継いだ「さんすくみ」を連載している。月刊flowersの増刊誌・凜花でも「花食う乙女」を連載中。