コミックナタリー Power Push - 森薫「乙嫁語り」
レッツ乙嫁クッキング! 森薫と作るかんたんおいしい中央アジア料理
さて2品目はラグマンです。地域によってラグメンともランマンとも。うどんによく似た小麦粉のもちもち麺に、羊肉と野菜の五目炒めをかけて食します。西安あたりからウイグル、キルギスタン、ウズベクスタン、カザフスタンまで広く食べられている日常食です。
ラグマンの材料(4人分)
(具)羊肉500g。ピーマン、ニンニクの芽、タマネギ、セロリ、ショホラ、ニンニク、ナッツ、ズラン、花椒、中華たまり醤油、ガラスープ、以上適量
(麺)薄力粉500g、塩大さじ2、水カップ1
基本的に五目炒めですから、羊肉さえ入っていれば、あとはナスでも白菜でもズッキーニでも、季節の野菜であるものを使えばいいと思います。今日は彩りのことを考えて色ピーマンを用意してみました。
──ショホラというのは。
ウイグル語でトマトのことですが、ドライトマトがあると、より風味がいいかもしれません。ホールトマト缶でももちろんOK。
──花椒もあまりなじみがないかもしれません。
よく麻婆豆腐に使われる、花山椒ですね。なければコショウを強めにするなり、豆板醤を使うなり、工夫してみてください。たまり醤油も、なければ普通の醤油に砂糖少々で。あと作中では落花生が入ってると描きましたけど、今日は家にあったカシューナッツで代用です。ナッツを入れるのは中華料理にもよくありますね。
──一方で麺の材料はシンプルですね。
いちばん心配なとこなんですけどね……ちゃんと打てるのかしら。ネットに達人のラグマン動画が上がっているので、参考にしてみてください。まあ失敗しても心配には及びません。近所のスーパーでうどんを買ってきましょう。その場合は腰の強い讃岐系は避けた方がいいです。
──わかりました。ヤバそうな雰囲気を感じたら黙ってスーパーに走ります(笑)。
ラグマンの作り方
- 1. まずは麺の準備から。小麦粉、塩に水を少しずつ加えて10分ほど練ります。
- 2. まとまったものを30分ほど寝かせておきます。
- 3. 寝かせている間に具の下ごしらえを済ませておきましょう。羊肉をひと口大に切ります。
- 4. ピーマン、ニンニクの芽、タマネギ、セロリ、お湯で戻したショホラをひと口大に切ります。ニンニクはみじん切りに。
- 5. ふたたび麺です。手にサラダ油をつけて直径1cmのヒモ状に延ばします。
- 6. ボウルにとぐろ状に置き、ふたたび15分ほど寝かせます。お湯を沸かしておきます。
- 7. とぐろから引き出しながら、さらに細く手で伸ばしていきます。
- 8. 毛糸を巻き直すように両腕に取って……。
- 9. 机に叩き付けながら、うどんほどの細さまで伸ばします。少しくらい切れても気にしない、気にしない。
- 10. そのまま熱湯へダンク・イン。4、5分ゆでます。
- 11. ザルに揚げ、水で洗って締めておきます。
- 12. フライパンに多めの油を熱し、タマネギ、ニンニク、羊肉、セロリから炒めます。
- 13. 塩コショウをしたのち、ニンニクの芽、ショホラ、花椒を投入します。
- 14. 最後にピーマン、ナッツを入れ、たまり醤油とガラスープで味を整えます。
- 15. 麺とは別の皿に盛り付け、食べるときに皿ごと麺の上にかけて食します。
──いやー、一時はどうなることかと思いましたよ……叩き付けるたびにブチブチ切れていく麺を、森さんが「さよなら!」ってつぶやきながら熱湯に叩き込んだときには。
私も「これはうどん購入確定だな」と思ってたんですけど、ゆで上がったらなんとか見れるものになっているという。小麦粉すごい(笑)。
──でも麺を水にさらすとき、いちばん太い、ほうとうみたいなのをツルッと食べてたのは見逃しませんでしたよ。
ハッハッハ(白目)。
美しい20歳の娘・アミルが嫁いだ相手は、弱冠12歳の少年・カルルク。遊牧民と定住民、8歳の年の差を越えて、ふたりは愛を育む事が出来るのか……(第1部)。エイホン家の居候英国人・スミス。旅を続ける彼が出会ったのは、5人の夫と結婚して、5人とも先立たれた美しく幸薄き"乙嫁"・タラス……(第2部)。悠久の大地・中央アジアの生活文化を圧倒的な筆致で描き上げる、人気絶好調シリーズ。連載は現在"アラル海編"の第3部へ!
森薫(もりかおる)
1978年生まれ。2002年に月刊コミックビーム(エンターブレイン)より「エマ」でデビュー。“メイド好き”として知られており、「エマ」ではメイド喫茶やコスプレなどで見られるアイコンとしてのメイドではなく、1800年代、ビクトリア朝時代のイギリスにおけるメイドを歴史考証に忠実に描いた。好評を博した同作は、2005年にアニメ化。2006年には番外編も展開され、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞するに至った。2008年10月よりFellows!(エンターブレイン)にて待望の新作「乙嫁語り」を連載中。