コミックナタリー Power Push - 電撃大王ジェネシス

オリジナル路線はそのままに、隔月刊にペースアップ 記念対談は竹宮ゆゆこ×カスカベアキラの新連載タッグ!

電撃発の独自コンテンツにこだわり「オリジナル作品オンリー」を標榜する電撃ファミリーの異端児、電撃大王ジェネシス(アスキー・メディアワークス)が季刊から、奇数月19日発売の隔月刊へとペースアップした。

この躍進を祝してコミックナタリーでは、注目の新連載「エバーグリーン」で原作を務める竹宮ゆゆこ、そして作画のカスカベアキラの対談をセッティング。なんとこれが初対面という両者から、コミカライズとはひと味違ったオリジナル作品を立ち上げる楽しさと難しさについてたっぷりと語ってもらった。

文/井上潤哉 取材・撮影/唐木元

 
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「ふたなり好きに悪い人はいない」

──実はお二方、今日が初対面ということですが。

カスカベ そうなんです、私が札幌に住んでいるのでなかなかお会いすることができず、今日はこうしてお会いできてうれしいです。

対談風景

竹宮 先日サイン会で札幌に行く機会があったんですが、お互い忙しくて会えなかったんですよね。この取材がなければもしかしたら、ずっと会わずに仕事していたかも知れません(笑)。

──お顔合わせのきっかけが作れたなら僕らも嬉しいです。ではまず、「エバーグリーン」誕生のなれ初めからお聞かせください。

竹宮 もともと私が小説家デビューする前から、ジェネシス編集リーダーの高島さんとはお付き合いがありまして。その縁で「わたしたちの田村くん」や「とらドラ!」のコミカライズを一緒にやらせていただいていたのですが、そのうち「オリジナルのマンガ原作もやりたいね」という話になり、時間をかけてこの企画が形になっていきました。

──カスカベさんとのタッグはどのように決まったのでしょう。

竹宮 高島さんとの打ち合わせの中で何人か候補を挙げていただいていたのですが、もう最初からカスカベ先生一択で。

カスカベ わ、そうだったんですね、光栄です……!

──オファーを受けたときはどんな心境でしたか。

カスカベ もう身に余るお話で、最初は動揺しちゃいました。まさかあの竹宮先生と……って感じで、迷うことなく「やります」とお返事しました。

──竹宮さんはその時点で、カスカベさんのことはご存じでした?

竹宮 私の中ではカスカベ先生イコール、わぁい!(一迅社)というイメージで。

──わぁい!というのは女装男子、いわゆる“男の娘”がテーマの雑誌で、カスカベ先生が毎号その表紙を手がけてらっしゃいますよね。

対談風景

竹宮 高島さんとも話したんですけど、「ふたなり好きに悪い人はいない」と。

──その理論は初めて聞きました(笑)。

竹宮 実は私がデビューするかしないかぐらいのときに、ノリノリでふたなりもののプロットを作って高島さんに企画会議に出してもらったことがあったんですが、周りから「バカじゃないの?」って言われたらしいんです。その時、高島さんとは「いずれ時代が追いついてくる」と話していて。

──2歩も3歩も先を行きすぎたんですね。

竹宮 そのふたなりや男の娘好きがめぐりめぐってカスカベ先生に出会えました。私としては、この組み合わせは完全に“俺得”ですね。

カスカベ 私も竹宮先生とお仕事できてうれしいです。特定部位のふくらみとか色々描いてきてよかったです。

脳の中で使う場所が全然違いました

──竹宮さんにとってこれが初のオリジナルマンガ原作ということですが、小説とは作業に違いがありますか?

竹宮 実際に作業を始めてみて分かったことがあって。小説を書いているときは自分で書きたい場面を際立たせたりとコントロールするんですけど、それをやりすぎるとカスカベ先生の良さが出なくなる可能性があるんですよね。

──作り込み過ぎると、作画の自由度を奪ってしまうと。

竹宮 遊びの部分がなくなりすぎちゃうんですよ。ぴっちり設計図を書いたような気分になりつつ、これじゃあダメだと思って試行錯誤しながら作っています。文字量が違う中で起承転結を作るのはどうしても小説と勝手が違うので難しいのですが、そこが面白い部分でもあったり。脳の中で使う場所が全然違いましたね。

──そうして出来上がった竹宮先生の原作が、カスカベさんに渡るわけですよね。原作はどのぐらい書き込んであるのでしょう。

カスカベ キャラのやりとりとか感情の動きは詳細にいただいているので、絵で行間を埋めながらマンガの形にしていく、みたいな感じでやらせていただいています。

──カスカベ先生は過去に2度ゲームのコミカライズを経験されてますが、こちらもその2作とは違う点がたくさんあるのではないでしょうか。

対談風景

カスカベ ゲームのコミカライズのときは、もとはゲームで完成されているものなので、出来上がったイメージを崩さず大切に描くという感じでした。今回は私もキャラクターをデザインさせていただいているので、これまでは冒険できなかったことをしていこうかなって。

──冒険とはどういったものでしょう。

カスカベ 例えばゲームのキャラクターというのは、ファンの方たちの間でイメージが出来上がっているので、ちょっと遊びを入れて描くにしても、嫌がられるかも? と気にしていました。「エバーグリーン」ではキャラクターの表情や仕草を崩して描けるので、そのあたりが自分の中で一歩踏み出しているところですね。

「電撃大王ジェネシス」2011 Vol.4 / 2011年9月21日発売 / 定価680円(税込) / 発行:アスキー・メディアワークス / 発売:角川グループパブリッシング

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電撃大王ジェネシス 2011 Vol.4 ラインナップ

こがわみさき「はしっぽ花星」/松田縞「自称魔王と中二クラスタ」/こげどんぼ「ぎじまんっ★」/原作:竹宮ゆゆこ 作画:カスカベアキラ「エバーグリーン」/犬上すくね「あかとき星レジデンス」/大月悠祐子「妄想少年観測少女」/いわさきまさかず「あしたの今日子さん」/森山大輔「妄想奇行~アドレッセンス・アバター~」/鈴見敦 ストーリー監修:田中ロミオ「うるわし怪盗アリス」/竹葉久美子「やさしいセカイのつくりかた」/堤利一郎「ゴッドシーカー」/MATSUDA98 原作:太田顕喜「キャラメル★スター」/原作:流圭 作画:ほた。「夢のクロエ」/紺矢ユキオ「クラスメイト(♀)と迷宮の不適切な攻略法」/FLIPFLOPs「スズログ」/ルーツ「自動販売機戸部さん」/前嶋重機「デュランダル-不朽の刃-」/カネコマサル「百花のしるし」/飴沢狛「泣き虫うさぎの約束事」/椎名優「Monochrome Myst」/稲井稲井「スキマノスキマ」/介錯「ユメキ」/原作:築地俊彦 作画:鶯神楽「トカレフの危うい城」/原作:大野也太 作画:絶叫「焔の燈介」/小原トメ太「メゾン・ド・ジェネシス」

電撃大王ジェネシス / 公式サイトはこちら

「エバーグリーン」原作:竹宮ゆゆこ / 作画:カスカベアキラ

「エバーグリーン」原作:竹宮ゆゆこ / 作画:カスカベアキラ

あらすじ

まんが部に所属する地味な高校生・吉松穂高は、太陽のような輝きを放つ水泳部員・阿波谷仁希に憧れを抱いていた。そんなある日、心臓の持病を理由に今まで水泳の授業を欠席してきた穂高は補習を受ける事になる。拙いながらも何とか泳ぎ切った穂高だったが、偶然居合わせた仁希にその姿を見られ、動揺からプールに立ち尽くしてしまう。仁希はそんな穂高を見て、ある行動に出るのだった――。

竹宮ゆゆこ(たけみやゆゆこ)

竹宮ゆゆこ

東京在住。2月24日生まれ。旬のおいしい食べ物を取り込んでテキストに出力する作家。代表作は、TVアニメ化もされた電撃文庫「とらドラ!」。現在は、電撃文庫で新シリーズ「ゴールデンタイム」を執筆中。

カスカベアキラ

カスカベアキラ

生粋の道産子、左利き。牡羊座のA型。フリーで漫画やイラスト、PCゲームの原画などを手がける。個人画集「テイルズ オブ デスティニー ディレクターズカット―儚き刻のリオン― カスカベアキラ ARTWORKS」が発売中。