コミックナタリー PowerPush - 横槍メンゴ「クズの本懐」

祝・月刊ビッグガンガン創刊2周年!横槍メンゴ、憧れの大暮維人に会う

横槍メンゴ「クズの本懐」の最新2巻が、10月25日に発売された。同作は、ある秘密を共有する高校生同士の痛々しい恋愛模様を描いたエロティック純愛劇。創刊2周年を迎えた月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて連載中だ。

コミックナタリーでは新刊発売とビッグガンガン創刊2周年を記念し、横槍と彼女が敬愛してやまない大暮維人との対談を敢行。お互いのマンガ論を語ってもらうと同時に、2人が参加したタバコがテーマの「シガレットアンソロジー」についても話を聞いた。また「クズの本懐」をはじめ、「ハイスコアガール」など話題作を輩出し続けるビッグガンガン本誌の情報もお届けする。

取材・文/坂本恵 撮影/唐木元

大暮維人×横槍メンゴ対談

作品にのめり込むタイプです(横槍)

──横槍先生は大暮先生の大ファンだそうで、今回の対談が実現しました。

横槍メンゴ「クズの本懐」1巻

大暮 それはありがとうございます。光栄です。

横槍 楽しみにしすぎて、昨日からずっと緊張してます……。私、結構いろんなところにアシスタントしに行ってたんですけど、どの現場でも「大暮先生は神だ」って崇められていて、作画見本でコミックスが置いてあったり。絵の美しさはもちろん、もう色んな才能が集結しすぎなんですよ。苦手なことってあるのかなって不思議に思うくらい。

──大暮先生は、横槍さんの「クズの本懐」を読まれていかがでしたか?

横槍 やめてー!(笑)

──いやいや、ちゃんと聞いておかないと(笑)。

大暮 ええ、僕はなかなかこういう真っ直ぐな恋愛ものってできないので、すごいなあと思いました。こういうのは作品に入り込まないと描けないと思うんですよね。

横槍 いえいえ…! でも、確かにそうかもしれないです。私は結構、作品にのめり込むタイプなので。迷わないで描くというのが唯一の取り柄というか。

大暮 マンガで一番重要なのは、そこなんだろうなと思います。そうすることで、本来見せ場じゃないところが見せ場になったりしますし。何気ない会話とか、ちょっとした感情の揺れとか、すごく丁寧に描かれてらっしゃいますよね。

横槍 大暮先生は感性でガーッと描くというよりは、考えて描かれるタイプですか?

大暮 僕、やっぱり自分のマンガから一歩引いちゃうんですよね。のめり込むとすぐ暴走しちゃうので。いろいろ(笑)。

恋愛マンガに苦戦中です(大暮)

舞城王太郎・大暮維人「バイオーグ・トリニティ」1巻(集英社)

──真逆のタイプなんですね。

大暮 そうですね。こういう情緒的な恋愛マンガもいつかは描いてみたいですけど。いま「バイオーグ・トリニティ」というマンガを描いてますが、恋愛も大きな要素なのでなかなか苦戦してます。

横槍 舞城王太郎さんとやっている作品ですね。

大暮 舞城さんの書いてる恋心って、ほんとストレートなんです。すごく共感できるしわかるんですけど、それをうまくマンガに落とし込むのは難しいんですよね……。何年やってもマンガって難しいですねえ……。

岡本倫原作、横槍メンゴ作画「君は淫らな僕の女王(集英社)」

横槍 私、岡本倫先生に原作をやっていただいて「君は淫らな僕の女王」というマンガも描いているんですが、それはネームで上がってくるんですよ。構図もほぼ絵が入ってて、私はもう、ほんとに作画だけという。たまに原作者と作画担当で揉める、みたいな話も聞きますが、私は元々岡本先生のファンだったし、そもそも大先輩と突然のコラボで、ついていくのに必死みたいなとこがあったんで……。自分にはこのやり方が合ってましたね。

月刊連載は足し算、週刊連載は引き算(大暮)

横槍 あと私、週刊連載もゆくゆくはやってみたいと思ってるんですが……。大暮先生って「エア・ギア」で週刊連載されてましたが、実質何年くらいやってらしたんですか?

大暮 ほぼ10年ですね。

横槍 しかもマガジンで週刊をやりながら、ウルトラジャンプの「天上天下」で月刊連載もされてましたよね。尋常じゃないですね……。

大暮 被ってた時期が、大体8年くらいかな。でも月刊の連載が終わって、週刊1本になった最後2年くらいのほうが逆にキツかったですよ。

横槍 それは何ででしょう?

大暮維人

大暮 やっぱりペースが崩れたっていうのが大きかったですね。

横槍 ああ、なるほど。月曜日にネームをやって、火曜日に下描きを、みたいに、ちゃんと日割りできっちり1週間やることが決まってるから、向いてる人には向いてるんでしょうね。月刊だと寸前まで描かない人もいたりしますし。私とか……(笑)。

大暮 僕が昔お世話になったウルジャンの編集長は「月刊は足し算、週刊は引き算」とおっしゃってました。月刊はやりたいことをどんどんやればいい。週刊はとにかく割り切って、できることを考える。できないことはやらない、と。それがよく分かったのは週刊1本になった2年間です。実際時間は余裕ができるので、僕もアシスタントも、今までできなかったことを全部やりはじめたんですよ。

横槍 確かに「エア・ギア」、最後のほうは画面がすさまじかったです。奥行きとかスピード感とか平面の世界を超えてましたね……。

大暮 でも、そんなことしてたらもうキツくなっちゃって(笑)。やっぱり週刊はどこかで割り切らなきゃいけないんだなって、身を持って知りましたね。

理想的な恋人同士に見える花火と麦。2人は、互いに叶わぬ恋に身を焦がす“契約上の恋人”だった。愛する人のぬくもりを、相手に重ねて慰め合う日々。大事な人を傷つけながら傷ついていく不器用すぎる青春模様。誰よりも純粋で誰よりも歪んだ純愛ストーリー、第2巻。

横槍メンゴ(よこやりめんご)

横槍メンゴ

1988年2月、三重県生まれ。2009年、マガジン・ウォー(サン出版)にて成人向けマンガでデビュー。2010年にCOMICすもも(双葉社)にて、エロマンガ家と双子美少女の三角関係を描いたコメディ「はるわか」の連載を開始する。2012年に週刊ヤングジャンプ(集英社)にて掲載された、岡本倫原作「君は淫らな僕の女王」は、ヒロインが自制心を失うという設定と、かわいらしい絵柄とエロのギャップが人気を呼んだ。同年、月刊ビッグガンガン(スクウェア・エニックス)にて、高校生の純粋かつ歪んだ恋愛を描く「クズの本懐」の連載を開始する。インターネット上ではヨリのハンドルネームで活動し、ニコニコ動画などボーカロイドを使用した楽曲のイラストも手がける。イラストレーターとしても活躍中。

大暮維人(おおぐれいと)

大暮維人

1972年2月、宮崎県生まれ。1995年に漫画ホットミルク(白夜書房)にて「SEPTEMBER KISS」でデビュー。1996年、月刊少年キャプテン(徳間書店)にてオリジナルビデオアニメ「BURN-UP」と連動したメディアミックス作品「BURN-UP W」の連載で一般誌への進出を果たす。翌年ウルトラジャンプ(集英社)にて連載を開始した「天上天下」は、迫力のある格闘シーンと成人誌で培った艶のある人物描写で人気を博し、アニメ化に至るヒットを記録。2002年に週刊少年マガジン(講談社)にて連載を開始した「エア・ギア」もTVアニメ化を果たし、第30回講談社漫画賞少年部門を受賞した。2012年からはウルトラジャンプにて舞城王太郎とともに「バイオーグ・トリニティ」を連載開始。2013年12月には最新3巻が発売される予定だ。