ブレずに突き進んだ己の漫才道、ツートライブが語るよしもと漫才劇場 (2/2)

楽屋の“渦”の中心に躍り出た芸人は売れる

──寄席のほか、ユニークな企画ライブも多数開催しているよしもと漫才劇場で特に思い出に残っているライブを教えてください。

周平魂 ロングコートダディ堂前がやっていた「ネコちゃん軍団」。ロングコートダディは今や人気者ですけど、昔は不人気だったんですよ。そこで堂前が仕掛けたのが客票に強い人気者のワンちゃん軍団と、不人気のネコちゃん軍団を戦わせるライブ。ワンちゃん軍団はアインシュタインさん、見取り図さん、祇園さん、トットさんなどで、ネコちゃん軍団はロングコートダディ、ニッポンの社長、ツートライブというメンバーでした。

たかのり ワンちゃん軍団とネコちゃん軍団が総票で競うんです。

周平魂 そんな不人気だったネコちゃん軍団の3組が、2025年に「キングオブコント」「ダブルインパクト」「THE SECOND」でそれぞれチャンピオンになったのは今思うと感慨深いです。ちなみに、ネコちゃん軍団の中でも僕らが足を引っ張ってました(笑)。やっぱりウケても客票が入らないんですよね。でも2025年は僕らがネコちゃん軍団の口火を切って「THE SECOND」チャンピオンになって、「ダブルインパクト」でニッポンの社長が優勝したから、「キングオブコント」もロングコートダディ優勝の流れやん!とは思っていました。

ツートライブ

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──幅広い芸歴の芸人が所属するようになり、“ノリ”も生まれたという漫才劇場の楽屋エピソードをぜひ聞かせてください。

たかのり 具体的なエピソードというより、ニュアンスでもいいですか? 楽屋で過ごしていると「あっ、こいつ覚悟決めたな」という瞬間がわかるんですよ。そういう奴は楽屋で芸人たちの渦の中心に躍り出て、そのあと絶対に売れるんです。見取り図・盛山さん、コロコロチキチキペッパーズ・ナダル、霜降り明星せいやとかも渦の中心にいて、そこからあっという間に売れていったのが記憶に残っています。

──最近、渦の中心にいるなと感じる人はいますか?

周平魂 これ、けっこう責任重大やぞ。

たかのり マユリカ中谷とかが……。

周平魂 それはちょっと前やろ。もう売れてるやん。次の渦を教えてくれよ。(イチオクの)ないすケンとかは?

たかのり ないすケンも確かに渦になりかけてるかもな。

周平魂 なりかけのまま、ずっとちっちゃい渦でいる奴もおもろいですけどね。らぶおじさんなんかはずっとちっちゃい渦(笑)。時間かけて少しずつ大きくなっているのかもしれないですけど。

ツートライブ

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たかのり 黒帯は、昔はもう少し静かなイメージでしたけど、今は楽屋の中心にいる感じがします。みんなと仲良くして、渦の中心にいようとしているような。あとは華山のにこらすとか。

周平魂 ギャンゴリ(豪快キャプテン・山下ギャンブルゴリラ)も渦の中心にいるイメージがあります。

たかのり 若手で言うとcacaoの浦田スターク。あいつは楽屋ですごくいろんな人に絡むし、ツッコむし、場を明るくしてくれる存在です。

周平魂 僕も浦田スタークとよく絡みます。楽屋にいるとうれしいかな。僕らのほうが10年くらい上だけど、余裕で「おもんないねん」とか言ってきますからね(笑)。飯とか行くとずっとおもろいです。肝の座り方が半端ないです。

たかのり 芸歴が離れていても絡めるのはマンゲキならではかもしれませんね。

──大阪のマンゲキから東京進出された芸人さんが多いから、楽屋でのノリをそのまま東京でできそうですよね。

たかのり それこそ紅しょうが、マユリカ、ニッポンの社長、ロングコートダディとかは大阪の楽屋のノリをそのまま東京に持っていったメンバーですよね。大阪で俺たちが大爆笑していたノリをテレビでそのままやっているから、すげえなと思います。

周平魂 そいつらと東京で会うと、変わらないところもあるし、変わっているところもあるなと感じます。お笑い的な成長はもちろん、ダラダラせずに、やらなあかんことをちゃんとやるようになってる。出番が終わったら、次やることのためにパッと劇場を出るとか。そんなの当たり前のことなんですけど、それすらもできない奴らの集まりのはずやったんで(笑)。楽屋でしゃべりすぎて「うわー、トチる!」みたいなこともよくありましたし。僕からすると「ちゃんとしてんなぁ!」という驚きがけっこうあります。

ツートライブ

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大阪にはまだまだ面白い奴らが控えている

──ツートライブのお二人をはじめ、マユリカ、紅しょうが、バッテリィズなど賞レースで活躍して上京するという流れができつつありますよね。

たかのり マンゲキがスター養成所みたいになっていますよね。

周平魂 New Star Creation(NSCの正式名称)?

たかのり ほんまにNew Star Creation! 昔は賞レースで優勝した人を劇場の看板にしてライブにバンバン出していたと思うんですけど、今のマンゲキは「とりあえず外で活躍して、売れてくれ」という感じで東京進出を応援してくれるんですよ。そうすることで、それを見た後輩たちが「マンゲキでがんばったらここまで売れるんや」と希望を持てる。だから僕らも東京でがんばって背中を見せなあかんと思えました。

周平魂 昔は「もうちょっと大阪におってくれ」みたいな空気が今よりもあった気がするんですが、それが変わったのは、まだ結果が出ていない若手の中にも面白い芸人が大勢いるのを今の劇場の社員さんたちがちゃんと知ってくれているからだと思います。「チャンピオンが東京に行っても、まだまだこんなにおもろい奴らが控えている」という自信を持ってくれているのかなと。

ツートライブ

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──お二人は4月に東京進出しますが、東京の劇場にはどのようなイメージを持っていますか?

周平魂 大宮ラクーンよしもと劇場が自分たちの雰囲気に一番近いかな。この人らが大阪におっても、僕らが東京におっても、恐らく仲良くなってるやろうなというメンバーばかりです。

たかのり 大宮セブンは泥水をすすってきたメンバーなので、親近感があります。逆に神保町よしもと漫才劇場はすごくフレッシュな印象です。

周平魂 「THE SECOND」で優勝してからは東京のお笑いファンも多少知ってくるようになりましたけど、その前は神保町よしもと漫才劇場で鬼スベりしてました(笑)。若手の子たちがバーンとウケたあと、“ゲストのお兄さん”みたいな感じでラストに出させてもらった僕らとデルマパンゲさんが鬼スベり。逃げるように帰りました。

たかのり 恥ずかしすぎてな(笑)。

周平魂 渋谷よしもと漫才劇場は一番間口が広いというか、いろんな芸風の芸人を受け入れてくれる印象があります。東京だとよしもと以外のお笑いライブもたくさん開催されているので、普段からそっちも観に行ってんねやろな、みたいなお客さん。大阪やとウケるまで時間かかりそうなネタも、渋谷やと一発目からスパーンとウケることがけっこうあります。そのつもりで行った神保町では鬼スベりしましたけど(笑)。

──「漫才は軸」というお二人は今後どうやって劇場と関わっていきたいですか?

周平魂 毎月新ネタ3本をおろすライブは上京後も大阪で続けたいと思っています。あと「漫才ブーム」の47都道府県ツアーが8年後まであるので、そこで一番笑いを取る。勝負ではないけど、勝ちたいです。4組で全国を回っていると「今日は俺ら、弱かったな」と感じるときがあって、その日は打ち上げが少し楽しくなくなります(笑)。打ち上げを最高に楽しめる状態の自分でいたいですね。

たかのり 東京の芸人にも、おもろいと思ってもらいたい。お客さんを笑わせるのはもちろん、東京の芸人が袖で見てくれるような漫才をしたいです。そのためには単独ライブもがんばらなあかんし。

周平魂 この前、イチゴが大阪に来ていて、なぜか0か100みたいなウケ方をしていたんですよ。ほかの芸人たちが「次はめっちゃウケるのか、めっちゃスベるのか」と面白がっているのを見て、昔の自分たちみたいで「懐かしっ!」と思いました。芸風は全然違いますけど、僕らも盛山さんに「次はなんのネタすんねん」「勘弁してくれ、スベるの!」とイジられていたので。「なんでそんなにおもろいのに、まったくウケてへんの?」みたいな、喜んでいいのか、腹立ったらいいのかわからないことも言われてました(笑)。バチバチにウケているイチゴしか見たことなかったので、「こいつらも俺たちみたいに劇場の楽屋でイジられてんねや」と思って、それがなんかよかったです。

ツートライブ

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マンゲキは青春

──最後にお聞きします。お二人にとってよしもと漫才劇場とはどんな存在ですか?

周平魂 「青春」です。42歳で「青春」とか言ってるのヤバいですけど、自分がもっと歳をとって今を振り返ったら、学生時代を思い出すときみたいに「うわー!」ってなると思うんですよ。毎年新たに1年生みたいな若手が入ってくる場所やし、いい意味で学校みたい。めっちゃおもろい学校。僕らは十何年生みたいな感じ(笑)。

たかのり 僕は、「ほんまに助けてくれてありがとうございます」って感じです。マンゲキがなかったら食えていなかったし、「THE SECOND」で優勝もできてなかったと思う。僕らのランクだったら普通は出られない寄席に入れてもらったり、集客の見込み的にほんまやったら打たせてもらえないイベントも打たせてくれたり、支配人に拾ってもらったと思っています。

周平魂 集客の数字だけじゃなくて、内容の面白さもちゃんと見てくれるんですよ。歴代の支配人はみんな、僕らがスベっていても「チャレンジしているのが見えるから、思い切ってやれよ。そのためにケツ(終盤の出番)に面白い兄さんたちを呼んでるんやから。若手の劇場やねんからやりたいことをやれ」と言ってくれて、ほんまにそれに助けられました。これをお笑いの劇場の支配人が言えるのがすごいですよね。

──「ウケるネタをやれ」ではなくて、面白いと思うことをやっていいと背中を押してくれるのは芸人さんたちにとって心強いですね。

周平魂 まあ、本来スベったらあかんのですけどね(笑)。

たかのり ほんまやで(笑)。

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公演情報

ツートライブの日~3600秒1本漫才ぶちかましのニュアンス~

「ツートライブの日~3600秒1本漫才ぶちかましのニュアンス~」フライヤー

日時:2026年2月23日(月・祝)18:15開場 18:30開演
会場:大阪・森ノ宮よしもと漫才劇場
料金:前売2100円 / 配信1500円
チケット:FANYチケット、FANY Online Ticketで販売中。

会場チケットはこちら

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プロフィール

ツートライブ

たかのり
1984年4月11日生まれ、広島県出身。

周平魂(シュウヘイダマシイ)
1983年9月11日生まれ、京都府出身。

NSC大阪校30期生。兵庫県立大学の同級生だった周平魂とたかのりが、在学中に「M-1グランプリ」に挑戦したことをきっかけに芸人を目指し、2008年4月にデビュー。2017年に「第38回 ABCお笑いグランプリ」の決勝に進出する。「上方漫才協会大賞」では2019年、2022年、2023年に文芸部門賞を受賞。2025年に「THE SECOND~漫才トーナメント~2025」で優勝した。「MBSヤングタウンNEXT」(MBSラジオ)木曜担当中。