子供の頃の夢は「地球をもう1個作る」
──自分の好きなところは?
親譲りなところ。
──親譲りのどういうところですか?
ニコニコしてられる性格と言いますか。
──ご両親も穏やかな方なんですね。
そうですね。
──反対に嫌いなところは?
左利きなのはうれしいんですけど、不便ですね。ドアの握りが逆だとか、そろばんがうまく弾けなかったりとか。習字はトメハネが逆だから右手で書いてました。
──子供の頃、得意だった科目は?
5教科以外です。あ、でも音楽はダメでした。体育、美術、技術系ですね。工作と体育が好きでした。好きってだけで得意ではないです。
──どういうスポーツが好きでしたか?
野球もサッカーもバスケも水泳も、どれも楽しめます。一応、小学校のときからサッカースクールに通っていて、高校のときは全国大会に出場した部活のBチームにいました。僕らBチームは応援でしたけど、Aチームと同じメニューをこなしてましたから。しっかり朝練やって、夜も部活してっていう、スポーツマンしてましたね。
──初恋はいつですか?
家の裏にヒトミちゃんっていう同い年の子がおって。その子がたぶん初恋の子です。小学生低学年の頃かな。
──子供の頃に思い描いていた夢は覚えていますか?
文集を振り返ると、そのときに僕が書いていたのが「地球をもう1個作ってそこにエスカレーターを渡して……」みたいなことですね。地球をもう1個作るのが夢だったと思います。もう1個地球があったら楽しいんじゃないかっていう。将来の夢って言ったらみんな「野球選手」とかって書くじゃないですか。「そんなこと言うてたのか!」って思います。
──中学では生徒会長を務めたそうですね。どういう経緯で?
生徒会長って一番賢い子がなる風潮があったんですけど、うちのクラスは先生が頑固で「立候補が出るまでこの帰りの会は終わりません!」っていうタイプで。マジか、また始まった。全然帰れへんやん、遊びに行きたいのに。テレビも見たいのに。あいつでええのに全然立候補せえへんやん!ってみんなで言ってて。で、友達と「ちょけようぜ」って手を挙げたんです。そしたら先生も真面目やから「城野が手を挙げたな。やる気あるんか!」と聞いてきまして、「がんばります。学校を変えてみたいと思います」と答えました。それで選挙に出ることになったんですけど、みんなが真面目なスピーチをしている中で僕が突出してしょうもないことを言ったから、落ちるつもりだったのに票を集めてしまったんですよ。開票したらえげつない差で、学校パニック。先生たちも「落ちてくれ」って思ってたと思うんですけど、やらざるを得ないことになって。でも生徒会のほかの子たちがめちゃくちゃ賢くて政治的なことはやってくれていたので、大きい声を出すのは僕がやってました。
──親の教えで覚えていることはありますか?
「手、洗いや」とか「歯、磨きや」とか「食べ残して帰ってきなや」とか「挨拶しいや」とかですね。スタンダードなことを言ってくれる優しい母でした。ああしなさい、こうしなさいとかは特になかったです。
──お笑いをやることは反対されませんでしたか?
アホなことばっかりやってて、卒業できるかギリギリやったんです。高校のルールとしては卒業する理由がない人は留年なんですよ。だから進路を探すんですけど、進学はもってのほか、就職も肉体労働しかないし嫌やなーと思っていたときに、NSCっていうものがあると聞きまして。田舎なので、親も先生もNSCがなんなのか知らないんですよ。「NECの専門学校か?」みたいな。それで「専門学校ならええやん、進路見つけたな!」と認めてもらい、卒業できる権利をいただきました。川島(くっきー)もちょっとやんちゃしとったから、卒業するために何かやっとかなあかんってことで生徒会長に立候補して。そのときほかに候補がおらんかったから○×で決めたんですよ。僅差でしたね。
──そのときにNSCに行っていなかったら、今どんな職業に就いていたでしょうか。
おじいちゃんが漁師なので漁師か、親は農家の家系で田んぼがあったので農業か、ですかね。食材集めの家系なんです。
──芸人人生で一番よかったことは?
よかったこと……。月曜でも休めてたりとか? 朝もそんな早くもないですし、そういう面では芸人でよかったですけど。
──「この番組に出られた!」とか、そういう喜びを感じた瞬間はないですか?
ああ、そういうことですね。タモさんに会えたとか?
──そうです! そういうエピソードを。
それでいうと、イチローに会えましたね。そのときに聞いてくれてたら「イチローに会えたこと!」ってすぐ言いましたけど。
──時間が経ちすぎていますか。
そうですね。
──では芸人人生で一番つらかったことは?
リアルな借金苦みたいなものはありましたけど、それはそれで楽しめてました。1個100円のキャベツを1週間かけて食べたりして。怖い体験は嫌でしたけどね。
──怖い体験というのは、例えば?
マカオのバンジージャンプを早く飛べ、とか。めちゃめちゃ高いんですよ。で「スリー、ツー、ワン、早く早く。早く飛んで!」って急かされて無理やり飛びました。
──人生最悪の仕事でしたか?
もう死ぬんかなと思いましたね。世界一高いんですよ。「死んでも構いません」みたいな紙にサインもして。生きた心地もしなかったです。で、2日かけて帰ってきました。
「理想の死に方」をオルゴールに例えると……
──尊敬している人や影響を受けた人は?
近い人で言うたら、ずっと土肥ポン太さん、小籔千豊さん。1つ上の先輩で、友達のようでいてあれこれ教えてくれて、ニヤニヤしながら楽しんで行こうぜって言ってくれた人なので。でもあれでしょ? 「さんまさん!」とか「とんねるずさん!」とかを言うフリですよね?
──いえいえ、芸人さんじゃなくてもいいんです。子供の頃から憧れている人とか。
あ、ジーコとか好きでした。
──ジーコ!?
サッカーやってましたから。ジーコはすごいです。僕「城野克弥」なんですけど、親父が南海(ホークス)のノムさん(野村克也)のファンで。
──お父さんは野球好きなんですね。ロッシーさんは家ではどんなパパですか?
家族構成のピラミッドで言うと、娘、嫁、お兄ちゃん、僕の順番なので、子供からしたら一番気軽な友達みたいな感覚なんちゃいますかね(笑)。体のおっきい友達っていう。
──怖いお父さんではまったくない。
ないですね。僕が一番恐れているのが娘ですから。「来ないで!」って言われながら。女子は怖いです。
──最近泣いたのはいつで、それはなぜですか?
「リメンバー・ミー」の映画(2018年3月公開)を観て感動して泣きました。あ、けどそのあとに息子の運動会ですね。一生懸命がんばってる息子の姿を見たらグッとなりました。
──ストレス解消法はありますか?
ストレス解消のためにやってることはないです。子供とおったら癒やされますけど。金魚の水換えたりとか、花に水あげたりとか。家のことの自分の担当のことをやってるときはずーっと熱心にやっているような。
──そもそも、どういうことにストレス感じますか?
そんなに辛くないと言われているカレーが辛かったとき。「これあとから来るやつやんけー!」みたいなときはすごいストレス感じます。
──人生で一番の失敗は?
交通事故です。baseよしもと時代、土肥ポン太さんをバイクに乗せたまま事故してしまったんです。土肥さんは軽症で済んだんですけど、僕は入院して仕事を休んじゃって。ただでさえ仕事が少ないときに会社とか川島とか、みなさんに迷惑をかけて、これをきっかけに改心したというか、自分の中で変わった部分があります。イライラしてたところも変えて。ちゃんとしようと思いました。
──もし明日死ぬとしたら今日何をしたいですか?
嫌ですねえ。ドラえもん探しに行くんちゃいますか? タイムマシンでもなんでも、明日死なないようにするための何かを探しに行くと思います。諦めたくないですね。一生懸命その場で太陽と反対回りして、みたいなことですね。明日が来ないように工夫する。でも工夫してる途中に明日が来ちゃうんでしょうね。
──理想の死に方は?
すごい質問! 死に方の理想なんか考えたことないですし、単純に言うとないんですけど、マシかなっていうのは、ぜんまいのオルゴールが止まるみたいな感じですかね。例えば(「星に願いを」の鼻歌)ティンティンティンティンティンティンティーン ティンティンティンティン、ティン、ティン……、ティン……………。止まった! みたいな。(その瞬間を再現)あれ? トントン、止まってる止まってる! もう1回、回してみよ。ティンティンティンティンティン、ティンティン……ティン、ティン……。みたいなね。パーンとか、ドーンとかより、フェードアウトというかガスコンロの火種が消えるみたいな。(ガスコンロが消える瞬間を再現)しゅっしゅっしゅしゅ……しゅー。もうほら、止まるよ、止まるよ、ほら止まった!っていう死に方ならいいですかね。カウントダウンがしっかりできてる状態で。
──もし別のコンビを結成するとしたら誰と組みますか?
仲がいいので、シャンプーハットのこいちゃん(こいで)と1個作品作ったらどうなるんやろって思ってます。あと誰でしょうね。かけ離れた人だと誰やろ? ペレとか。
──サッカーのペレ? かけ離れてるって芸歴ではなくそういうことですか。
Mr.ビーンとか、マイケル・ジャクソンとか、野村監督とか。
──Wカツヤで。ロッシーさんが台本を書くんですか?
わからないです。俺に書かせてくれってノムさんが言い出すかもしれんので(笑)。
──相方のくっきーさんのことはどう思っていますか?
幼馴染なので、僕はもう“くぅちゃん”なんです。いつまで経ってもくぅちゃんはくぅちゃんのままです。っていうのが答えかもしれないですね。
──仕事のパートナーになっちゃったなという感覚はないですか?
縁でもあるし、偶然でもあるけど、気がついたらくぅちゃんとずっとコンビ組んでこうして楽しんでやれているんで。「川島くんはどんな方ですか?」って聞かれたら、僕は小島町の城野で、川島は播磨田町の川島くんなんです。っていうのがずっとそのままです。ご近所さんですね。
──最後の質問です。なんでも夢が1つ叶うとしたら、何をお願いしますか?
「学ランにパーカーを付けたってください」。
──どういうことでしょうか。
学生服にフードが付いてたらええんちゃう?っていう。
──自分のことじゃなくていいんですか?
僕はパーカー買えますから。
──フード以外で、自分の叶えたいことはないですか?
うーん、パーカーには勝てへんなあ。やっぱりパーカーちゃいます? 学生服にパーカー。スーツにパーカー。
──あらゆる制服にフードを付けてあげたいと。
急な雨にも応えられますんでね。たまに学生服の下にパーカー着ておしゃれするヤツとかいますけど、怒られますから。最初から付いてれば怒られることもないです。
──ありがとうございました。それでは最後に、ファンに一言お願いします。
なんかすいません、長々と。申し訳ないですね。興味がある方、またよかったらお話聞いてください。
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2018年11月26日更新